全国に約21,700店舗(2026年1月時点)を展開し、1日約2,000万人が利用するコンビニエンスストア「セブン‐イレブン」。そのフランチャイズ本部である株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、膨大な購買データとアプリ・LINEといったデジタル接点を活用し、ユーザー1人ひとりに最適化したCRMの高度化をサイバーエージェントとともに取り組んでいます。
その取り組み内容について株式会社セブン‐イレブン・ジャパンから長岡氏、小松氏、中村氏をお招きし、サイバーエージェントよりデータ本部の板橋、福井、大谷とともに対談を行いました。
■登壇者(2026年1月時点)
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長岡 篤史
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
マーケティング本部 デジタルサービス部 総括マネジャー -
小松 哲郎
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
マーケティング本部 デジタルサービス部 アプリサービス マネジャー -
中村 公美
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
マーケティング本部 デジタルサービス部 アプリサービス -
板橋 志門
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 データ本部 データコンサルタント -
福井 啓太
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 データ本部 データコンサルタント -
大谷 亮賀
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 データ本部 データコンサルタント
アプリを起点に、1to1マーケティングを強化
長岡氏:私はセブン‐イレブンのマーケティング本部デジタルサービス部にてセブン‐イレブンアプリサービスの総括をしています。
当社は日本国内で約2万1,700店を展開するセブン‐イレブンのフランチャイズ本部です。1973年に創業し、1日約2,000万人のお客様にご利用いただいています。こうした利用頻度の高い業態だからこそ、アプリを起点に「どうすればお客様に店舗へ足を運んでいただけるか」が、私どものデジタル領域のミッションだと考えています。
小松氏:私もマーケティング本部でアプリサービスチームを担当しており、セブン‐イレブンアプリの促進に加えて、アプリ内の開発・改善、デジタルクーポン等のプロモーション全般を担当しています。
中村氏:私もマーケティング本部のアプリサービスチームに所属しています。セブン‐イレブンは来店いただく方に向けて1to1マーケティングを強化しています。そのため、アプリの使いやすさを高める改善と、マーケティングデータの基盤整備・分析体制の強化を継続しています。具体的には、アプリ・LINE等を活用したCRM販促やセグメント配信を通じて、ユーザー1人ひとりに合わせたコミュニケーションの実現に取り組んでいます。
CA板橋:私はデータ本部の局長を務めております。近年、企業様におけるCRM活用のニーズは高まっています。セブン‐イレブン様においても弊社のデータ本部がデータ分析、CRM配信設計、効果検証、施策改善まで一気通貫でご支援しています。
LINEを活用したCRM高度化構想とデータ統合への挑戦
中村氏:私どものチームはセブン‐イレブンアプリの企画、開発、運用を担っています。セブン‐イレブンアプリはユーザー様1人ひとりとの接点をさらに強化するため、「アプリの使いやすさ向上」と、「購買データ活用および分析体制の構築」という2つの観点でアップデートを継続しています。
アプリは有用なチャネルですが、アプリ内の情報だけではユーザー様に情報を届けきれない場面もあります。また、セブン‐イレブンの公式LINEアカウントを保有していたものの、当初は十分に活用できていませんでした。そこで、幅広く利用されているLINEを、アプリの接点を補完するチャネルとしてCRM施策に取り入れていきました。
CA福井:私はデータコンサルタントとしてクライアントのデータを活用したご支援を担当しております。
当初はアプリ内での訴求が中心だったため、セブン‐イレブン様のデータを活用し、LINEなど他チャネルにも接点を広げることで、さらなる伸びしろがあると考えていました。
中村氏:CRMの運用において、各ユーザー様に最適な情報を適切なタイミングで送ることがユーザー様の利用向上においても大事なことだと思っていますが、マーケティングチームにおいても正解がなかなか分からない領域でした。自社で保有する膨大な購買データをどのように活用すれば最適なコミュニケーションにつながるのか、手探りの状態でした。
