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単品通販業界におけるデジタルマーケティングの現状とこれから:2

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単品通販業界におけるデジタルマーケティングの現状とこれから:2

稲益 仁

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 エグゼクティブコンサルタント

稲益 仁

2006年サイバーエージェントへ中途入社。 アカウントプランナーとして入社当時より単品通販企業のみに担当を絞り、ダイレクトマーケティングのノウハウを独学で学ぶ。 2014年ダイレクトマーケティング局を立ち上げ、全国の単品通販企業のマーケティングに関わり、津々浦々、各地を飛び回る毎日を続けている。 座右の銘は、「No,Responce.No,Life.」

こんにちは。稲益です。
前回のコラムでは、単品通販業界を取り巻く現状について分析しまとめた記事を掲載させていただきました。

▼第1回目の記事はこちら

第2回目の今回は、ブルーオーシャンではなくなってしまった単品通販業界において、どのような戦い方で“勝ち組”を目指すべきか、具体的に事例を挙げてご紹介します。

CPOが上昇傾向にある中、最重要KPIは「LTV」

レッドオーシャン化した単品通販業界では、新規顧客1件あたりの獲得コスト(CPO)は上昇傾向にあります。CPOが上昇すると、新規顧客に投資したコストの回収期間が伸びてしまいます。単品通販はリピート購入により収益を上げる事業モデルのため、回収期間が伸びてしまうとキャッシュフローの悪化のみならず、赤字に陥るケースも。

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高騰してしまったCPOを吸収するためには、リピート購入1回あたりの客単価や、継続する購入回数を伸ばすことで実現が可能です。この「ひとりあたりの累計購入金額」を“ LTV ”(LifeTimeValueの略)と呼びます。

これまでの単品通販業界におけるマーケティングにおいて、「CPO」が最重要視されていましたが、今後の最重要KPIは「LTV」を最大化していくことにあると考えています。では、具体的にどのようにして、LTVを最大化していくのか? 当社の事例を元にご紹介していきます。

商品の販売方法を変更するとLTVが上昇する? LTV200%超の改善事例

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【抱えていた課題】
LTV15,000円から利益を考えると、上限のCPOは6,000円。6,000円で獲得できる広告は限られており、獲得件数を伸ばすことができず、本商材の売上は高止まりしていました。

【課題解決のために実行したこと】
洗顔石鹸単品の販売をやめ、シリーズ商品4点のミニサイズをトライアルセットにして1,000円程で販売しました。
LTVが15,000円程になる原因の1つに、洗顔石鹸のみの単品購入を続ける方が多く、その他の商材を購入する人が少なかったため、最初からシリーズの4点を使用してもらうことで、複数商材でのリピート購入を促進することが狙いです。

【トライアルセットから本商品を購入してもらうための施策】
トライアルセットから本商品を購入してもらうために、以下3つをポイントに施策を実行しました。

1.売り込むタイミングは「購入直前」
2.購入者に対して「デメリットの無い」売り込みを。
3.メールは「売るだけではない」丁寧なコミュニケーションを。


それでは、これら3つのポイントの詳細をお伝えしていきます。

購入してもらうための3つのポイントと、施策から見えたこと

【1. 売り込むタイミングは「購入直前」】

トライアルセットを購入する際、購入の直前は「申込確認画面」。言わば、レジ前で財布を開いている状況と同じ状況です。購入する直前は商品を欲しいと思っている絶頂のタイミング。商品に対しての関心が最も高まっている状態です。このタイミングで「最適な売り込み」(オファー)をおこなうことで、いきなり本商品を購入してもらうことも可能となります。

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【2. 購入者に対して「デメリットの無い」売り込みを】

では、その絶頂のタイミングでどのようにすれば、本商品を“いきなり”購入してもらえるのでしょうか? 答えは「デメリットの無い」売り込みをすることです。
この事例においては、以下のような施策を行いました。

■本商品4点セットをトライアルセットと同じ1,000円程で販売  (通常価格は10,000円程)

もちろん、通常10,000円の商品を1,000円で販売しては利益が出ないため、購入回数の縛りを設けた「定期コース」にしています。(※初回のみ1,000円で販売。)ここで湧く疑問が、トライアルセットを購入しようと思っていた人がいくら初回購入金額安いからと言って、定期コースに入るだろうか?ということです。そこで、「デメリットの無い」オファーを設けました。「デメリットの無い」オファーとは、以下の様なものです。

■初回はトライアルセットと同じ価格の1,000円。 ■その代わりに定期コースを4回は続けていただくことが条件。 ■初回お届け時に「トライアルセット」と「本商品4点」を一緒に送付。 ■必ず「トライアルセット」から先にご使用ください。 ■万が一、お気に召さない場合、また肌に合わないなどの場合はご連絡くだされば、「定期コースのストップ」更に「全額返金保証」します。

このように「解約の保証」を同時につけることで、顧客にとって、「デメリット無く」通常10,000円の本商品4点をたったの1,000円で購入できることになります。

【3. メールは「売るだけではない」丁寧なコミュニケーションを】

申込確認のタイミングで本商品を購入せずに、「まずは使ってみてから」という人ももちろん多いので、そのタイミングで購入しなかった人には、「メール」でアプローチを行いました。ポイントは、以下の6つです。

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この事例における結果は…

■初回定期コース→トライアルセットに販売方法を見直したことで、CVR(購入率)は約10倍に。
■トライアル購入からの本商品購入(定期コース)への引上率は15%!
■LTVは15,000円→30,000円以上に!(現在もまだ伸びています。)


LTVが大幅に改善されたことにより、当初6,000円でしたCPO目標も大幅に上昇させることができました。結果、出稿できる広告の上限金額も上がり、獲得できる新規の件数は大幅に増加しました。このように、販売方法を見直し、デメリットの無いオファーを準備し、適切な引上げ施策(カート内での引上げやメール)をおこなうことでLTVは上昇させることができます。CPOが高騰する状況において、このような方法でLTVの上昇を目指してみてはいかがでしょうか?


***


次回は、CPOが上昇しやすい環境下において、LTVを向上させること以外の方法とは? をテーマに、考察していきます。もちろん、CPOを引き下げる為の手段もあると考えていますので、CPOを引き下げる為の方法についてもいくつかご紹介していきます。

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