2024/9/5 Thu
セゾン自動車火災保険「おとなの自動車保険」、 12タイプの若年層向け認知獲得広告の制作を「極AIお台場スタジオ」にてDX化
~「極予測AI」による効果予測とLEDスタジオをフル活用して、工数を約1/4に短縮~
インターネット広告事業本部 クリエイティブプランニング
佐々木 渉
株式会社Cyber AI Productions
プロデューサー
ー 若年層の認知獲得に向けて「極AIお台場スタジオ」の利用を決断
今井氏:私たちはマーケティング部の中で新規獲得に関わるプロモーション領域を担当しています。主力商品である「おとなの自動車保険」は事故率に合わせて1歳刻みの保険料体系を実現し、他社だと保険料が高止まることが多かった40-50代の方を中心に選ばれ、最後発ながら約10年ほどでダイレクト自動車保険業界で2位の保険契約を保有しています。
直近ではシンプルでわかりやすくなるように商品を改良していることもあり、保険を難しいと感じる方が多い若年層へのトライアルを行いたいという状況でした。
そこでまずは、自動車保険の乗り換えを検討している若年層の方にWEB広告で刈り取り施策を行ってみたのですが、若年層にはアンマッチブランドと認識されているのか、なかなか投資対効果(CPAなど)の折り合いがつかず、突破口を見出したいと思っていました。
大脇氏:保険という商材は安全・安心・確実といった点を大事にしているので、訴求もそうした要素が強くなりがちです。チームの中で「若年層のライフスタイル・関心と結びつく訴求軸を探りたい」「せっかくだから認知ファネルから丁寧にやってみたい」という課題感が出てきた頃に、サイバーエージェントさんから、オープンしたばかりの「極AIお台場スタジオ」を紹介していただいたんです。
CA出口:昨年9月にスタジオがオープンして、見学ツアーの案内をさせていただきました。LEDを使って複数シーンを一度に撮影できることや、撮影素材の効果予測をその場で確認できるといった特徴を持つ国内最大級のスタジオで、複数パターンの広告を撮影・配信して効果検証を行うのに最適な環境です。まさに貴社のような課題をもつ企業にはピッタリだと考えていました。
今井氏:LEDに投影された画像が変わると、まるで別のセットに移動したようにガラッと部屋の雰囲気が変わる事には驚きました。従来の撮影現場では別シーンを撮るのにセット変更が必要で、撮影パターンを追加すると撮影日数も予算も増えるのが当たり前。複数パターンの広告を制作・検証するのはコストがかかり、および腰にならざるを得なかったんです。
でもこのスタジオなら、セットを少し変えるだけで簡単に複数パターンの撮影が行えます。Youtube広告で配信効率を見ながらクリエイティブ修正が可能そうなイメージが湧いて、参加したその日に「ここを利用したいので詳細を聞きたい」とお伝えしました。
CA出口:ツアーに参加して「すごい」「やりたい」というお客様は多かったのですが、実際に、即日でほぼ「やります」と言って下さったので私たちとしても嬉しい驚きでした。
大脇氏:LED背景とモデルとなる人物が入れ替わると、効果予測スコアがリアルタイムでわかる事も魅力でした。新たに開拓するユーザー層の反応が未知数であっても、一定の成果は求められます。予測スコアが現状の広告を超えているなどのエビデンスがあれば、社内承認も得やすいと考えたんです。
そこで、今井がクリエイティブの方向性検討を含めたプロジェクトリードを行いつつ、私が認知領域担当として訴求軸の検証やブラッシュアップを行うという体制で、まずは開始してみました。
ー 「極予測AI」の効果予測をフル活用してスモールマスに向けたキーファクターを発見
CA出口:私がクリエイティブプランナーとして、AIを使ってきちんと効果が見込める要素を盛り込んだクリエイティブをご提案しました。保険という商材を念頭においた事や、初回なので飛ばしすぎないようにとブレーキを踏んだ事もあり、少し保守的な案からご提案させていただきました。
今井氏:はい、保険商材ということもあり配慮いただいたのだろうと思ってまして(笑)。最初にいただいた提案がずいぶん堅いアイデアだったのですが、私たちとしては、「従来のクリエイティブスタイルを変えたい」「もっと冒険したい」と考えていたところだったのです。なので、マス向け広告では実現できない、ターゲットの興味関心ごとに分類されたスモールマスに響く、より若年層が身近に感じやすい広告にしたいとお伝えしたんです。
CA出口:そのように仰っていただいたフィードバックが、このプロジェクトの転換点だったように思います。良い意味でリミッターを外していただいた事で、「この商材を求めるスモールマス層とは」「その層に刺さるクリエイティブとは」という本質的な問いに突き進んでいくことができました。
まずは「自動車保険」というワードで検索した経験のある20代男女が、他にどんな情報に接触しているかを調べました。すると男性なら「ゲーム」や「漫画」、女性なら「資格取得・習い事」などのワードを比較的高い頻度で検索している事がわかりました。
併せて、若年層に高い訴求効果が期待できて、かつ従来のスタイルとは異なるクリエイティブ案について、AIを駆使して効果予測を繰り返しました。全体的な装飾・デザインや、主に登場する人・物の写り方、背景や文字、音声など様々なファクターを検証した結果、複数人物の顔のアップがある事など、いくつかのキーファクターが重なると良い効果予測が得られるという傾向を把握しました。
そこで、発見したキーファクターを冒頭に入れながら、スモールマス層の関心事を掛け合わせたサンプルを数点作成し、2案目としてご提案させていただきました。
今井氏:拝見して「おっ、これは面白くなりそうだぞ」と感じた事を覚えています。今だから聞いてしまうのですが、ボツ案もあったんですか?
