2018/10/16 Tue

キリン「FIRE」リニューアルキャンペーン  デジタルを活用した購買につながるプロモーション設計とは?

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増田 健志 氏

キリンビバレッジ株式会社
マーケティング本部 マーケティング部 商品担当 
主任

キリンビバレッジ株式会社より、マーケティング本部 マーケティング部にて商品担当主任を務める増田氏を迎え、「FIRE」のリニューアルキャンペーンについて、どのようにデジタルを活用し、購買につながるプロモーションを行ったのか、当社の担当者と共にインタビュー取材を行いました。



-取引の背景
増田氏:キリンビバレッジマーケティング部にて、コーヒーカテゴリーのFIREを担当しています。以前は、挽きたて微糖含む新商品の開発を行っていましたが、現在はプロモーションを担当しており、主にメディア戦略からクリエイティブ制作まで手掛けています。また、イベントやキャンペーン、セールスプロモーションも担当しています。FIREの担当に就いてからは、約3年ほどが経ちます。

2016年秋までは、基本的にはテレビを中心としたプロモーションを行っていました。デジタル領域は、やったとしてもヤフーのブラパネのような純広がメインでした。
ターゲットのお客様に訴求したいメッセージが伝わっているのか、費用対効果は適切かというデジタルへの懐疑的な部分がありました。
そしてこのたび、デジタルマーケティングにしっかり注力していこう、と会社としての取り組みが始まり、コンペを実施し、結果、サイバーエージェント様にご協力いただくことになりました。
貴社に決めた理由は、やはり、運用型の広告に強みがあり、しっかり検証ができるという点。そして、デジタルという特徴を生かしながら、お客さんにきちんとメッセージの訴求を行い、それが購買に結びついたのかというところまで、しっかりと効果の可視化ができPDCAサイクルをまわすことができる点がポイントでした。
 
昨年10月のリニューアルの立ち上げからスタートし、お仕事をご一緒させてもらっています。12月には、ホットの缶コーヒーの需要期のため、追加でお手伝いしていただき様々なプロモーションを行ったとても濃密な1年間でしたね。
-当時の課題感
御社内でのマーケティング課題および、どのようなKPIを当時は掲げていたのですか。
 
増田氏:昨秋、FIREのブランドイメージを変えようとリニューアルを図りました。
今までは、FIREと言えば、「仕事を頑張っている人に向け、さらに勇気付けよう」とユーザーを応援するイメージだったのですが、今回からは「癒しを与ることで、心に火を付けよう」というブランドチェンジに挑戦しました。
そこで、「マスマーケティングで大勢の人に対して」ではなく、「ターゲットとする缶コーヒーを飲む人たちに対して」、いかに効率よく情報を届けることができるか?ということが最も大きな課題でした。
 
CA:元々、素晴らしいテレビCMを電通様と制作されていたので、そのCMを、定めたターゲットに伝えていくため、メディア毎の特色やターゲティングの粒度をかなり細かく可視化し、優先順位を付けて、Web動画の広告を配信していきました。
 
加えて、今回缶コーヒーヘビーユーザーの方がメインターゲットということもあり、早朝、深夜帯、休日に働いている方向けに、各配信時間帯に合わせ、「朝早くからお疲れさまです」「夜遅くまで頑張っていますね」などといったメッセージを付けて配信を行う、「タイム配信」を行いました。
缶コーヒーヘビーユーザーの方に寄り添うようなコミュニケーション設計と、そのメッセージをいかに届けていくか、というところをかなり細かくお手伝いさせていただきました。
 
増田氏:今までは、テレビCMを作ってそれをどう流すのかが中心となるプロモーションの考えでしたが、やはりお客様によって共感の得られるメッセージが異なるため、今回新たに、YouTubeのバンパー広告(6秒の動画広告)を多数制作し、Web動画広告を配信していったことで、より効果的なプロモーションができたのではないかと思っています。
-「CPB」を効果指標にしたデジタルプロモーションの運用手法とは
CA:本施策ではWeb用に制作したバンパー広告(6秒動画)と、15秒、30秒のテレビCMを、それぞれ狙ったターゲットに、狙いたいタイミングに届け、その動画広告を見た人が実際に購買したのかを検証しました。また、その手前の購入意向や飲用意向のスコアがどれぐらい向上したのか、そのリフト値をブランドリフト調査によって明らかにしました。
 
