2016/11/22 Tue
サントリー チンザノ、120%のブランドリフトを実現!
~クリエイティブから全体設計まで立体的な施策でブランドリフト効果に寄与~
三宅 智子 氏
サントリーワインインターナショナル株式会社
輸入ブランド部 課長
菅原 啓 氏
サントリーワインインターナショナル株式会社
輸入ブランド部
國塩 淳 氏
サントリービジネスエキスパート株式会社
宣伝部 デジタルグループ
二宮 功太
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 ブランドクリエイティブ部門
クリエイティブディレクター
竹中 剛
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 ブランドクリエイティブ部門
チーフプランナー
末永 剛
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 ブランドクリエイティブ部門
アートディレクター
サントリーワインインターナショナル社が輸入販売を行うスパークリングワイン「チンザノ アスティ」のプロモーションにおいて、
インターネットを基軸に、「Retty」・「東京カレンダー」・「Facebook」の3メディアを活用し、立体的な施策でブランドリフト向上を図りました。
本プロモーションについて、サントリーワインインターナショナル株式会社より三宅氏、菅原氏、
サントリービジネスエキスパート株式会社より國塩氏を迎え、当社担当者と共にインタビュー取材を行いました。
実施の背景とプロモーション概要
菅原氏:我々が輸入販売を行う、老舗イタリアスパークリングワイン「チンザノ」は、世界的には大きなブランドなのですが、ここ数年で新しい取組みが実施できていなかったことから、新しい客層である20代から30代の若年層を特に取り込めていないという危機感を持っていました。
去年までずっと、飲食店様で使用していただくブランディングツールといった「物」に頼ったプロモーションの限界を感じていました。今の時代、それだけではやはり消費者の心を捉えることは難しく、違う切り口でお客様に「チンザノ」というブランドを伝える必要があると考え、より広角的な施策を行いたくご相談させてもらいました。
CA竹中:今回のプロモーションでは、グルメWebサービスの「Retty」とタイアップしたコラボイベントの実施に加え、チンザノアスティが飲める首都圏の飲食店様の紹介を「Retty」内で展開し、また、Web版「東京カレンダー」とのタイアップでは、「お酒の履歴書」という連載小説を展開。そしてそれらを、Facebookの新機能であるリッチアドのカルーセル広告を活用し、この3メディアを柱に、クリエイティブから全体設計まで一気通貫して行うことで、施策がより立体的に厚みが出るような全体プロモーションを行いました。
チャレンジポイント
CA二宮:今回のプロモーションは、マス広告を打たないブランドでしたので、お客様に届ける効率的な手法が必然的にインターネット起点となるものでした。その上で、やはり立体的にメッセージを伝えることが重要だと考え、「Retty」「東京カレンダー」「Facebook」、この3メディアがどう連動すれば効果的に届けたいユーザーに響くのか?ということをポイントにプランニングを行いました。
國塩氏:施策全体を通していうと、チンザノを取り扱って下さっている飲食店様との接点も図りながらプロモーションをしなくてはならなかったので、今回のように飲食店様と一部連動しながらプロモーションに取り組んだことは、新しい試みだったと思います。
メディア観点でいうと、Facebookのリッチアド カルーセル広告は新しい試みだったと思います。ターゲットに合わせて、クリエイティブを最適化していただいたことで、ROI向上に寄与しました。
CA二宮:Facebookのリッチアド カルーセル広告の事例は、日本国内ではまだあまりないようで、Facebook Japanのクリエイティブチームからも、「今回のこのクリエイティブは面白い!」という評価も頂きました。
海外ではカルーセル広告の事例は多くありますが、日本ではまだ珍しいメニューでしたので、このメニューでクリエイティブに嗜好を凝らしチャレンジしようと決めて取り組みました。
CA末永:はい、クリエイティブには細部までこだわり抜きました。
画角がとても小さい広告枠の中で、どう印象的に見えるか、クリエイティブ1つ1つにデフォルメを施したり、乾杯のシーンを繋いでいく4つのカルーセル広告が、ユーザーが横にスワイプする動きと連動したクリエイティブになっているか?細部にこだわったことで、目にしたユーザーに対して、印象に残るクリエイティブに仕上がったのではないかなと思っています。
