2015/6/16 Tue
CHINTAI社と挑む 動画広告アジャイル配信
~テレビCMのリアルタイムな効果検証を実現し、WEB動画の配信先を最適化~
サイバーエージェントでは、テレビCMの効果と連携した動画広告の新サービス『アジャイル型配信モデル』を開始しました。当社で開発した本サービスは、テ レビCMの効果検証を、“アジャイル=素早く、俊敏に”実現することで、WEB動画広告の配信先を最適化する新しい広告配信手法です。
本サービスを活用し、CHINTAIのテレビCMの効果検証を行い、認知率の低いセグメント層に対して、WEB動画の広告配信を行うことで、認知率の最大化を図りました。これにより、テレビCMのリアルタイムな効果検証と、効率的なWEB動画広告の配信を一度に実現。
株式会社CHINTAIより宮川氏をお迎えし、本企画担当者と共にインタビューを行いました。
-INTERVIEW-(TOPバナー写真左より)
浅原 正暢
株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 営業局 局長
宮川 大輔氏
株式会社CHINTAI メディアディビジョン 部長
酒井 英典
株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 オンラインビデオソリューション局 プランナー
『テレビCM+WEB動画』でリスク最小化を図るには?
企画の背景
宮川氏:当社サービスの需要期である今年の1月にテレビCMを放映しましたが、その時期に合わせて、サイバーエージェントさんよりご提案いただいた『アジャイル型配信モデル』を実施しました。
テレビCMの効果検証を行い、その検証結果を元に認知率の低いセグメント層にターゲティングし、WEB動画の広告配信を行っていきました。具体的には、「CM認知率」「ブランド・商品認知率」「好意度」などの指標を、「性別」「年齢」「地域」等のセグメントごとに計測するものです。
CA酒井:昨年2014年は、”動画広告元年”と呼ばれ、「動画広告がくる!」と言われていた割に、「でも、実際にどうやればいいのか?」という状況でした。そんな中、今やるとしたら、『テレビCM + YouTube』のハイブリット配信という形が、理想に近い状況だと考えていました。
しかし、お客様からすると、いまのタイミングで本当に予算を投下してみるべきなのか?また、実施するにもどれほどの予算を投下するのが適正なのか?正解が分からない手探りの状況でした。とはいえ、大きな予算をお預かりするわけですし、御社からのオーダーは「リスクを最小化する」ことでしたので、まずは、最小金額でテスト配信を行い、その後、需要期のタイミングでしっかりと効果を出せるよう設定をして動画広告を配信しましょう、というお話になりました。
配信先メディアであるYouTubeの強みは『効果を見ながらデイリーで運用が出来る』ということです。そして我々サイバーエージェントは、『運用力』に強みを持っていますので、従来のネット広告の運用の世界にマス広告の予算を持ち込み、『動画広告においても運用できる世界』を実現しようと思っています。
CA浅原:本サービスの実施において、マクロミル社、Google社などの調査会社や媒体社にもご協力をいただいているので、テレビCMの検証期間を短くし、リアルタイムでのターゲティング配信が可能となっています。
テレビCMの検証をしながら、動画広告の予算最適化を行う
宮川氏:「動画広告がくる!」という昨年の状況下で、我々も何か施策を行ったほうが良いのではないか。と思う一方で、本当に効果的なのか?と、疑心暗鬼な部分がありました。
そのタイミングで、昨秋と今年の1月、テレビCMを打つ予定が2回あったので、2回目のテレビCMを放映する1月に、WEB動画と絡めて何かプロモーションが出来たら良いなと考えていました。ですが、1月にいきなり大きな予算を投下することにリスクを感じたので、昨秋のテレビCM放映時に、事前調査を試してみることにしました。
そしてまず、テレビCM視聴前後のアンケート調査を行いました。きゃりーぱみゅぱみゅさんが登場するテレビCMということもあり、女性の認知率は非常に高いものでした。比較して男性の認知率が低かったので、弊社の顧客になりうるであろう層の若年男性に向けて、ターゲット配信を行うことにしました。
いざ、そのリーチしたい層の認知率を上げるために必要な予算は非常に大きな金額でした・・。大きな予算を投下してしっかりと効果が出れば問題ないですが、懸念することは効果が出ないというリスクです。
そんな時に、御社の新サービス『アジャイル配信型モデル』の話が出てきたのですよね。
『アジャイル配信型モデル』は、テレビCMの検証をしながら、動画広告へどのように配信を行うのか?配信する動画や配信方法をリアルタイムで検証しながら運用していくのですが、万一、そこで効果が見受けられなかった場合には、途中で広告配信をストップすることが可能でした。
想定の予算において、例えば30%程度を投下して、効果を感じなければ、それ以上流してもしょうがないので、止めます。という選択肢があることで、リスクを最小限に抑え、非常に短い期間で検証を行い、運用をしながら効果を追えることで、今回のような壮大な実験ができたと感じています。
CA浅原:そうして、まずは若年男性にターゲット配信を行い、結果その層の認知率は向上しました。しかし、ターゲット配信を行わなかったM2層の認知率が向上していなかったので、後半にその層に向けてもターゲット配信を行いました。
宮川氏:今回、『アジャイル配信型モデル』の配信を行っていなければ、若年男性の認知率はもっと低いままでしたし、ひいては、M2層は伸びないままだったと思います。そういった意味で、予算の最適化はある程度出来たのではないかと思っています。