更に、その広告によってどのくらいユーザーの実購買や態度変容を促すことができたのか、という数値を投下した予算で割り戻すという、「コストパーブランドリフト(Cost Per Bland Lift=CPB)」、通称「CPB」という当社開発の新しい効果指標の手法を、今回キリンさんに導入して頂きました。
この効果指標をもとに、続けるべき施策、またコストを削減したほうがいいのではないかという施策を適宜PDCAを行い見直しながら、細い運用やコミュニケーションの追加提案を重ねていきました。
 
増田氏:CPBを導入したことで、プロモーションの効果が数値化されて分かる、というところに感銘を受けました。
プロモーションの効果が計測し難い中で、「リーチとれて盛り上がったからいいね」で終わるものではなく、「その広告によって、実際に購買に結びついたのか、またブランドに対する好意度が上がっているか」などが数値可され、随時ご報告をいただきました。
その結果をもとに、次のアクションを考えることができるということは非常に素晴らしいことで、プロモーション効果がどんどん良くなってきていると感じています。

CA:テレビについてはどのようにお考えですか?
 
増田氏:デジタルだけでは届かないユーザーもいますし、スピード感をもって多くのお客様に一気に情報を発信する上でも、テレビは重要な役割を持っていると考えております。
ただ世の中のトレンドとしては、デジタル志向に移り変わってきているので、デジタルシフトはどんどん加速していくのではないかと思います。
 
CA:特に、商材のコーヒーは年齢層もある程度高いですからね。デジタルに求めているのはどんなところでしょうか?
 
増田氏:やはり、お客様の状況に合わせて適したクリエイティブを通じてメッセージをタイムリーに伝えることができる事だと思います。ユーザーの今の生活拠点やタイミングに合わせたクリエイティブでプロモーションをすることによって、より印象に残ったりブランドを好きになってもらえるというところが、今後もデジタルに期待するところです。
 
加えて、広告を見た人に対し、「続きはこれです」とストーリーとしてブランドメッセージを伝えることができることも特徴として挙げられるかなと思います。
-プロモーション内容
追加で導入した新施策、「おいしくなったよ動画」「Abemacial(アベマーシャル)」とは

 
CA:最初は、データをどれだけ上手く使い、かつ沢山の切り口のクリエイティブを出し分け、当て分け、効果を減衰させることなく運用していくというところからのお手伝いをさせていただいたのですが、リニューアルしたという情報がまだ上手く伝わっていないとこがわかったので、新しい施策として、後ほどご説明する「おいしくなったよ動画」や「Abemacial(アベマーシャル)」を行ったことで、チューニングが上手くできたと思っています。
マスマーケティング中心だと、最初に設計した半年間の計画から変わらないケースが多い中、御社はフレキシブルに、予算の配分を変えたり、これをやめましょう、ということを都度ご英断いただけたところも成功のポイントだったと思います。
 
増田氏:重要なポイントだと思います。運用していく中で、クリエイティブの良し悪し、配信セグメント事の良し悪しがわかるので、効果の高いものに予算を充てることができ、またやめるものを明確にできるところが良かったと思っています。
さらには、次のクリエイティブを作っていく時にも、その学びを生かし、次のPDCAをしっかり運用できる点は良かったです。
 
CA:新施策として、「Web専用の動画を作りましょう」とご提案をさせていただいた「おいしくなったよ動画」では、テレビCMだけでは担保できない表現をWebならではの切り口や表現で、大量に動画を制作しました。
 
加えて、「Abemacial(アベマーシャル)」でのプロモーションも行いました。「Abemacial」とは、AbemaTVの番組の合間に流れるCM枠において、「AbemaTVらしいインフォマーシャル」を特徴とした60秒の動画コンテンツ制作サービスです。
AbemaTVでは、30秒や60秒などの長尺の動画広告においても視聴完了率が80%程度と高いスコアを出せる特徴、メディア構造上の強みがありました。60秒でも見られるメディアとしての利点を活用し、好意度・利用意向・機能理解など、より深いファネルに対してアプローチできるサービスとして今回実施頂きました。
増田氏:私たちの一番の目的は、「リニューアルした事を伝え、一度手に取っていただきたい」ということ。そして12月の冬のタイミングだったので、「寒い中で缶コーヒーを飲んで癒される、ホッとするというシチュエーション」を、ユーザー目線で伝えることで、購入意向を高めることができるのではないか?というところに期待し、今回「Abemacial」の実施に至りました。
 