当社が保有しているデータとLINEのデータを統合して、ユーザー1人ひとりに合わせたコミュニケーションを実現したいと考えていました。また、ユーザーごとに最適なクリエイティブの実現ができていないとも思っていましたので、セグメントやユーザーの嗜好に応じて最適な表現をすることもサイバーエージェントさんの知見をお借りしたいと思っていました。
CA福井:ありがとうございます。セブン‐イレブン様のデータは豊富に蓄積されていました。データ活用においてセブン‐イレブン様のセキュリティ観点も踏まえながら理想像を描き、運用を進める中で現実的な形へと落とし込んでいきました。
50以上のセグメント検証と購買確率ターゲティングで配信効率約3倍へ
CA大谷:私も福井と同じくデータコンサルタントとしてセブン‐イレブン様のCRM活用を担当しております。
セブン‐イレブン様のデータ活用においては、セブン‐イレブンアプリとセブン‐イレブンの公式LINEどちらにも登録しており、その2つをID連携されているユーザー様向けにLINEを活用したCRM配信のご支援をさせていただいております。
このCRM配信には4つのポイントがあります。誰に、どのような施策を、どんなタイミングで、どのようなクリエイティブの4つです。例えば商品割引の施策では、商品画像を大きく見せるだけでなく、「○○円引き」といった数値を強調することで購買を後押しできるケースがあるなど、訴求設計も検証しながら改善しています。
いずれか1つだけを最適化するのではなく、配信後の結果を踏まえて仮説を立て直し、A/Bテスト等で検証しながら改善を重ねています。この継続的な改善サイクルが成果向上につながっています。
中村氏:特にクリエイティブに関しては当社として伝えたい要素を前に出しがちで、お客様の求めている要素が何かを私どもの視点だけでは分からない部分でした。そのため、サイバーエージェントさんにどこが明確な訴求ポイントとなるかを具体的に示していただけたことが大変ありがたかったです。
CA大谷:ありがとうございます。
商品訴求のクリエイティブに関しては、商品画像を大きくするのか、訴求内容を大きくするのかでユーザーの反応や購買行動に大きな違いが生まれます。企業側が伝えたい情報を並べるのではなく、ユーザーが判断に必要とする要素を前面に出すことが重要でした。
CA福井:クリエイティブだけではなく、セグメント設計も非常に細かく設定して配信をしています。
このセグメント設計のために何度も繰り返し検証を実施させていただきました。お取り組み開始当初は試験的に全てのユーザーに向けて配信をしたこともあるのですが、配信不要ユーザーに届いてしまうことで公式LINEアカウントをブロックしてしまうユーザーも見受けられました。
そのため、配信を必要としているユーザーに確実に届けるためにアプリの起動回数、クーポンページの閲覧数・利用数、購入点数や単価などの指標を掛け合わせ、50以上のセグメントで検証を重ねました。また、起動回数などは、一部のヘビーユーザーが平均値を押し上げやすいため、中央値を基点に3段階に分けて分析し、実態に近いユーザー像の把握につなげました。
小松氏:私どもの保有データをもとに、ここまで細かく分析いただいたことに驚きました。多くのユーザー様が来店されるなかで、接点を深めるための分析は不可欠です。依頼内容にとどまらず、プラスアルファで分析してくださる点に感謝しています。
CA福井:ありがとうございます。検証を進めていく中で見えてきたのは、ロイヤリティが必ずしも高くないライト層のユーザーにあっても、クーポン利用経験のあるユーザーに向けた配信は、利用につながりやすい傾向があるということです。
セブン‐イレブン様のような小売業界は効果要因が多岐にわたることからデータ分析において特有の難しさがあります。そのため、分析時には大変多くのデータをいただきながら分析し、それを踏まえて改善施策をご提案し、次回の配信に反映することができています。
中村氏:CRMは、成果要因を「なぜ」と深掘りし続けられる領域だと捉えています。ユーザー1人ひとりに合わせたコミュニケーションを実現するには、データをもとに仮説を立て、検証し、セグメント条件や配信設計を継続的に見直していく必要があります。そうした取り組みは当社だけの力では難しい部分もあるため、サイバーエージェントさんにフォローいただきながら取り組めていると感じます。
CA大谷:ありがとうございます。また、セブン‐イレブン様のCRM活用においては、購買確率ターゲティングを用いた配信も行っています。購買確率ターゲティングとは、過去の購買データや配信実績をもとに、LINE配信を受け取った際に関心を持っていただける可能性が高いユーザーを予測し、配信対象を設計する手法です。
この結果、従来のターゲティングと比べて、購買につながる確率が高いユーザーへ配信を集中できたことで、配信効率は従来比の約3倍となりました。
CA福井:KPIとして最も重視しているのは、配信によってどれだけ増分売上を創出できたかという点です。いくら細かな分析や、こだわったクリエイティブを作成して施策を打っても、それがKPIである増分売上につながらなければ意味がありません。今年度の最新時点の実績では、毎月の目標を一度も下回ることなく推移しており、現時点の見込みでは、最終着地も目標比で5〜10%上回る想定です。
