2019/7/26 Fri

創立70周年のブランドムービー「Honda “ORIGAMI”」に込めた、時代を超えて共通するホンダの想い

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伊藤 昌博 氏

本田技研工業株式会社
ブランド・コミュニケーション本部
ブランド部 プロモーション・デザイン課
主幹

金塚 征志 氏

本田技研工業株式会社
ブランド・コミュニケーション本部
ブランド部 プロモーション・デザイン課
技術主任

近藤 智子 氏

本田技研工業株式会社
ブランド・コミュニケーション本部
ブランド部 プロモーション・デザイン課(当時)
チーフ

中橋 敦

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
ブランドクリエイティブ部門
クリエイティブ ディレクター

重松 賢司

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
ブランドクリエイティブ部門
プランナー

桑原 誠尚

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
ブランドクリエイティブ部門
プランナー

本田技研工業株式会社の創立70周年を記念したブランドムービー、「Honda “ORIGAMI”」の企画・制作を実施。
「Honda “ORIGAMI”」は、Hondaのプロダクトすべてを折り紙で制作し、1つ1つ手で動かしながら撮影したコマ撮り映像。CG一切無し、背景も含めてすべて折り紙で表現することに挑戦した “圧倒的なクラフト感” を追求。折り紙の折り目に、Hondaが積み上げてきた想いと技術を重ねています。

本プロモーションについて、本田技研工業株式会社のプロジェクト担当者を迎え、当社担当者と共にインタビュー取材を行いました。

サイバーエージェントをオリエンテーションに招くこと自体が前代未聞の出来事だった。 “新しい風を吹き込んでほしい”という想い

― 今回のオリエンの内容とその背景について
 
近藤氏:昨年2018年に、ホンダは創立70周年を迎えました。この記念すべき年に70年間を振り返り、社員それぞれに働いている誇りや意義、想いを再確認してほしいと考えていました。そこで、その想いを体現した映像を制作したく、代理店様各社にオリエンを行いました。
 
オリエン時にお話したのは、創業から時系列的に歴史を振り返るような映像は作らなくていいということです。それよりも、ホンダの核にある考え方や、大切にしてきたもの、そしてそれを次の未来にどのようにして繋いでいくのか、といったことを表現して頂きたいとお伝えしました。


― 代理店コンペの結果、サイバーエージェントに決めたポイントとは?
 
近藤氏:そもそも、サイバーエージェントさんをオリエンに呼んだということ自体が、実はチャレンジングなことだったんです。
他の代理店様は今までお仕事をしたことのある会社ばかりだったのですが、社内の他部門の者から、サイバーエージェントさんの手掛けた出光様の創立105周年の映像がすごく良いと事例記事の紹介を受け、吉と出るか凶と出るかはわからないけれど、新しい風を吹き込んでほしいという想いで、今回初めてサイバーエージェントさんにお声がけをさせて頂いたんです。
 
金塚氏:手掛けられていた出光様の映像自体もさることながら、WORKSの出光さんの事例記事の中でみなさんが仰っているインタビュー内容に非常に共感できるところがあり、期待を感じている部分もありました。
 
近藤氏:その記事にちょうど中橋さんが出ていたんですよね。それを見て、どんな想いで制作されたのかを知り、真摯な姿勢に感銘を受け、お呼びすることとなりました。元々は、サイバーエージェントさんってWebコンテンツに強い会社で、映像やクリエイティブにも強いという印象はなかったんです。
 
CA中橋:オリエンの時、初めに名刺交換をさせて頂いた際も、出光さんの事例記事を見ましたと仰って頂いて、とても嬉しかったです。
金塚氏:今回みなさんに決めたポイントとしては、出光様の事例記事でみなさんのひとつひとつの作品に対する想いや向き合い方を知れたこと。そしてもう一つ決め手となったものが、“若さ”でした。
実年齢の若さということではなく、常にチャレンジしているという意味での若さです。

弊社の企業哲学である「Hondaフィロソフィー」の運営方針の1つにも、「常に夢と若さを保つこと」という言葉があるのですが、それに通じるものを感じました。
その“若さ”に賭けてみたかった。そして、今回の件だけでなく、今後も色々とお付き合いしていける“可能性”を感じたんです。
 
伊藤氏:代理店様でよくあるのは、クライアントを意識しすぎて、依頼通りの角の取れたクリエイティブが出てくること。サイバーエージェントさんは、そうではなくて、若いパワーがみなぎっていた。それが決め手ですね。
 
近藤氏:正直、最終的に迷った代理店さんとサイバーエージェントさん、どちらに任せてもクオリティの高いものはできるだろうなと感じました。ただ、サイバーエージェントのみなさんの提案時の想いや情熱にすごく惹かれ、「この人たちと一緒に仕事をしたい」と強く思ったんです。
 
CA中橋:嬉しいですね、ありがとうございます。

“The Power of Dreams” を表現する、という挑戦

― オリエンを受けてから提案まで、サイバーエージェントではどんな話し合いや工夫を?
 
