2022/4/13 Wed

効果予測AIで広告クリエイティブの効果最大化を図る「極予測AI」導入で、CVR170%改善・CV数も大幅拡大

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サントリーウエルネス社による「極予測AI」の活用事例


サントリーウエルネス社の提供する商材「DHA&EPA+セサミンEX」や「ロコモア」「グルコサミン アクティブ」などの、事前に広告配信効果を予測する「極予測AI」を導入した効果事例について、巨大LEDウォールにより高精細なCG背景空間で撮影が可能な当社保有のスタジオ「LED STUDIO™」* にて、サントリーウエルネス株式会社より藤澤氏を迎え、当社担当者と共に対談を行いました。


*「極予測AI」について:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=24647
*「LED STUDIO™」について:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=25264

藤澤 周平

サントリーウエルネス株式会社
メディア部 主任

楠田 康隆

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
メディア営業 リーダー

中西 桃

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
ブランド営業

亀山 千尋

株式会社サイバーエージェント
AI事業本部
AIクリエイティブDiv. プロダクトオーナー



「極予測AI」を導入した背景と、当時の課題感
 
藤澤氏:私は現在サントリーウエルネスの取り扱う健康食品・美容商品にて新規のお客様獲得を目的としたメディア部門に所属しています。テレビ、新聞、雑誌というオフラインの媒体とは異なり、Web広告にはアルゴリズムが存在していると理解しており、社内では「広告掲載システム」と言葉の定義をしています。
この広告掲載システムによって、われわれ広告主が本来お客様に届けたいメッセージを、必ずしも届けることができない状態があると課題を感じていました。
そこで、各媒体のアルゴリズム分析の先駆者であるサイバーエージェントが提供する「極予測AI」を活用することによって、適切なメッセージをお客様に届けることができるのではないかと思い導入を決めました。
 
CA楠田:"届けたいメッセージを正しく届ける" に加え、我々の仕事は "効果を出す" ことです。
Web媒体の場合は、必ずしも「 "広告主様が届けたいメッセージ" と "効果が出ること" の相関があるわけではない」という積年の悩みがあったのですが、提供を開始した当社のシステム「極予測AI」を活用することで、課題感の大枠を払拭できると思いご提案させて頂きました。
 
CA亀山「極予測AI」は、当社の有する研究組織「AI Lab」にて開発された広告効果が事前に分かるAIモデルを活用し、今配信されているクリエイティブよりも効果の高いクリエイティブを提供するシステムです。弊社のクリエイターに提供し、システムを通して作ったクリエイティブをお客様にご提供しています。
効果が事前に分かる仕組みがあることで、広告アルゴリズムで効果の良い広告を入れれば入れるほど運用効果を改善することを目指して作ったシステムです。



​実施内容と効果
CA楠田:健康食品や化粧品などの業種に限ったことではないですが、広告配信において、どうしても一定のパターンの広告の効果が高く、新しいクリエイティブが過去を超えることが難しい、という苦悩がよくあるかと思います。
また、Web広告の仕組み上、新しいクリエイティブが媒体評価を受けれず、広告が露出されない・露出されないので、クリエイティブの良し悪しの判断ができない、ということも起こります。

商品として伝えたいポイント、効果が良いポイント、媒体が評価してくれるポイントが常にイコールではないので、媒体評価を意識しないと出したい広告が出ない、ただ、媒体評価に寄りすぎた広告だと今度は効果が出ない、といったジレンマがWeb広告にあると思っています。

サントリーウエルネス様の当時の状況においても似たようなことが起きており、新しく取り組んだクリエイティブは露出機会が得られずに、正しい評価ができなかったり、過去の効果を超えることができず、結局同じようなクリエイティブばかりで、そもそもの効果状況が変わらない、といった時期が長く続きました。

そのようなタイミングで、既存クリエイティブと「極予測AI」を使ったクリエイティブをそれぞれ用意し、"届けたいメッセージは押さえつつ、媒体評価が高くて効果も出る、新しい広告を作る" ことが実現できるか、商材「DHA&EPA+セサミンEX」にて、YDAで実際にテストさせていただきました。

2か月ほどの検証期間を設けて実施させていただき、結果は既存クリエイティブに対して、CV数が大きく拡大し、CVRも170%改善しました。
効果という面では、目標に対しては及ばずでしたが、明らかに今までとは違った新しい成果を得ることができ、膠着した状態に一定の活路を見出すことができました。

