1975年にデビューし、昨年50周年を迎えたマイメロディ。2026年からの新章として開催された体験型展示「好きにすなおに生きてみる展 WITH MY MELODY」ではサイバーエージェントと当社内組織の新たな細胞(以下:Cybor)が企画制作協力をし、株式会社サンリオとともに、“言葉”を軸に新たな解釈を来場者と共有する施策を表参道ヒルズ 本館 吹抜け大階段で実施しました。
これまで歩んできたIPの長所をより大きく広げるために、どのようにして魅力を深く掘り下げ、体験として届けたのか。サンリオから三木氏、相内氏をお招きし、サイバーエージェントの赤羽、中橋、丸山、また協働したクリエイティブディレクターの古屋と共に対談を行いました。
話者紹介
-
三木 麻実
株式会社サンリオ
ブランド管理本部 キャラクタープロデュース部
-
相内 清香
株式会社サンリオ
デザイン本部 デザイン企画推進課 -
赤羽 雅也
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
クリエイティブ新規事業本部 エグゼクティブアカウントプランナー -
中橋 敦
新たな細胞 | Cybor
クリエイティブディレクター -
丸山 優河
新たな細胞 | Cybor
プランナー・コピーライター -
古屋 遙
Imagine If Studio
クリエイティブディレクター
変わらないマイメロディを、変化した社会の中で再解釈する — 2026年の挑戦
三木氏:私はサンリオのブランド管理本部にてマイメロディとクロミを担当しています。昨年の50周年は、今まで応援してくださったファンのみなさんへ「ありがとう」を届ける時間だったと思っています。そして今年2026年1月のお誕生日は、“新たなスタート”なんです。ここから先、マイメロディというキャラクターがもっと多くの方に愛されるためには、新たに、マイメロディのことを素敵だなと思っていただける人と出会う必要がある。そのスタートダッシュをどう作っていくのか、というのが一番大きなテーマでした。
既存のファンの皆様との繋がりを大切にしながら、新しいマイメロディの魅力を広げていく。その両立が重要であるとともに、今回の企画の軸になっていました。
相内氏:私はサンリオのデザイン管理本部で、マイメロディとクロミを担当しています。マイメロディって「かわいい」という印象が強いキャラクターですよね。サンリオショップに行ったらやっぱりかわいいグッズがいっぱいあって、選ぶ時に「私、もうちょっとシンプルなものの方が持ちやすいな…」と思われることもある。でも、きっと「かわいい」を心に秘めている方々って多分たくさんいて。その心に寄り添えることができたらいいなって、ずっと思ってました。
CA赤羽:私は本企画の全体統括と進行管理を担当しました。今までのマイメロディの良さを汲みつつ、それをどうやってクリエイティブで飛躍させていくのか。一方で、飛躍しすぎて元のイメージを損ねてはいけないので、どこまで飛び越えていいのか。
昨年夏にもマイメロディ50周年・クロミ20周年のおそろいアニバーサリーイヤーイベントの企画・運営をお手伝いさせていただきました。その時のイベント企画とはまた違った目的に沿って、マイメロディに触れてもらえるようにするための方法について、数カ月にわたって議論したことを覚えています。表参道ヒルズでの展示イベントが実現した瞬間は本当に嬉しかったですね。
CA中橋:私も前回のマイメロディ50周年・クロミ20周年イベントの企画と同様に、クリエイティブディレクターとして携わりました。この難題のターニングポイントは、「変わったのはIP(マイメロディ)じゃなくて、社会の解釈だよね」という気づきでした。
マイメロディがデビューしたころは、携帯もインターネットもありませんでした。でも現代ではいつでもスマートフォンで記録し、SNSを通じて拡散できる。他者を常に意識する社会へと変化する中で、マイメロディへの接し方も自然と変わってきたように思います。
じゃあ2026年のいま、マイメロディの魅力ってどこにあるんだろう…?という問いが、企画の起点になりました。
▼2025年7月に開催されたイベントの裏舞台はこちら
「マイメロディ50周年・クロミ20周年 おそろいアニバーサリーイヤー」
https://www.cyberagent-adagency.com/works/861/
CA丸山:私は今回プランナーとコピーライターを担当しています。初期段階からユーザーインサイトについて議論している中で、今、マイメロディの魅力は、「生き方」にあるのでは、と議論しました。
マイメロディ自身の「かわいい」という生き方は、本人にとっては当たり前のこと。でもマイメロディのお友だちから見ると、周りの視線を意識して不自然な振る舞いをすることなく、自分らしく生きている、という魅力が確かにあるんです。
それってまさに、今の社会に訴求できるポイントだね、という議論へと繋がっていきました。
古屋:私は今回も、クリエイティブディレクション、企画展示の体験設計、およびコピーライティングを担当させていただきました。マイメロディらしい生き方の核を落とし込んだ、「好きにすなおに生きてみる。」というスローガンを中心に、悩みながらも前進する気持ちを代弁した ”ウィッシュ(願いごと)” など、たくさんの言葉が生まれました。