CA酒井:元々、若年女性向きのクリエイティブだったので、男性向けという意味ではまたアプローチが違うんだろうと理解しているものの、今後、可能性があるのであれば、WEB動画を男性向けのクリエイティブで制作し配信することが出来れば、また違った数値が表れてくると思っています。
動画広告の世界でも、広告運用を可能にする
チャレンジポイント
CA酒井:『アジャイル配信型モデル』という新しい仕組みを作り、そのサービスをまずCHINTAI様が活用してくださったことが、新しい試みでした。
宮川氏:動画広告実施にあたり、効果検証のタイミングとコストのバランスが一番の懸念でした。
デジタルの人間からすると、テレビCM実施後の効果検証のしづらいプロモーションを、デジタルでこのように実施する意味をあまり感じることができなかったのですが、それが今回、効果検証を前提としたWEB動画の広告運用を行えたことは面白いと感じています。また、これ以上実施しても効果が見えないだろうと判断すれば、配信を止める選択肢があることも本サービスならではですね。
CA浅原:いま私は、主にリスティング広告の運用を行っており、リスティング広告ですと、運用を行いながら効果改善を図っていきますが、YouTubeなどの動画広告では、広告を運用するというイメージがありませんでした。ですが今回、効果数値を見て調整しながら運用することができているので、動画広告においても運用が可能なフェーズにきているのだと実感しています。
CA酒井:マス広告の動画では、配信しながら広告を運用することができませんが、WEBの動画広告では今後、運用も肝になってくると自負しています。しっかりと日々運用を行い、お客様の広告効果の最大化にどこまでコミットできるか、しっかりとお客様のご期待に沿えるよう努めています。
動画広告実施後の検索結果を、SEMにも活かす
企画の効果
CA酒井:我々のKPIとして、ブランド認知を追っていました。ブランド認知の向上と共に、CM到達率においても、昨秋のテレビCM放映時よりも今年1月のテレビCM放映時のほうが、数字が大きく伸びていました。
今年1月の方が、GRPも多かったので全体的には伸びているものの、昨秋実施時には、リーチの伸びなかった若年層が、ぐっと伸びましたね。結果として効果がありましたし、CM到達率で見ると、もっと効果が高かったです。
宮川氏:YouTubeで弊社の動画を視聴したユーザーの調査データを見たのですが、検索数の伸び率が確実に向上しました。一例として社名であるアルファベット「CHINTAI」の検索では、YouTube広告の接触者・非接触者とでは、検索率に約1.5倍の差があるという結果になりました。
YouTube広告に接触していない人も、テレビCMを観ている人は沢山いると思います。
そういう意味で言うと、テレビCMだけではなく、さらにYouTubeでも消費者との接点を追加することで、検索行動に移りやすいということは結果として出ていますね。
検索行動にしっかりと返ってくるということが分かれば、今度は我々の主戦場であるリスティング広告やDSPの領域でまた色々と手を打つことができます。
CA浅原:そうですね。リスティング広告において、今まではこういった情報がなかったので、このような結果が事前にある程度分かっていれば、リスティング広告の配信の仕方にもより活かすことがでてきますね。
ブランド名や社名は打ち手が少ない箇所ではありますが、一つの打ち手として有効な手段になってくる可能性は十分に感じています。
CA酒井:テレビCMの素材のままだと、最後に社名のCHINTAIのロゴが出るのですが、YouTubeのTrueView広告では5秒でスキップが出来てしまうので、CMの冒頭にロゴを持ってくるという変更を行いました。
YouTubeユーザー全体の約15%が、TrueView の動画を視聴完了していないというデータがあるのですが、もし15%だとしたら、約7倍弱のユーザーの目には、青と白のCHINTAIのロゴが目に入っているはずなので、インプレッション効果は非常に高かったはずです。冒頭の5秒間で、どこまで見せるかというのはとても大事ですね。
リスクを数多く潰し、チャレンジを続けていく
サイバーエージェントを選んだ理由・今後期待すること
宮川氏:サイバーエージェントさんとは元々お付き合いがありましたが、様々なプロモーションを手掛けられていて事例も多くお持ちで、お任せしても大丈夫だろうという安心感がまずありました。
今回の件に関しては、サイバーエージェントさんの提案の内容と対応の早さも良かったですね。
今後についても、新しい領域と、変わらず地道な部分が絶対に必要です。
特に、アドテクノロジーの領域においては、どんどんと新しいものができ、海外からも情報が入ってきていますので、しっかりとチャレンジし検証していかなくてはと思っています。
チャレンジをしていくなかで、いかにリスクを少なく試せるか。まずはリスクの可能性を数多く出し、そのリスクを数多く潰せるパートナーと組んでチャレンジしていきたいと考えています。今後もサイバーエージェントさんには、そういったご提案をいただけることを期待しています。
-プロフィール-
宮川 大輔氏
株式会社CHINTAI
メディアディビジョン 部長
EC業界からキャリアをスタートし、ユーザーサポート、物流、バイヤー、経営企画など幅広い経験を経てマーケティング業務に従事。
2012年12月より株式会社CHINTAIへ入社し、デジタルマーケティングの領域を担当。現在はメディア事業全般を統括。
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TEXT:加藤 貴子 (株式会社サイバーエージェント 全社広報室 インターネット広告事業本部 広報)
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