以降、YDAの配信のみならず様々な媒体や、「ロコモア」「グルコサミン アクティブ」などの商材単位でも展開し、現在も効果の出る新しいクリエイティブの創出に取り組み続けています。

藤澤氏:具体的な数値以外に感じている効果としては、少し抽象的な話ですが、本件を通じて、"予測" という概念がWeb広告に存在するということと、またその "予測" と、"予測の再現性" が「極予測AI」はとても高いという点です。
われわれの広告活動でも、"再現性を追求する" ということを一つのテーマとして掲げているのですが、「極予測AI」を活用することで、事前に予測しその予測に紐づく結果を再現性を持って取り組めているので、新たなヒットクリエイティブの創出や、継続的な効果改善ができていると捉えています。

「極予測AI」をより効果的に駆使するために
 
CA亀山:広告クリエイティブの作り方は、「極予測AI」の導入前後でかなり異なっています。導入以前は、媒体のアルゴリズムから分析し作られた、当社独自の広告クリエイティブ運用ルールを基に営業やコンサル、クリエイターがPDCAを仕組みで回していました。

ルールに則り大量にクリエイティブを作り、PDCAを回して、毎週入稿して、効果が良いものを生み出していく、というフローでした。「極予測AI」ができてからは、クリエイター自身が今配信しているクリエイティブと、制作しているクリエイティブの効果を比較しながら、レイヤーごとに効果の良い素材の選択と予測を、何度もしながら最も効果の良いクリエイティブを制作していけるようになりました。

広告のクリエイティブと言うのは、レイヤー構造になっており、そのレイヤーが重なり合ってクリエイティブが構成されています。背景レイヤー、コピーレイヤー、人物画像レイヤー、といったような形です。
「極予測AI」では、広告クリエイティブのレイヤーごとに効果予測スコアの高い素材をクリエイターにレコメンドしています。実際の管理画面を見て頂くと分かりやすいかと思います。これは営業も見たことのない、クリエイターまでしか見ることのできない画面になります。
藤澤氏:「極予測AI」は、作ったものを予測するのか、予測しながら作るのか、どちらなのでしょうか?
 
CA亀山:レイヤーごとに予測しながら作っています。
例えば、どの撮影素材が良いのか、またそのトリミングの位置はどうか、構図をどうするか、ということを、レイヤーごとに予測しながら作っています。一本作るまでに何回も何回も予測をかけています。
 
CA楠田:工数は増えていますよね。
 
CA亀山:はい、増えています。ただ、予測をする工数分増えてはいるものの、「これ、効果良いかな?」と悩む時間は大幅に減っており、効果が出る確率も上がっていますので、効果の高いクリエイティブを作るという点でいうと効率は上がっていると思います。
 
CA楠田:AIというと、「あとはAIよろしく」でお任せと思われがちですよね。
 
CA亀山:AIの予測精度は100%当たるわけではないので、クリエイターが予測AIを駆使していく必要があります。クリエイターは、制作した自分のデザインを予測AIに何度も事前にあてて、そこで検証を繰り返しています。そうすることで配信を開始する前からナレッジを貯めることができる上に、予測スコアの高かったクリエイティブのみを配信することが可能になります。

今までは大量にクリエイティブを制作し、配信した結果からナレッジを溜めていました。しかし現在では、広告費を使わず過去と同様のことが可能になったので、広告主様とクリエイターの両者にとって有意義なものになっています。  
このようにクリエイティブを作っているので、最終的な成果物だけを予測しているということではない作り方になっており、ここが工夫している点です。
 
藤澤氏:「AIに任せることによって全てのアウトプットが出てきている」と捉えていましたが、そこに段階というものがあって、一つひとつの組み合わせによって、それぞれに効果が予測されていて、かつそれが踏襲されたものがアウトプットになっている、と理解しました。
また、「素材×パターン」というところが効果に大きく直結しそうな印象を受けました。
 
CA亀山予測にかけられる素材は多ければ多い方が良いので、広告主様ごとに独自の素材をどう獲得するのか、というのは非常に重要です。LEDパネルを使用した撮影を予測をしながら行う「極予測LED」*  や、実在しないモデルで沢山モデル生成するソリューション「極予測AI人間」*  なども提供しており、御社独自の効果の良い素材を見つけることが可能になってきます。

藤澤氏:もう一つ思ったことは、起点となるベースのクリエイティブの置き方によって、効果の変え方を作ることができると思いました。そこが今後の伸びしろになり得るのかなと。
最初に入れるベースとなるクリエイティブの幅を広げることが、効果改善の幅にもつながっていくと思います。

CA楠田:予測とはいえ、クリエイターさん自体の変数もありますか?
 