特にスローガンは、狭く定義しすぎると見た人が参加する余地がなくなってしまうし、広げすぎると自分ごととして捉えづらい。見た人が、「私も自分らしい生き方をしてみよう」と思える言葉を編み出すのに、多くの時間を費やしました。
展示を実際に見た方が、メッセージに込めた生き方を一文字ずつ確かめるように読んでいる風景を見て、また実際に背中を押されたといった声を聞いて、とても嬉しく思っています。
CA丸山:マイメロディにあって他のIPにないことは何か。それはまさに、50年ずっと好きなことをすなおに貫き通してきた、というファクトです。飾らない言葉でも、50年前から存在しているキャラクターだからこそ伝えることのできる確かさがあるんですよね。
言葉に触れ、言葉を選び、言葉を持ち帰る。“発話”が生まれる展示体験
CA丸山:体験のデザインとしては今回、”言葉”が多いんです。マイメロディが体現する、「マイメロな生き方」をみんなで考えよう、みんなで解釈してみよう。その補助線を引くような言葉を、今回の企画の中心にしました。
三木氏:言葉が一番の鍵になる展示は、おそらくサンリオキャラクターのイベントの中でも珍しいと思います。IPはキャラクターの視覚的な影響力が大きいので、撮影用フォトスポットでも一定のコミュニケーションは図れます。
しかし今回の展示を会場で見ていると、参加者がマイメロディらしい生き方が表現された言葉をじっくり見て、「今のわたしにとって、ぴったり当てはまる言葉はこれだ…!」と吟味しながら、ウィッシュカードや言葉たちを持ち帰っていただいているのが、すごく印象的でした。
マイメロディからメッセージを受け取って、それを自分の中に落とし込んで持ち帰ってくださる様子が目に見えて分かって、すごく嬉しかったです。
古屋:言葉って受け取り方も感じ方も人それぞれですし、答えを押し付けてしまう危うさもある。しかし同時に、誰もが使える汎用性の高いツールでもある。だから言葉を中心にすることで、”生き方”についてみんなで一緒に考えるという参加性の高い体験フレームが生まれました。
言葉を軸にすることはとても良い挑戦だったように思います。
CA中橋:実際にSNSでも、ウィッシュカードを写した写真とともに、書かれている言葉を引用しながら、「この言葉が刺さった」「マイメロに勇気をもらった」とか、多くの方が自分の生き方に照らし合わせて投稿してくれていました。このイベントをきっかけに、たくさんの言葉を発して欲しいと設計していましたが、多くの方が発話し、狙い以上の広がりを実現しました。
CA赤羽:何回も会場に足を運んでいると、立ち話が聞こえるんですよね。「マイメロな生き方ってどんな生き方なんだろう」とか、「なんか今回すごい大人向けだよね」とか。参加者に届いているという実感がありました。
ノベルティがもらえるアンケートも実施しており、来場者の多くの方が回答してくださったのですが、この回収率の高さは異次元でした。しかも、数問の選択形式の1分弱で終わるものではなく、コメント記述も多くアンケート回答に5分ほどを要する、じっくり回答しないといけないものだったにも関わらずです。
アンケートを書きながら、生き方を考え直す。これ自体が展示のコンテンツの一つになっていました。
空間すべてが“マイメロな生き方”を追体験する装置だった
CA赤羽:今回の「好きにすなおに生きてみる」というコンセプトを広く伝えるためには、場所の選定もとても重要でした。ターゲット軸をもう一回見直した時に、表参道という街のブランドをうまく活用した方がいいんじゃないか、という話になったんです。表参道という名前が持つ洗練や憧れのイメージが、今回の新しいマイメロディの広がり方とフィットしていました。
相内氏:平面的じゃないというところがとても良かったです。ただ見て終わるだけではなく、写真も撮れて、視覚的にも楽しめて、立体的なものもある、そして実物を持ち帰ることができる。それが体験としてとても豊かでした。展示が空間として作り込まれていて、“ただ並んでいる”だけでなく歩きながら自然に入り込めることがとても良かったです。
三木氏:インフォメーションボードの情報から、各コーナーを楽しむための方法について説明があり、ムービーも視聴出来る。吹き抜け空間の階段を降りていくと懸垂幕から“ウィッシュ”が飛び出してきたようなオブジェが設置され、お風呂のビジュアルと連動した水のせせらぎや、電話のビジュアルと連動した着信音が聞こえてくる。展示空間の全てを作り込んでいただいたことが本当に印象的でした。
かわいいだけじゃない、おしゃれさがあった点もとても良かったです。ポスターなどのビジュアル制作に使用した電話が実際に展示されていて、本当にマイメロディがその場に存在している感覚を味わうとともに、さらに電話の前で写真撮影もできる。「私もマイメロディのように、やりたいことを口に出そう」と思える体験が自然に生まれる設計でした。
会場内に展示されている48種のウィッシュカードの中から、参加者が自分で選んだ4枚を並べて「マイウィッシュ」をつくることができる、毎日先着で配布したカードホルダーも素敵でしたね。4つのカードを並べてSNSに投稿する人たちが何人もいらっしゃったことも嬉しかったです。今年の“私これやります宣言”になっているのがすごくいいなと思いました。
CA丸山:参加者が展示を見終えて「良かったね」と感想を述べるだけでなく、自身の言葉で「今年はこのことを心がけていこう」という行動が生まれる設計にしたことが功を奏しましたね。来場者の発話がたくさん生まれたことは、今回の企画が生み出した価値だったように思います。