CA:FIREは認知度が既にあったため、好意度・飲用意向・親近感などをユーザーに醸成できるような企画を目指しました。同様のコンテンツをYoutubeでも二次使用しましたが、スキップされがちなインストリーム型にも関わらず、視聴完了率50%近くという高いスコアが出せたのも、コンテンツ型インフォマーシャルである「Abemacial」が、WEBでの視聴環境に合う作り方になっていたからなのでは、と考えています。
 
増田氏:テレビ広告と連動したコンテンツ内容や、「ホットコーヒーを飲んで、働いている人たちが癒される」という伝えたいメッセージを分かりやすく、そして見ていて楽しくなるような内容にしていただけたと思っております。


CA:CPB(コストパーブランドリフト)の結果を見ても、「おいしくなったよ動画」と、「Abemacial」は、購入意向、飲用意向のリフト率が高い結果となり、狙い通り、深いファネルに効くクリエイティブの制作と、効果的な広告配信の結果になったと思っています。
とくに「おいしくなったよ動画」は、デジタルならではの施策により、非常に高い水準のリニューアル認知を得ることができました。
 
増田氏:缶コーヒーを人から勧められたことをきっかけに試してみる方がいらっしゃいました。なので、「おいしくなったよ動画」では、実際にいろいろな人たちが、いろいろなシーンで飲んでいる様子を、6秒、15秒、30秒の尺で、様々な粒度のWeb動画を制作し発信していただくというところに魅力を感じました。
 
CA:動画の入りをどのような構成にしたら視聴率が上がるか、というところまで、かなりのパターン数を尺ごとに作って、検証させていただきました。また、流通における店舗の棚取りの商談においても、武器として使いやすいメニューかと思います。
 
増田氏:ブラックや微糖スタンダード、カフェオレ、しかもボトル型や缶などいろいろな飲用形態の商品を、いろいろな人が、いろいろな飲用シーンでのモーションをかけられる、ということは、商品を網羅的にPRできるので非常にいいなと思っています。
デジタルプロモーションに対してのまだ理解度が浅い部分は確かにあるのですが、徐々に理解も深まってきていると実感しており、商談の武器になるかなと私も思います。
-Webならではのクリエイティブ
「おいしくなったよ動画」や「Abemacial」など、最近はクリエイティブも制作させて頂いていますが、クリエイティブはいかがでしたか。

 
増田氏:いいなと思ったのは、一つのカットでいろいろな種類を作ってくれるとういところ。デジタルの特長を存分に生かしてくれていると思っています。
 
短尺長尺、様々なパターンを撮っていって、その組み合わせで効果が違う、ということを検証できるように、かつ後々修正できるように、と考えながらクリエイティブ制作をしていただきました。作った素材を配信して運用しながら、「冒頭にこのメッセージを入れたほうが効果いいね」などと、まさに、運用型広告の特長を生かしたクリエイティブの制作をされていました。
 
もうひとつの強みは、とにかく、スピードの速さ。これは本当に凄いことだと思いましたし、非常に大事なところだと思います。昨年10月末に提案を受けて、12月には「Abemacial」の60秒動画も完成していましたし。
 
-今後の展望
昨秋からデジタル領域のプロモーションを多数実施されてきて、どのようなところに魅力を感じられているのでしょうか。

 
増田氏:デジタルの世界が広がっていく中で、媒体別や、目的を達成するためにどのようにお客様にメッセージを伝えていくのかを、しっかりとPDCAを回していけるということが一番いいところだと思っております。今後、リニューアルや新商品発売の際には、どのようなやりかたが効果的に届けられるのかを今回のプロモーションの学びを生かして進化させていき、また一緒に取り組んでいきたいです。

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TEXT:加藤 貴子   (株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部)
PHOT:山下 陽司郎(株式会社サイバーエージェント IR・SR室
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