CA亀山:サイバーエージェントのクリエイターはシステムを活用しながら、撮影を自分で企画し、効果の良い素材を自分で作り出し、そこからデザインを制作することが可能です。今後は、当たり幅を大きく出せるクリエイティブを「極予測AI」のシステムとしても提供していくことが次のステップだと思っています。
 

*「極予測LED」について:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=25695
*「極予測AI人間」について:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=25322




効果を出すためにクリエイティブにおいて工夫しているポイントとは?
 
CA中西:クリエイターの方とは、「なぜこのクリエイティブが良いのか?」という認識のすり合わせをすることがとても大事だと思っています。
もちろん、予測AIをかけてみてスコアが高いクリエイティブをつくることが大前提にはなるのですが、クリエイティブの配信実績を元に、良かった要素は何なのかの仮説を持った上で、予測AIを使ってクリエイティブの壁打ちをしています。人の思考を介したプランニングに加えて、さらに予測AIにかけて確度を高めていくということを意識しています。
「極予測AI」の導入によって、そこを思考する時間が増えたことで本質的なことができているととても感じます。
今後の展望
 
CA楠田:現状「極予測AI」を活用し、バナーの領域で一定の成果が出始めていますが、より成果を加速させるための次の一手として、「極予測LP」の導入が始まろうとしています。予測の領域をもう一歩踏み込んで、バナーとLPの双方で極予測シリーズによる成果の最大化にしっかり取り組んでいきたいと思います。

CA中西:バナーのデザイン部分においては予測AIを活用して、確度を高めることができていますが、「訴求軸の開発」においてはどうしても人の力を使うことが必要です。訴求軸の分析のために、バナー内コピーに対して訴求軸ごとのフラグ立てをして細かく分析をしたこともありました。

ただ、先ほど管理画面を見ていただいたように、今はコピー部分もAIで「どういう要素のものが良いのか?」ということを出せる仕組みが整ってきています。先ほどおっしゃっていた「素材」部分も絶対に重要ですが、「訴求軸」部分においても、AIの力を使ってより高確度なものが今後はできたらいいなと思っています。
 
CA亀山:"効果の良いクリエイティブを提供する" ことをもっと突き詰めていきたいです。「極予測AI」のシステムとしては、予測モデルの精度を上げていくことと、"広告効果がジャンプアップするような改善幅" が次の課題になってくると思いますので、AIを活用しながらクリエイターとどう使いこなしていくか、ということを考えていきたく思っています。
 
もう一つは、いかに広告主様独自の効果の良い素材を獲得できるかということです。ご紹介させていただいた「極予測LED」や「極予測AI人間」をより良くしていくことはもちろんのこと、例えば、静止画や動画の中に含まれているほかの要素も、素材として予測することやレコメンドできるようなものを作っていき、より研ぎ澄まされたサービスにしていきたいなと思っております。
 
藤澤氏:まず「極予測AI」に期待することに関して、一つ目は予測範囲の拡大です。
今は広告効果の予測がベースになっていると思いますが、広告に接触したときの顧客心象まで予測の範囲が拡大できないのかと考えています。
顧客心象を捉えた活動を我々としては行っていきたく、またお客様が何に価値を感じて商品を購入して頂いているのかが分かることが、結果的に広告効果の高いクリエイティブを創出することにつながると思っています。そういった観点で予測範囲の拡大に期待しています。
 
二つ目は、仰って頂いていたように、改善幅の拡大です。
過去の配信データの参照など過去の結果に対してのベースになっているかと思いますので、過去データやパターンに捉われない予測モデルの構築が今後必要になってくると思っています。ある種、この新しいモデルの構築というところに関しては、我々と一緒にモデル構築をできるかなと感じています。
 
インターネット広告の特徴でもありますが、テクノロジーを駆使していかに広告効果を最大化していくか、ということが求められる一方で、やはり広告の先にはお客様が存在しますので、一人ひとりのお客様に寄り添った広告活動をこれからもご一緒させていただきたいです。

そういった観点からも、テクノロジーとヒューマニズムというかお客様一人ひとりの心をしっかりと把握する必要性があると思っており、ある種相反する二つをいかに調和させられるか、というところが今後重要になってくると思っております。

*「極予測LP」について:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=26317

 






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取材・執筆: 加藤 貴子  (株式会社サイバーエージェント  インターネット広告事業本部  広報)

撮影    : 杉 麻子

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