2015/9/25 Fri
カンタンにわかる! データマーケティングの現在と未来 (1)
羽片 一人
インターネット広告事業本部 セントラル運用設計本部データマネジメント局 局長
2009年 株式会社サイバーエージェントへ入社。インターネット広告事業本部にて営業に従事。
2010年 株式会社CA Beatを設立、代表取締役社長に就任。メディア事業、ゲームコミュニティ事業の立ち上げを行う。
2013年 SAPゲームネットワーク事業を立ち上げ、SAP特化型DSP/DMP「GameLogic」「GameAudience」のプロダクト責任者に就任。
現在は、株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 データマネジメント局 局長として従事。
【第1回】 広告担当者がマストで押さえておくべきiOS9で変わる3つのこと
初めまして。データマネジメント局の羽片と申します。
私のコラムでは、「データ」「アドテクノロジー」という非常に大きなテーマに対して、旬な話題をお伝えしていきたいと思います。
これまでとルールや環境が変わってきている今、何が重要か、そして今後どうなっていくのか、それらを踏まえて今何をしておくべきなのかを、わかりやすくお伝えしていきます。
アドテクに関するニュースやリリースが多く、なかなかキャッチアップできていない方、ビックデータやプログラマディック、DMPなど最先端マーケティングに興味のある方、双方にとっての最新情報をご提供できる場になればと思います。
日本時間9月17日、 iOS9リリース
今月の日本時間9月17日に、AppleからiOS9がリリースされました。Appleは新端末発売・新OS発表時はいつも話題になりますが、今回も同じく、新OSではSafariで広告がブロックされる点などが物議を醸しました。
本記事では新機能の中でも、特に広告担当者の方々が知っておくべき、以下の3つの機能についてご紹介します。
①Contents Blocker
②SFSafariViewController
③Universal Link&SearchAPI
ちなみにiOS9の対象端末はiPhone4S以上・iPad2以上など、なかなか古い端末にも対応しています。まだアップデートをされていない方は、是非アップデートして機能を試してみてください。
①Contents Blockerの設定方法と影響範囲
Contents Blockerは、Safariの拡張機能として新しくリリースされた機能です。広告や、広告以外にユーザに不利益をもたらすものをブロックする目的で作られていて、特定のCSSや通信をブロックすることが可能です。広告業界で最も騒がれていた、「広告ブロック」と言われているのはこの機能の話です。
Contents Blockerを活用するには、ユーザーはAppstoreからContents Blockerアプリをダウンロードする必要があります。今最も有名なアプリは「Crystal」でしょうか。120円の有料アプリで、数日間有料ランクで上位に滞在しています。
【
Crystal - Block Ads, Browse Faster.】
このようなアプリをダウンロードして起動すると、以下のような画面が表示されます。
Contents Blockerの機能において、しっかりと認識していただきたいのは3点です。
1)Contents Blocker影響範囲はSafariでのブラウジングのみ。
ネイティブアプリ内などは影響がなく、(※一部実装によってはありますが、複雑なので割愛します)、ChromeやOperaなどには一切影響がありません。
2)広告以外もブロックされる。
Ads BlockerではなくContents Blockerなので、広告以外もブロックされます。GoogleAnalyticsやAdobeAnalyticsなどの解析ツール、ABテスト・ヒートマップツールなどもブロックされる可能性があります。
3)ブロッカーアプリ毎にブロックされる内容が異なる。
今回はCrystalで検証しましたが、アプリによってブロックされるものが異なります。今後無料ブロックアプリが出てくると思いますが、ユーザーがどのアプリを使ってるのかわからない&アプリによって違うので影響範囲がなかなか読みづらいところです。
正しく認識していただいた後は、実際にブロックされている状態を見てみましょう。
Googleでの検索結果画面と2chまとめサイトでの広告ブロックです。
どちらも広告が表示されなくなりました。
広告担当者の皆様は、サイト来訪ユーザーの何割がSafari経由かを調べておくことをオススメします。まだ多くのユーザーがブロッカーアプリをダウンロードしていないので影響は軽微ですが、Safari来訪が多いサイトは、アクセス解析ツールなどの数値変化を注意深く追っていくことが重要です。広告への影響はiOSのウェブ面配信のimpなどを注視していただければと思います。
あくまで現在の状況から推測すると、
1)アプリ利用が増えていてウェブ閲覧が減っている
2)特定のアプリを落とさないといけない
上記2点から、とてつもなく大きな影響はないのではないかと想定しています。ただし、今後のマーケットの動きによっては変化もあるので注目していきたい部分です。
②SFSafariViewControllerで出来ること
次に、SFSafariViewControllerです。
SFSafariViewControllerは、アプリ内でSafariのcookieやその他のデータを共有できる機能です。これまで、アプリ内webviewはSafariとは別のものでした。(UIWebView/WKWebView)
今回このアプリ内webviewに、Safariが使えるようになります。ユーザービリティの向上に大きな影響を与えます。
わかりやすい活用ポイントは2点です。
1)アプリインストール計測でのブラウザ起動が不要に。
今までのアプリ計測は、インストール後にSafariアプリを起動して計測をしていましたが、アプリ内からSafariを呼び出せるので、Safariアプリ起動が不要になります。ユーザーは、ダウンロードしたアプリから外に出されたという感覚がなくなります。
2)Safariのログイン履歴などをアプリに引き継げる。
例えば私がAmebaにSafariでログインしていて、その後AmebaアプリをDLした場合、ログイン状態などを引き継ぐことが可能になります。これは、Safariなどで保存しているID/PASSの自動入力が動くので実現できます。ユーザーからすると再度入力の手間が省けて便利です。
アプリの広告計測ツールを導入しているアプリの中に、ウェブと同じログイン機能がある企業の広告担当者の皆様はチェックすべき機能です。
③Universal Links&SerchAPIで出来ること
最後にUniversal Links&SerchAPIです。
こちらは、iOSデバイス内の検索強化とアプリへのシームレスな連携が可能になる機能です。これまでのURLスキームや独自ディープリンク設定と似たものです。
Universal LinksはAppleから正式に提供されたディープリンクの技術です。このテクノロジーをフル活用するのがSerchAPIです。SerchAPIはSafari・Siri・Spotlightなど、iPhoneで行う検索行動から、直接アプリコンテンツへのアクセスが可能になります。
例えば、Spotlightで「カレー レシピ」と検索すると、「クックパッド」アプリが端末に入っていれば、カレーレシピのアプリ内コンテンツが表示され、アプリに遷移できます。
アプリへのアクセスがとても簡単で便利になり、iOS9から戻るボタンも搭載されているので、ユーザーは簡単にアプリ間の遷移をすることが可能になります。
アプリに再来訪するユーザーを増やしたいとお考えの広告担当者の皆様には、最低限対応いただいた方が良い機能だと思います。
1回目から非常に長くなりましたが、以上になります。
どんどん進むプラットフォームの変化を、今後もしっかりキャッチアップしていきましょう。
次回は「今が旬!ネイティブアプリでのデータマーケティング」という内容で、アプリデータを活用した配信の現状や課題などをお話ししていきます。
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