2017/4/4 Tue

【連載対談】ブランドリフトを実現するクリエイティブの考え方 ~第1回:Facebook×サントリー「ルジェ」~

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吉川 亮 氏

サントリービジネスエキスパート株式会社
宣伝部 デジタルグループ

高橋 春菜 氏

サントリースピリッツ株式会社
宣伝部

川野 佑樹 氏

フェイスブック ジャパン
Client Partner Manager

二宮 功太

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 ブランドクリエイティブ部門
局長/デジタルクリエイティブディレクター

末永 剛

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 ブランドクリエイティブ部門
アートディレクター

竹中 剛

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 ブランドクリエイティブ部門
チーフプランナー

インフィード広告・動画広告でブランドリフトを実現するクリエイティブの考え方を全三回にわたってお送りする本コラム。
サントリー社Webプロモーション事例をご紹介させていただき、第一回目の対談では、Facebookに焦点を合わせてお送りします。
メディア毎の最適なクリエイティブを見出して、効果改善するプロセスや今後の展望について伺いました。

Facebookを起用した背景

高橋氏:当社で取り扱っているブランドの「ルジェ」は、輸入リキュールの中で一番の売上げ規模をしめており、カシスオレンジの飲み方でお客様に幅広くご愛飲いただいている定番のカシスです。一方で、カシスオレンジという飲み方のイメージが強く、「ルジェ」というブランドに想起しづらいという点が、ブランドとしての大きな課題でした。そこで3年前から、ルジェフルーツジャーという、フォトジェニックに映る、ジャーを使った新しいカクテルの飲み方の提案をしています。

吉川氏:今回のプロモーションでは、ターゲットを20〜30代女性に設定し、ターゲットと親和性の高いメディアを最大限活用する方法を考えました。ターゲット層である20〜30代女性は、日本人口の約1300万人にあたるのですが、FacebookやInstagramを活用することで、ターゲット層の約70%リーチすることが可能となります。
Facebookのアルゴリズムをしっかり活かしていくうえで、アドフォーマットをたくさん使ってリーチを伸ばすべく、今回クリエイティブを複数作り、FacebookとInstagramで広告配信を行いました。
 
フェイスブック ジャパン川野氏: 今回、サイバーエージェントさんが複数のクリエイティブ素材を制作されましたが、これほどの量を制作し配信したのはおそらく初めてです。これほどまでの量を作れたことによって、どんな素材がFacebookには合うのかという検証を行うこともできました。

クリエイティブのポイント

CA二宮:サントリーさんはテレビCMのマーケティングが中心で、超一流のクリエイターが制作に携わっています。そんなクライアント様のクリエイティブを、いちからすべて僕らに任せて頂くことができました。
撮影には、高橋さんも吉川さんも立ち会ってくださり、「Facebookの小さい広告枠の中でも、こういう表現をしたほうがいいよね」など、現場でアイデアが出ることもとても多かったです。クライアント様がいてくれたからこそ、その場ですぐに判断ができるというスピード感で、進行することもできました。

CA末永:クリエイティブでは、コマドリでルジェフルーツジャーが完成するまでをストーリー立ててカルーセル動画にしました。コマドリなので、一コマ一コマ、モチーフをテグスで釣ったりしながら制作したため、とても時間がかかりましたが、ターゲット層に好んでいただけるような可愛らしい動画を制作することができました。この動画は大変好評で、「イベントに使いたい」ということで、編集し直してイベントにも使用していただきました。
吉川氏:サイバーエージェントさんは常に新しいチャレンジをされているのだな、というのは本当にひしひしと感じていました。
沢山つくっていただいたこのギミックのあるクリエイティブを、サントリー社内にも共有したところ、社員の反応はとても良く、宣伝部からも、「こういう表現の仕方もあるんだね」という驚きの声をもらいました。
 
CA二宮:今回、様々な方向性のクリエイティブをご提案させていただいており、数多く提案したクリエイティブのほぼ全てを採用してくださっております。なぜ、ほぼ全てのクリエイティブを採用してくださったのでしょうか。
 
高橋氏:Facebookのアルゴリズム上、広告フォーマットを網羅し、各々に合ったクリエイティブを用意することが、リーチの最大化につながるというご提案をいただきました。それであれば、その効果を最大限引き出すためのクリエイティブは全て用意し、チャレンジしてみたいと思ったんです。
フェイスブック ジャパン川野氏:媒体視点でも、ここまでのクリエイティブ検証を行っている事例もなかなかないので、反応や効果をみるのがとても楽しみでした。

効果の上がるクリエイティブとは?