CA二宮:FacebookやTwitterのフロー型のメディアにおいては、ユーザーに『そこで止まってもらえるか?』ということがすごく重要です。
今回、ユーザーの画面に広告表示されたタイミングで、動画再生がなされるオートプレイ型でしたので、ユーザーにとってきちんとそのクリエイティブが『アテンションになっているか?』ということが、意外とポイントだったんです。メディアやデバイスの特性も含めてすごく気を遣いましたね。
國塩氏:カルーセル広告の周囲の反応としては、ローンチ後に、「あれ、良いよね」「どんな仕組みなの?」といった声を社内でも耳にしています。
動画のカルーセル広告というもの自体が国内で珍しい事例ですし、そういった目新しさと、ターゲットに即したクリエイティブの最適化が掛け合わされたことによって、周囲の反応もとても良かったですね。
実際にユーザーの反応を目にして
菅原氏:Rettyとのコラボイベントを実施した際に、イベント参加者のほとんどが、東京カレンダーとの連載小説を知っていたというのが一番びっくりしました。「最近、チンザノが東京カレンダーで連載小説やってますが、あれは何なんですか?」と、参加者の方から直接質問も頂いたり。こちらから話題を振っていないのに、お客様のほうから質問を下さるというのは、彼らの中でも気になる存在の1つになっていたのかなと思っています。
社内でも「面白くて思わず小説読んでいたら、チンザノじゃん!」というような声も。まさに、『お酒の履歴書』という連載小説のテーマが、うちの会社にぴったりでしたので、小説を読み進めながら、自身が追体験するというような社員も多いようですね。(笑)
東京カレンダーの連載小説は、社外的にもとても反響を感じた一方で、社内向けにもチンザノに対する親近感を増すような内容になったのかなと思っています。
プロモーションの効果
國塩氏:施策全体の効果指標を設定しておりましたが、結果としてその数値も達成し、またターゲットとしていた20代30代女性への認知率向上の効果もあったと感じています。施策全体の効果指標とは別に、施策毎の効果指標を設けても良いなと思いましたので、検証スキームにおいては次回に向けて活かしていきたいです。
CA竹中:はい、次回はさらに細かく目標設定をしていきたいですね。施策全体ですと、約120%のブランドリフト効果がみられました。
三宅氏:外部の仕事関係者の女性の方に、たまたま「東京カレンダーの連載小説いいですね」と言われたんですよ。そういう風に言っていただく機会もなかなかないですし、またそういった反応を見れたということも、それは点でしかないですが、やはりとても嬉しかったです。
第一回としては成功だったと思います、気づくことも多かったですし。
三宅氏:特にワインという商材は、種類がとても多くターゲットが見えにくく狭かったりします。マス向け商材ではないので、どのように効果的にターゲットにアプローチをしていくか、というのが非常にむずかしい商材です。
今回のように、インターネットを基軸にプロモーションを行ったことで、ターゲットを明確にでき、そしてシャープに突っ込んでいけるというところが、ターゲット層が狭く見えにくいワインにはすごく合っているかなと思いました。
また、ワイン以外にも、ビールの中でもクラフトビールがあったり、どんどん消費者の嗜好がニッチな方に進んでいるかとも思うので、今回のワインを手始めに、今後もビールやウィスキーなど他のお酒にも、インターネットを活用したプロモーション機会が増えていくのかなと感じます。
國塩氏:そうですね。ワインの市場自体、飲んでいる人も少なくターゲットも狭い市場です。その狭いターゲット層を捉える手段というのでいくと、マス広告で広く伝えるよりも、無駄なくアプローチできる手法だと実感しています。
今回は、ターゲットにしっかり当たったという感触はありますし、ターゲットと言っても単なるデモグラではなく興味関心の高い層に当てるとこに成功したメディア選定も、そしてクリエイティブも良かったです。このメディアとクリエイティブの掛け合わせが成功のポイントだとも思います。
菅原氏:チンザノはイタリアのブランドですが、イタリア本国でもブランドの方向性を強く打ち出せておらず、日本でも新鮮味が薄れキャラクターがほとんど立っていない状況だったと思うんです。
そういった状態から、今回のプロモーションを通じて、チンザノのキャラクターというのを、ぼんやりですが輪郭を作ってもらえたのかな、というところが非情に大きなステップでしたし、意味のある仕事だったと感じています。同時に、チンザノ以外の他ブランドでもこのような成果を生み出すことはやっていけるのではないかなと思っています。