CA板橋:データ領域は、まずはデータをもとに分析することが大事です。しかし、効果を追い求めセグメントを深堀分析で細かくしすぎてしまった結果、施策対象顧客数が少なくなり、効率はやけに良いがインパクトとしてはかなり小さいとなってしまうケースもよく見られます。深堀分析にも工数はかかりますし、トータルでみると施策としての意義が薄かったという判断になります。
データだけに頼りきるのではなく、一定ラインの分析から得たファクトとそこからの仮説を踏まえた検証が重要だと考えています。
長岡氏:実務を続けていると、私どももどうしても判断が主観的になってしまう部分があると思います。サイバーエージェントさんに伴走いただくことで、客観性を担保していただける点は、非常にありがたいと感じています。特にデータ領域では、見方次第で結論が変わってしまうことがあります。これを「データの落とし穴」と呼んでいるのですが、そこにはまらないように伴走いただけていることが心強いですね。
CA板橋:私たちは、セブン‐イレブン様とともにCRMの要素である『誰に』『何の商品を』『いくらで』『どういうクリエイティブで』を適切に分析し、施策に落とし込んでいます。それを将来的にはAIで最適化し、パーソナライズしていくことを目指しています。
ただ、AIに任せれば終わりではありません。AIの恐ろしい点はブラックボックス化です。それを避け、さらにAIの精度を高めるためにも「なぜこの施策が良かったのか」「なぜこのクリエイティブが響いたのか」を検証し続ける効果検証が不可欠です。効果検証で「なぜ」を深掘りをすることで顧客理解につながり、その積み重ねがあってこそAIの精度も高まっていきます。
その上で、同じキャンペーンであってもユーザーごとに届く情報の内容や言葉の表現が変わる状態をつくっていきたいと考えています。そうすることで、「自分にとって本当に必要な情報」が、ちょうどよい形で届くようになる。
結果として、「自分に関係のある情報だけが、無理なく届く」と感じていただける体験、いわばVIP体験に近い状態を実現できると考えています。そうした未来を、セブン‐イレブン様と共に目指していきたいと思っています。
「ユーザー第一想起」を獲得するCRMへ。データとAIで挑み続ける
長岡氏:私はメンバーに「第一想起されなければ意味がない」とよく伝えています。ユーザー様がどこで買うかは一瞬で決まるからこそ、その選択肢の一つとして思い出していただくことが重要です。そのためには、仮説を持ってアプローチすることが欠かせません。
データから読み取れる兆しを基に仮説を立て、検証し、また次の施策へつなげていく。このサイクルをさらに精度高く回していきたいと考えています。サイバーエージェントさんとともに、引き続き挑戦を続けていきたいですね。
小松氏:私どもの目的は、アプリを通じて商品との出会い、店舗との出会いをより自然に結びつけていくことです。そのためには、1年、3年先を見据えながら、アプリがどのような存在であるべきかを常に考え続ける必要があります。変化の早い時代だからこそ、未来を想定した仮説を持ち、サイバーエージェントさんとともにその可能性を広げていきたいと考えています。
中村氏:マーケティングにおいては、失敗も重要なデータとして蓄積されていきます。検証を重ねながらユーザー理解を深め、コミュニケーションの精度をさらに高めていきたいと思っています。セブン‐イレブンアプリを通じて、ユーザー様の来店や購買に納得感のある体験を提供できるよう、引き続き取り組んでいきます。
CA板橋:我々の行動指針の1つには「失敗は成功への学習データ」という言葉があります。効果的な施策やAI活用を行うためには十分な施策データと効果検証が必要で、データがないと勘や経験に振り切るしかなくなってしまいます。そのため失敗をしながら進めていくことのお言葉をいただけたのは嬉しく思います。一方で、失敗してもいいという気持ちではないので、引き続き一緒にチャレンジさせていただきたいと思っています。
CA福井:小松さんがおっしゃっていたように、未来を見据えた上でのCRM活用の深化をしたいと考えています。今後AIを活用し、先進的かつ効果的でユーザーにパーソナライズされたCRMの配信を目指していきたいと考えています。パーソナライズが進むことで、ユーザーは「自分に必要な情報」に気づきやすくなります。必要以上の情報に煩わされることなく、自然に選択肢の一つとして思い出していただける存在を目指していきます。
CA大谷:現在はLINEを活用したCRM施策のご支援を中心に伴走させていただいておりますが、本来のCRMは特定のチャネルに閉じたものではなく、すべての顧客接点を横断し、連動させていくものだと考えています。
LINEは重要な接点の一つですが、アプリをはじめとした他チャネルも含めて設計することで、より一貫性のある顧客体験と効果的なコミュニケーションが実現できるはずです。今後はLINEにとどまらずアプリCRM領域も含めてご一緒していければと考えています。
記事制作・撮影: 株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 広報