CA出口:ありました。どこを修正してもあまりスコアが上がらない、という時期があって…。プランナーとしては良案に思えても、きちんとブラッシュアップして効果予測の良い案に仕上げるまでに少し苦労しましたね。
今井氏:面白いですね。2回目以降のクリエイティブは総じてレベルが高かったと感じているのですが、サイバーエージェントさんの内部でのAIとの対話が、クリエイティブの質を底上げしているのかもしれませんね。いただいたプランは、スコアが可視化されている事も含めて評価が高く、社内の合意形成もスムーズでした。
大脇氏:ある広告について若年層がどれだけ身近に感じるか、社内で確認をとるにも他の年代の社員にはなかなか判断しづらいんです。しかし今回はキーファクターもターゲット層も可視化されていたので、判断軸を言語化しやすかった。もちろん最後には人の判断が介在することもありますが、そこまでの過程を品質高くクリアしていただいたので、私自身、自信を持って企画を進めることができました。
ー 事前に制作した予測効果の高いプロトタイプを元に撮影準備を実施
CA佐々木:私は映像プロダクションのプロデューサーとして、企画から演出に入っていく段階から参加させて頂き、撮影までの準備のところでキャスト選定からLEDに投影する背景含めて、AIをフルに使い、制作進行の過程で細かく何度もご提案させていただきました。
お客様にとっても新しい形での広告制作だったかと思うので、丁寧に時間を取って進行させて頂きましたが、その分やりとりの頻度もかなり多く、だいぶお手間をおかけしたのでは、と思っています…。
今井氏:いえいえ、この事前作業を行えて本当によかったなと心から思います。撮影前段階の確認を丁寧に行うのは、私の大事な役割です。そこを疎かにして後で注文をつけても、どうにもならない事も多いですし。今回は「極AIお台場スタジオ」を初利用する中で、一緒に判断基準を作り上げていった感覚があります。事業主側の役割意識やチャレンジ精神も、意外と大事なのかもしれませんね。
CA出口:映像の検証・修正について細かく確認をご依頼するのは、正しい進め方だと思いながらも、どこかで皆様のお手間をいただく心苦しさがあったんです。今のお話を聞いて少し肩の荷がおりました。
CA佐々木:背景セットなどの撮影準備も10パターン以上ご確認をお願いしましたが、こちらはどのように感じていますか?