CA中橋:今回お声がけ頂いた中で、我々は圧倒的な新参者。なので、とにかくホンダさんについて詳しく知ることから始めました。ホンダさんの歴史を振り返りながら、みんなで様々な雑誌や過去の記事などを読み込んでいったんです。
 
探していたのは、「過去にも未来にも通ずるホンダの良さとは何か。時代を超えて共通するものは一体何なのか。」ということ。調べれば調べるほど、これまでたくさんのチャレンジをされてきたことを知りました。その中で得られた成功を声高に語るでもなく、次から次へとプロダクトを通じて、世の中にインスピレーションや活力を与え続けていることに凄みを感じました。

また、ホンダさんの持つ、未来に向かうエネルギーを、今回の作品を通して感じて頂きたいと思いました。
 
そうして議論を進め、どの時代にも共通するホンダの良さを突き詰めていった結果、最終的に、“The Power of Dreams” の言葉にたどり着いたんです。このメッセージに立ち返り、『“The Power of Dreams” という言葉の持つ世界観を、どうすれば表現できるのか?』と、アイデアを固めていきました。

― 映像のアウトプットの形としての “折り紙”、これはどのようにして着地したのでしょう?
 
CA桑原:「夢をカタチに」という言葉がホンダさんのWebサイトの中にありまして。その言葉から、「夢を形にする、考えたものを形にするものって何だろう?」と議論を交わしていきました。そして、跡として“折り目が残る”というところに注目し、最終的に折り紙という手法に着地したんです。
 
金塚氏:折り目の線に、ホンダのこれまでの歴史・技術・想いが込められていて、それを継承してまた新しく折り紙を折る、という考え方も非常に納得できたし、とても興味が沸きました。
 
CA重松:ホンダさんは日本が誇るグローバル企業です。元々は、社内の方々に向けての映像と伺っていたのですが、我々としては、世界中のホンダファンの方々にも “The Power of Dreams” のメッセージを発信できるものにし、世界中の声・反応を拾い、改めてホンダで働くことを誇りに思ってもらいたいと思案していたんです。

その点においても、世界的に知られていて、かつ、日本らしさも表現できる折り紙は、グローバルに発信していく上でも最適なモチーフでした。また世界中で見てもらえる映像を目指して、ナレーションや文字表現を一切使わないなど、固定の言語での表現にならないように配慮しました。
 
金塚氏:実は、当初より、裏テーマとして、「対外的に発信できるもの」「グローバルで使えるもの」という考えは持っていました。我々の想いをうまく拾い上げてくれたのかもしれませんね。

互いに何度も想いをぶつけ合うことで、100点以上のものが生み出される

― 映像を見た社内のみなさんからの反響は?
 
近藤氏:Webに動画をアップした時、すごく前向きで温かいコメントが本当に多くて。若手社員からは、「こういうことができる会社なんだなとすごく元気をもらいました」という言葉をもらったり、世界観の温かさや映像では見えていない背景まで含めて、想いを感じてもらったりすることができました。想像していた以上の反響があったと感じています。


― サイバーエージェントとクリエイティブ領域での取り組みは初めてですが、印象の変化などありましたか?サイバーエージェントに対して、映像制作やクリエイティブもできるという印象はなかったと思うのですが。
 
伊藤氏:制作段階でお互いにアイデアのキャッチボールを重ねていったのが印象的でした。例えば一つシンプルな案が出てきたら、我々が色々と意見を言うわけです。そしたらまた応えてくれて、それがどんどんと積み重なって最終的にこの映像が出来上がったというような感じです。一緒に議論して作っていった感覚。今振り返るとすごくいい仕事が出来たと思います。
 
