本コラムは、動画広告をテーマに、制作フローや技術について全3回の連載記事にてお届けしており、
第1回目は、「企画構成」について、株式会社ムービーモンスターでディレクターを務める中村よりお伝えしました。
第2回目の今回は、同社でカメラマンを務める石井より、動画撮影の重要性についてお伝えいていきます。
広告効果をみるカメラマン
こんにちは。ムービーモンスターでカメラマンをしています石井です。
前回のコラムに引き続き、動画広告市場に関して今回はカメラマンの目線からお話をさせていただきたいと思います。
インフィード動画にはさまざまなクリエイティブが流れていますが、その中には実写と非実写(アニメーションなど)のものがあります。
その実写部分の素材作りの役割をカメラマンが担っています。
インフィード動画におけるカメラマンの大きな特徴は、
・各プラットフォームにおけるクリエイティブの数値の理解
・分析能力を求められる
という点です。そのため、自身の撮影をおこなったクリエイティブを中心に、撮影チームでは常に効果を数値として検証し、ナレッジとして共有化を図っています。
撮影と一言で言っても、実際に撮影を行うまでは多くの作業を必要とします。
モデル撮影を例にお話すると、
まずは案件に対するヒアリングから入ります。可能な限り密にフロントと連携をし、製作するクリエイティブに対してクライアント側からの要望を汲みとります。
後述しますが、カメラマンに関しても撮影サイドのナレッジを収集しているので、それを踏まえた上で細部まで仕上がりのイメージを共有します。
その後、モデルのアサインとなりますが、この際も、インフィードならではの手法をとります。
プラットフォームファーストの理念にのっとり、各プラットフォームに応じてコアユーザーに違いやモデルのかた自体の拡散能力(フォロワー数)なども考慮したモデル選びが要求されるため、アサインが複数名に及ぶこともあります。
一つの広告撮影といっても複数のクリエイティブを撮るということは、インフィード動画ならではの手法と言えます。
このように、モデルの撮影一つとった場合でも、インフィード動画の撮影は独自のスタイルで進化を続けています。
マス広告と比べた場合、クリエイティブの種類の多さ、撮影の頻度、スピード感といった多くの部分で異なる点があり、インフィードならでは撮影感覚というものは、今までのカメラマンとは別軸の価値を作り出しているように思います。
インフィード動画における撮影手法の確立
各プラットフォームや業種に関しての撮り分けの部分を、具体的な例をもとにお話ししたいと思います。
まずはプラットフォームですが、撮影の部分で最も大きな問題となってくるのが、入稿されるアドの縦横比です。それぞれに入稿規定が異なる上に、当然、表示のされ方にも違いがあるため、効果に直結する重要なファクトです。
これを素材の観点から考えた場合、「広めの世界観で撮っておけばどうにかなる」というものでもないので、それぞれのプラットフォームに応じて構図を作っていく必要があります。