今井氏:撮影準備は、まさに予測精度の高い「極予測AI」xLED活用の「極AIお台場スタジオ」の強みや凄さを実感できた過程でした。従来の撮影だと、背景のライティングや小物の配置などの調整は、カメラ写りを確認しながら現場で調整しなければなりませんでした。
その結果、撮影現場ではクオリティの向上よりも気になる箇所の修正に多くの時間を費やさなければならなかったんです。でもこの仕組みなら、そうした会話は全て事前に詰め切る事ができる。
背景とヴァーチャルな人物を組み合わせたサンプル映像も事前に確認できて、しかも効果予測がスコアリングされていました。「キッチンの壁は◯色の方がスコア高いね」といったレベルで具体的に決めていく事ができて、社内の合意形成・意思決定もやりやすく感じました。
現場仕事の慌ただしさに煩わされる事が極端に減って、クリエイティブと効果に集中できたのは、素晴らしい体験だったと思います。
CA出口:私たちが実現したかった世界観を、そのまま言葉にしていただいて、本当にありがとうございます。
CA佐々木:撮影現場に入った後にできる事は、本当に限られています。セットやカメラの調整に時間をとられてしまい、俳優の演技を複数パターン撮影するなどの試行錯誤が出来なくなるといった経験もありました。「極AIお台場スタジオ」は、スタジオでの撮影時間を可能な限りクリエイティブの質に費やせる環境だと自負しています。
ー 驚きと共に実感した撮影工程の短さ
今井氏:最終的には6パターンのマスタクリエイティブを撮影することになりました。カップルがゲームするリビングや英会話教室など複数シーンを準備し、英語を話す方など周囲の登場人物も入れ替えながらの撮影で、普通の撮影なら2~3日かかる工程だったと思います。ところが当日8時にスタジオに入って、ほぼ半日の18時には全ての撮影を終えて帰路に着けた事には、本当にびっくりしました。
大脇氏:今まで撮影は夜10時頃までかかるものだという先入観があったので、とても新鮮でしたね。みんなで帰りながら「これだけの量を作れたのに、もう帰れるよ!?」って話していました。
CA佐々木:カメラアングルとライティングを撮影前に詰め切っていた事が大きかったですね。ヴァーチャル人間を使った事前映像を事前にご確認いただいていることで、制作チームのみならずお客様においても撮影内容のイメージが想定できていたので、スケジュール通りに撮影を進行することができたと思います。LEDによる場面転換もスムーズだったと思います。
今井氏:当日はセリフや演技のバリエーションを増やすなど、「どうやったらより効果の高い広告になるか」という会話に集中する事ができましたよね。
CA出口:複数セットを入れ替えたりロケ場所を移動する事で同じ様な進行を実現することも出来なくはないのですが、当然、費用はかかります。「極AIお台場スタジオ」を使えば、そうした余剰コストをすべて広告効果を上げるために使う事ができます。
今井氏:配信し始めたクリエイティブが、すでに狙い通り効果を上げつつある事も嬉しいですね。
CA出口:そうですね。今回は自動車保険乗り換え層へのリーチが主だったのですが、これから車を購入される層にも効果的であることが見え始めています。申込みを目的にした獲得広告としても今回のクリエイティブが既存のものを一部超えるなど、初速は狙い通りの成果を上げつつありますね。
CA佐々木:ブラッシュアップ素材も同日に撮影済みなので、検証フェーズが終わり次第、すぐに次の打ち手を講じる事ができます。そうした備えも含めて、とても良い“はじめの一歩”を踏み出せたのでは、と感じています。
ー 今後の展望
今井氏:今回の撮影では、色々な可能性を感じる事ができました。撮影日を短縮する事で浮いたコストを使えば、著名な監督に制作を依頼したり、楽曲に予算をかけることもできますよね。未来都市での生活など、通常では撮れないようなシチュエーションを作ることだってできるわけですし。
CA佐々木:おっしゃるとおりですね。LED背景を使うと場所だけでなく、時間や天候もある程度思い通りに撮影することができます。有名俳優の方を起用する場合も、3Dスキャンによるデジタルツイン(本人そっくりのCGモデル)を使うなど、様々なアプローチを試していただける環境が揃っています。
大脇氏:仕上がりを見て、TVCMも同じ仕立てで撮影できるのではと思いました。室内背景ではぱっと見は他のTVCMと遜色ないので、「これなら行けるんじゃないか」と社内でも話しているんです。
今井氏:縦型と横長の二種類を同日に撮影して、6秒CMやロングバージョンなど出し方を変えた形で撮影することも、無理なく出来そうな気がしています。
CA出口:そのような事例は実際に増えつつあります。撮影は1日にまとめつつ、ファネルを分けて配信していく形ですね。各クリエイティブの統一感を保ちながら、商品説明から獲得を行うものと、認知拡大を行うもので作り分けて配信するという。
今井氏:いいですね。
CA出口:スモールマスに向けた広告戦略は、これからより広がっていく予感がしています。今回は若年層向けに特化したクリエイティブでしたが、「おとなの自動車保険」が獲得できるユーザー層は他にもたくさんあると考えています。
今井氏:まさに、メインターゲットとなる40〜50代に訴求するには、地上波とのミックスが鍵になるような気がしています。新たなテクノロジーの利用を含めて、ぜひこれからもご一緒させてください。
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記事制作・撮影: 株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 広報
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