古屋:今回の会場は入り口が一つではなく、来場者の導線が何パターンも存在する空間でした。どこから入って体験をスタートしても同じ体験価値を与えられるように、ソフトもハードもすべてにおいて何度もシミュレーションを重ねました。
夢を諦めかけていた方が、マイメロな生き方を見てSNSに「自分の”好き”という気持ちを誤魔化さずに夢を追いかけたい」と投稿してくれていたのを読んで、本当にやってよかったな…と思いました。
デジタル×フィジカルの融合が、IP体験を未来へと広げる
相内氏:実は、当初はオンラインでのプロモーションを軸に考えていました。しかし途中でオフラインの体験イベントを実施するということが決まってから、時間が無い中で怒涛の設計をしていただいたことに本当に感謝しています。
キャラクターを実際に身近に感じることで、愛着が生まれるんだと改めて思いました。だからこそサンリオは、オフラインの接触ポイントをすごく大事にしている会社なんだと思います。
三木氏:サイバーエージェントさんは、実際のイベント設計だけでなく、どうやって集客導線を引くのか、反響がどうだったかをSNS上で抽出するといったデジタル側の施策も安心してお願いできる。そして何より、今回の施策の目指すゴールを一番分かってくれている。本当に安心感がありますし、毎週の定例会議で「今週はどんな提案が見れるかな」とワクワクしていました。
古屋:ある意味で打算なく、素直に心が動くものって何だろうっていうことを、全員が“マイメロディ目線”で考えるチームでした。大きいウィッシュリストがあったら素敵だよね、という話が出たら、その場でスケッチに描いてパッて画面に共有して。「これでいきましょう」ってなったり、みんなの心の中のマイメロディと一緒に、好きにすなおに考えて動いた結果がこういった企画として実を結んだのかな思います。
CA中橋:デジタルとフィジカルの融合を長らく提唱してきました。スマホやPC等のスクリーンを通じて得られる体験の創出をやってきたからこそ、デジタルだけでできること、できないことの境界線を感じていて。
本当に心にグッとくる体験を提供するなら、オフラインの力っていうのはすごく重要だと思ってるんです。
一方でフィジカル体験だけに閉じてしまうと体験人数が限られてしまうので、マーケティング的な投資対効果としてどうかという視点がずっとつきまとっていました。でも今は、フィジカルな体験とデジタルでの確認、PRが組み合わさることで、情報を強く広く拡散することが可能な時代に入ってきました。デジタルでの拡散を見越したフィジカル体験を設計できたことで、体験×オンラインの接触による良い事例が作れたのではないかと感じています。
CA丸山:今回の展示を通して、人って体験設計をちゃんとケアすると本当に参加してくださるんだなという実感がありました。愛を持って作ると、愛のある人が集まる。それを強く感じました。
クリエイティブをこれから担っていく身としても、重要なことをたくさん教えてもらったと思います。
CA赤羽:来場された方々の笑顔や、見て触れて感じている姿を見ていると、“実際に体験する”ことが信頼性につながるんだろうなと思いました。それを裏切らないような空間設計やイベント設計をしていかないと、信頼性を損ねることに繋がってしまう。今回築いた信頼をより大きくできるよう、尽力していきたいと思っています。
三木氏:サンリオは昔から、人との接点、繋がりを大事にしてきました。一方で、同時にオンラインでユーザーのすぐ近くにいるかのようなコミュニケーションも大切にしたい。今回はその両方を兼ね備えた象徴的な企画でしたので、今後も続いていくことを願っています。
スタッフクレジット
--------------------------------------------------------------------------
企画制作協力:サイバーエージェント・新たな細胞 Cybor
全体責任:赤羽 雅也 (サイバーエージェント)
CD :中橋 敦 (新たな細胞 Cybor)
CD :古屋 遙 (Imagine If Studio)
AD :佐野 竜一 (新たな細胞 Cybor)
PL :丸山 優河 (新たな細胞 Cybor)
PL :村上 文隆 (新たな細胞 Cybor)
デジタル関連:倉本 舜也 (サイバーエージェント)
デジタル関連:関本 帆純 (サイバーエージェント)
イベントプロデューサー :安齋 温陽(博展)
イベントディレクター :栗田 一広(博展)
空間デザイナー :跡部 準也(博展)
施工管理 :藤川 美咲(博展)
© 2026 SANRIO CO., LTD. 著作 株式会社サンリオ
___________________________________________
記事制作: 加藤 貴子( 株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 広報 )
撮影 : 溝口 晶保 〃
___________________________________________
▼2025年7月に開催されたイベントの裏舞台の様子はこちら
「マイメロディ50周年・クロミ20周年 おそろいアニバーサリーイヤー」
https://www.cyberagent-adagency.com/works/861/