CA二宮:フックがあって滞在時間が長くなるようなクリエイティブであることが、ブランドリフトをしやすくすると思っているのですが、実際にはいかがでしょうか。

フェイスブック ジャパン川野氏:広告想起させるという意味で言うと、視聴時間と滞在時間のリンクについては過去にも検証がなされています。最初の3秒をフックにして、しっかりとクリエイティブを見てもらえれば、それが広告想起にもつながるでしょう。
動画ですと、音なし前提で再生されるのでそれを意識して制作することも大事です。サイズにおいては、画角を意識して正方形や縦型にすると、Facebook上のモバイル画面の専有率が大きくなるので、インパクトや視認率が上がります。これらを徹底することがモバイル最適化への一歩かと思います。

ブランドリフト効果

CA竹中:今回、Facebookとinstagramのプロモーションを実施した結果、広告想起・ブランド認知・購入意向の全ての指標においてプラスに転じています。

高橋氏:弊社で実施している調査において、今回は「ルジェフルーツジャーという飲み方がどれくらい浸透したか?」ということを年間のKPIとして設定しているんです。その年間KPIは達成することができており、それもこのコミュニケーションの結果があらわれたのではないかなと実感しています。 認知経路においても、FacebookやInstagramでの施策経由でのスコアが上がっています。通常ですと、マス広告の事前事後だとわかりやすいかとも思うのですが、Web施策の実施前後で、こんなにもリフト効果が出るのだということが実感できました。

吉川氏:今回のFacebookやInstagramの広告配信において、ターゲット人口の約半分にリーチすることができたと数値として表れています。 これは、ターゲットリーチという観点でマス広告と比較しても効果は負けてなく、その点をしっかりと可視化することができて非常に良かったです。
 
CA竹中:今回のターゲット層に対し、リーチがしっかりととれていたので、効率面のみならず、効果という面でもしっかりと数値を出せたのではと思っています。

今後の展開について

吉川氏:現在のサントリーのデジタル広告は、媒体最適クリエイティブを配信することで
効果を最大化できると考えおり、今回Facebook、instagram向けのクリエイティブ制作を致しました。
今後は、マスクリエイティブに限らず、デジタル専用素材を作り、デジタル広告のプロモーションの広告効果をもっと見いだせるように推し進めていきたいです。
 
高橋氏:私は、ルジェの他にも輸入リキュールを担当しているのですが、今回のルジェ同様に、SNSならではの広告クリエイティブを、サイバーエージェントさんと一緒に検討していきたいです。
マス広告に頼りきりではなく、きちんとブランドに貢献できるコミュニケーション活動に取り組んでいきたいです。

フェイスブック ジャパン川野氏:クリエイティブの効果検証においては、検証した結果が実際にどう効果につながっているのか?ということを更に可視化できるようにし、マーケティング活動により貢献できる仕組みづくりをサポートしていきたく考えています。
なお、新しい広告フォーマットもどんどん提供していますので、今後も一緒に取り組んでいき、国内において、一番の新しい広告の事例を一緒に作っていきたいですね。

CA二宮:「各メディアに最適なクリエイティブとは何か?」ということが結論だと思います。デバイスやユーザーが違えば、視聴態度や接触態度が変わります。また、広告配信のアルゴリズムが圧倒的に違ってきます。メディア毎に全てが違う中で、同じクリエイティブを使っていいのかというと、それは違うと思うんです。違うものに対しては、そこに合う最適なクリエイティブが絶対にあるはずです。今回は、そのクリエイティブにチャレンジできたと思っていますので、これを礎に、より高い次元でのチャレンジを御社と共に行ってけると嬉しいです。引き続き、フェイスブック ジャパンさんの多大なる協力もいただきながら、効果を生み続けていきたいです。
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