近藤氏:そうですね、私たちも一緒に成長させてもらえたなと思うことがあります。初期段階では、お互いの想いが一致するまで何度もやり取りがありました。
「 “The Power of Dreams” はそういう意味じゃない」「フィロソフィーはそうじゃない」みたいなことを、何回も何回もやり取りする中で、お互いの認識が徐々に合ってくるような感じがありました。
 
金塚氏:引き続きサイバーエージェントさんらしく、クライアントに変に寄り添うのではなくて、「あなたたちはこうですよね」とクライアントに物言う立場であり続けてほしいなと思います。提案型の代理店のスタンスで居続けてほしいです。
 
今後、マスやデジタルのメディアのゲームチェンジが行われていくなかで、私たちもどうメディアと向き合っていくべきか分かりかねています。まだマスが強そうだけれど、今のうちにデジタルに仕掛けなくては、と感じる部分もあります。道しるべになってもらえたら大変ありがたいですし、そのあたりも今後一緒に仕掛けられたら面白いですよね。

近藤氏:みなさん、いい意味で頑固だった(笑)。私たちが「こうしてください」というのを「はい分かりました」とそのまま受け止めることを、良い意味で決してされなかったので。
 
代理店様に「こういう風に作ってください」と伝えたら、おそらく私たちの考える100点のものを、そのまま100点で作ってきてくれると思うんです。けれど、サイバーエージェントのみなさんはこだわりを持って色々と提案してくださり、意見をお互いにぶつけ合うことで、私たちが思っていた100点以上のものを創ることができたのではないかなと思っています。
 
今回の映像は、コマ撮り撮影だったので、撮影途中のチェックがあまりできず、正直不安がありました。けれど、撮影のスタジオを見学させて頂いた時に、純粋にすごくびっくりしたんです。
みなさんがそれまで伝えてくれていた情熱がしっかりと形になっていて、作り込んだ世界観を目の当たりにした時に、ここまで譲らず頑固だった部分を、ちゃんと形にしてくれようと頑張っているんだな、と。そして、最後までみなさんを信じてみたいと、あのスタジオの現場で強く思いました。
 
伊藤氏:最初は完成度があまりにも高くてCGにしか見えなかったので、逆にもっとコマ撮りっぽくしてほしいと、調整を依頼させて頂いたこともありましたね(笑)。

全世界で活用される映像に。新しい道を切り拓いたHonda “ORIGAMI” 

近藤氏:最終的に、もともと想定していた以上に色々な用途に使ってもらえる映像になりました。当初は、創立記念式典のオープニングに流す映像という目的でしたが、式典のオープニングの他にも、Web動画として見るのも楽しいし、モーターショーのような大きな会場で流すこともできる。インナー向けの従業員大会のような時にも、今一度ホンダの想いを伝える大事な場面で活用してもらえています。
 
「うちの部署でも使いたい」「うちの国でも使いたい」と、社内でもどんどん広がっていて、こんなに幅広い用途で何にでも活用できる映像は、他に無いんじゃないかなというくらいです。グローバルを意識してノンバーバルにこだわって頂き、尺もかなり短く頑張ってもらった結果ですね。
 
実際、欧州・北米・アジア・南米・中国など、全世界でも使ってもらえているのですが、今までホンダは、グローバルでひとつの映像を使ってプロモーションするということはなかなかできていませんでした。そういう意味でも、今回のHonda “ORIGAMI”は新しい道を切り拓いてくれたと思っています。
近藤氏:結果として、色々な広告賞も受賞しましたね(※)。賞を獲ることは目的ではなく、受賞をきっかけにより多くの人が見て共感してくれたり、ホンダで働くみんながまた喜んでくれたら、さらにいいなと思っています。
 
今回の映像作品の品質の高さはもちろんのこと、用途の幅の広がりや広告賞の受賞など、当初の想定以上の効果を出して頂けたのは、本当に素晴らしかったなと感謝しています。


※受賞一覧:
・「第57回 JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール」デジタル部門、入賞
・「ADFEST 2019」FILM CRAFT LOTUS部門、銀賞
・「2019 AME Awards」Branding部門、銅賞
・「2019 New York Festivals Advertising Awards」  
  Film Craft/Animation部門、First Prize Award  
  Film/Corporate Image部門、Finalist Certificate
・「Brain Online Video Award 2019(BOVA)」広告主部門、ファイナリスト
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取材・執筆: 加藤 貴子  (株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部  広報)
撮影 :山下 陽司郎(株式会社サイバーエージェント IR・SR室
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