2015/10/8 Thu
効果を出す アフィリエイト広告運用 (1)
臼田 寛之
株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 アフィリエイト局 シニアコンサルタント
2007年入社。営業・アフィリエイト広告担当(現任)を通して、入社以降に金融業界のお客様を数多く担当。重要サイトとの交渉によるアフィリエイト広告効果改善の実績多数。
アフィリエイト広告に必要なプロセス
はじめまして。アフィリエイト局の臼田と申します。
私は金融関連のお客様を中心に、アフィリエイト広告出稿のプランニング・コンサルティングを行っています。近年、アフィリエイト広告について、お客様からの期待の声がますます高くなってきていると感じています。
はじめに、1つのQuestionからこのコラムを始めていきたいと思います。
アフィリエイト広告において、リスティング広告やディスプレイ広告、アドネットワーク広告などの他のインターネット広告とは決定的に違うポイントがあります。それは何でしょうか?
それは、掲載媒体と掲載枠を“交渉する”というプロセスが入ることです。
アフィリエイト広告は管理画面と“入札”という行為で向き合うのではなく、ASP各社さんや媒体各社さんと、間接的に、もしくは直接的なコミュニケーションを図り“交渉”し、その結果として各媒体運営社さんが方向性を決め、掲載位置・掲載順位を決定します。
なので、アフィリエイト広告においては、媒体社さんの意向をきちんと把握したうえで施策を実施することが、非常に大切だといえます。
運用における指標「EPC」の理解が重要
アフィリエイト広告において重要な指標である「EPC」とは、「Earning Per Click(1クリックあたりの収益)」を表します。
「CPC」や、「CPM」などの指標は、リスティング広告やアドネットワーク広告の運用の中でよく耳にするかと思いますが、「EPC」とは、そういった広告運用の指標の一つで、これは広告主様(広告出稿側)ではなく、広告媒体(特にアフィリエイト媒体)側の指標です。
前述のとおり、アフィリエイト広告の運用では、サイト内の順位などを媒体社と交渉するため、この“広告媒体側が持つ指標”を理解していることがとても重要です。
EPCは以下のように求められます。
EPC=広告費÷クリック数
アフィリエイト広告の場合は、“earning”という言葉に示されるように、媒体側は媒体運営収益の最大化を目指しています。そのため、媒体側では、どの広告主の案件が最も自社媒体の収益を最大化できるか?という視点で広告案件を見ています。
その各広告案件を比較するための指標がEPCなのです。
各案件の比較例
実際にある比較サイト上で、各案件がどのように比較されているかを見てみましょう。
広告主A社、B社、C社の3社が掲載されている比較サイトで、成果単価が高い→低い順に掲載順位が決まっているとします。
申込数、承認数ともに最も単価が高いA社が多く、また、媒体社が得る成果報酬額も、1位掲載のA社からの支払いが86万円、2位のB社からの支払いが63万円で、23万円もの差がついています。
これはこれで、非常にうまく媒体運用が成り立っているように見えます。では、ここに先ほどのEPCの指標を加えてみるとどうでしょうか?
なんと、1位のA社は1クリックあたり1,433円、2位のB社は2,100円。B社がA社の約1.5倍もEPCが高いことが分かり、つまり同じクリック数を送る(掲載順位を調整する)のであれば、A社よりもB社に送った方が収益性が高いということになります。
すると媒体側では何を考えるかというと、よりB社に多くのクリック数を送って収益の最大化を図ろうとするわけです。
では実際にEPCが高い順にクリック数を送ると・・・
サイト全体の収益が21万円増加し、EPCも200円増加しました。
このA社とB社の入れ替えを決定するのは媒体側なので、広告主A社はB社に対して成果単価で上回るのではなく、EPCで上回ることが必要となってくるのです。
EPCの評価を高めるポイント
EPCにおける媒体社の視点はご理解いただけたかと思いますが、単価の交渉に終始してしまうと、アフィリエイトの成果単価が高騰し続けてしまいます。
媒体社が見ているEPCの評価を高めるためには、以下の3点が重要です。
1)単価を上げる
2)申込率を上げる(LP検証、EFO導入など)
3)承認率を上げる(広告主側の基準を変える)
当然、クリック率は広告原稿によって変化しますが、掲載順位への影響も大きい要素です。クリック率を除くと、上記3点がとても重要な指標になってきます。
広告主の皆様にとっては、“単価を上げずにEPCを改善したい”のではないでしょうか。単価を上げる以外では、“申込率・承認率の改善がアフィリエイト成果につながる”ーー今後、そういった視点を持ってアフィリエイト広告運用をしていくことは、より重要になってくると思います。
ここで、自社のアフィリエイトプロモーションを思い出してみてください。
2)の通り「申込率を上げる」ことでEPC改善が期待できるのですが、自社のアフィリエイト広告運用においてLP検証はできているでしょうか?
A/Bテスト、要素検証、EFO導入、エントリーフォームの入力項目検証などといった細かい要素をひとつずつ見直していくことが、EPCの改善に繋がっていきます。
今回は媒体側の視点をお伝えしましたが、次回以降は実際に媒体側の運営担当者とお会いして、媒体社からは各広告案件がどのように見えているのか?獲得に協力をしていきたいと思うのはどんな時か?という現場の声を、対談を通してご紹介していきたいと思います。
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