國塩氏:結果を見て驚いたことの1つに、接触ユーザーがチンザノの印象を「気軽な・カジュアルな」という身近に感じてもらうことが、「味わい」という中身よりも、まずは大事な要素なんだと感じました。
まず、興味を持って飲んでもらうためには、こういうカテゴリーが大事で、「味わい」はその先でもいいのかな、と気づかされました。
今後の展望
國塩氏:イタリア本国からのフィードバックはまだないですが、カンパリジャパンからは「これは素晴らしい。来年もぜひ」という評価をもらっています。
次のプロモーションもまた、サイバーエージェントさんと一緒に新しいチャレンジをできればと思っています。
菅原氏:今回はお試しで東京エリア限定で展開したのですが、東京エリアでの事例を他拠点に共有したところ、「すごく面白い!」「売り場の拠点をもっと広げてやったら効果がある」という話にもなりましたので、今後、売り場をいかに広げていくかということが焦点になってくるかなと思っています。
売り場においても、業務用やレストラン店舗のみならず、今後はスーパーや酒店などとも上手く繋げられるような施策が展開できると、より販売効果も高まると思いますし、全国的な流れにも発展するのではないかと考えています。
CA二宮:日本国内では「チンザノアスティ」というものが、どういうブランドで、どういうポジショニングのブランドなのか、ということがエンドユーザーにはまだ伝わっていない気がしています。今まで手をつけてこれなかったということもあるかと思うのですが、やはりキービジュアルやキーコピーなどは、こういったブランドにも絶対に必要です。御社から業務店さんへの営業活動や、エンドユーザーへのアプローチにしても、すべてを一気通貫したコミュニケーション設計を、東京はもちろん地方に向けても行っていくべきだと思っています。2017年度は、まずそれを手がけていくことがファーストステップだと思っています。
CA竹中:今回のプロモーションで、共通キービジュアルがベースとして構築できましたし、そこからしっかりと発展させ、しっかり準備して今後作り込んでいけると、より厚みが増しユーザーに対しても記憶に残るプロモーションにしていけるのかなと思っています。
三宅氏:今回は時間がなかったですもんね。
CA末永:オリエンテーションが3月で、9月にはプロモーション完了させてくださいというお話しでしたもんね。
國塩氏:すごく急ぎましたね。この短期間で、これまでのことが実現できたということに感謝していますし、来期以降はもっといろんなことができるんじゃないかなと期待しています。
CA二宮:やっていきましょう。
今後、サイバーエージェントに期待すること
國塩氏:あり過ぎて何から語っていけばいいか(笑)。やっぱりサイバーエージェントさんは、とにかくレスポンスが早い。そして、クリエイティブのアイディアを含めてご相談ができるので、『ワンストップ感』をとても感じます。
ご提案いただく内容自体も、次元が違う、いい意味で異質なものをいつも頂けるので、我々もそのご提案をブランドに結びつけていきやすいんです。
そこからブランドにしっかりと結び付けていくのは僕らの仕事ですから、我々ももっと情報交換を密にしていき、他の案件も含めてもっと一緒にお仕事させていただきたいですね。
三宅氏:今回のようなインターネットに基軸を置いたデジタルど真ん中のプロモーションを行ったのは初めてでしたが、実施したことによって、気付かされたことがとても多かったです。驚きや発見が多かったと同時に、やはりもっと若い人たちに、知ってもらい飲んでもらいたい、と改めて思いました。
新しい若い層に向けてきちんと伝わるような企画を、今回きりで終わらせずにこれからも一緒にさせていただけたらと思います。
菅原氏:ワインは古い体質がまだ残っていますので、我々販売元だけで考えても、新しいことにチャレンジすることがなかなか難しかったりします。なので、サイバーエージェントさんとご一緒することで、今回の若い層に向けたチンザノのプロモーションのように、新しい風を吹かせてくれるんじゃないかなという期待感はすごくあります。これからも一緒にそういった新しいチャレンジをしていきたいと思っていますので、今後ともぜひよろしくお願いします。
CA竹中:ありがたいです。
CA二宮:今後とも宜しくお願いいたします。
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取材・執筆: 加藤 貴子 (株式会社サイバーエージェント 全社広報室 インターネット広告事業本部 広報)
撮影: 杉 麻子 (株式会社サイバーエージェント Design Factory)
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