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​生成AIをフル活用して膨大な数の広告クリエイティブ制作を実現! 継続的な新規ユーザー獲得に寄与し続ける「タップル」の広告運用施策

~多様なシチュエーションの撮影から、編集・入稿・配信まで短時間で完了~株式会社タップル

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マッチングアプリ「タップル」を運営する株式会社タップルでは、新規ユーザー獲得を目的としたインターネット広告の制作プロセスにおいて、2024年よりAIの活用を開始。効果を予測しながら撮影を行うことができる「極予測AI」とLED背景を活用して短時間に多くのシチュエーションで撮影ができるクリエイティブ制作スタジオ「極AIお台場スタジオ」を用いることで、CMシリーズ制作に必要なシチュエーションの撮影から、編集・配信までを短時間で完了することを可能にしました。
これらの施策を含む取り組み全般について、株式会社タップルから代表取締役社長 平松氏、マーケティング本部 作田氏をお招きし、当社の石井、洞ノ上、赤井との対談を行いました。


話者紹介

  • 平松 繁和

    平松 繁和

    株式会社タップル
    代表取締役社長

  • 作田 柾史

    作田 柾史

    株式会社タップル
    マーケティング本部

  • 洞ノ上 茉亜子

    洞ノ上 茉亜子

    株式会社サイバーエージェント
    インターネット広告事業本部 AIクリエイティブ部門 極AI局 局長

  • 赤井 健二郎

    赤井 健二郎

    株式会社サイバーエージェント
    インターネット広告事業本部 クリエイティブ新規事業本部 日本一のAI動画を追求するセンター センター長
    (※取材当時:株式会社Cyber AI Productions AIForce マネージャー/プロデューサー)

  • 石井 遥香

    石井 遥香

    株式会社サイバーエージェント
    インターネット広告事業本部 アカウントプランナー

​タップルの継続的なユーザー獲得のためには、大量のクリエイティブ制作が不可欠

平松氏:私はタップルの代表取締役社長とマーケティング本部も管掌しています。ユーザー同士がアプリを通じてより良い出会いを迎えるためには、多様な志向を持った多くの会員様にご登録いただくことが重要です。そのためにも、ユーザーの獲得数は事業にとっての生命線だと考えています。

CA石井:私はサイバーエージェントで営業を担当しています。タップル様の広告は多様なユーザーニーズにお応えするために、深いユーザーインサイトを起点に、ハイクオリティなクリエイティブを大量かつバリエーション豊かに制作することが求められていました。この高いハードルを越えるためにも、当社の保有するスタジオ「極AIお台場スタジオ」をオープンしたタイミングで、真っ先にご提案させていただいたんです。

平松氏:マッチングアプリの広告がヒットするには、ユーザーが身近な出会いを想起しやすい訴求を考えることが重要です。撮影モデルを起用し、室内やデートの待ち合わせ場所といったシチュエーションについて大量のクリエイティブを作成していたところ、
従来の撮影手法では物理的に難しかった多様なシチュエーションや演出を、AI技術によって拡張することができる点に可能性を感じました。

作田氏:私はタップルのマーケティング本部で、主にユーザー獲得施策を担当しています。今お話ししたユーザー特性に加えて、出稿する各媒体ごとの当たり傾向に適したクリエイティブが必要であるということも、制作量の増大に拍車をかける要因になっています。
加えてインターネット広告では、特定のユーザーに何回も同じ広告が表示されると効果が薄れる、いわゆる「摩耗」が起こります。インターネット広告は事業戦略の柱ですので、摩耗が起きないよう速やかにクリエイティブを差し替えなければいけません。そのため定期的に多数のクリエイティブを制作する必要があります。

「夏だから誰かと一緒に花火に行きたい」や「夜寂しいときに誰かと話したい」といったユーザーインサイトのほか、「実際のカップルの動画を見たら利用につながるのではないか」という仮説を立て続けながら制作しています。
打ち立てた仮説とは違うクリエイティブが大ヒットすることもしばしば起きるので、検証に用いるクリエイティブの数は多ければ多いほど嬉しい、というのが本音ですね。

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CA洞ノ上: 私はサイバーエージェントのAIクリエイティブ部門にて、極AI局の局長を務めています。当社は、媒体ごとに、さらにはその中の細分化されたクラスターごとに最適なクリエイティブを届けることが、インターネット広告代理店としての最重要ミッションだと考えています。

先ほど平松様もおっしゃっていた通り、タップルのユーザーの関心や欲求は多種多様です。それに対応するためには、可能な限り広範囲のインサイトを網羅しながら広告を届ける必要があります。ネット広告では様々な商品・サービスが各クラスターの可処分時間を奪おうとしています。その中で、マスに向けた1つのメッセージを繰り返し配信することには適していません。いかに細かくターゲットをセグメント化し、それぞれに最適化された広告コミュニケーションを設計できるかが、成果を左右する重要なポイントです。
こうした背景から、「クリエイティブは多ければ多いほど良い」という考え方が本案件の戦略の柱として定着してきました。特に、その戦略をいかに着実に実行し、継続的に運用していける体制を整えるかという点に注力しています。

​極予測AIを用いて効果を予測しながら撮影、即日編集&当日配信を実現

CA洞ノ上:当社が提供する「極予測AI」は、広告配信前のクリエイティブが実際に配信された際に、どの程度の効果を上げるかをAIがスコアリングして予測するサービスです。この技術を撮影スタジオで活用すべく、準備した背景素材や撮影直後の人物を瞬時に効果予測できる「極AIお台場スタジオ」を2023年に設立しました。シチュエーションや画角、そして人物の顔をアップにするか、引きの絵を撮るべきか、などの細かな設定を、その場で効果予測と照らし合わせながら判断していくことが可能です。

平松氏極AIお台場スタジオでの撮影で特に驚いたのは、細部へのこだわりとリアルさです。スクリーン越しの映像を見たときに、影の出し方など非常に細かな部分まで作り込まれていて、「これは合成なのか実写なのか」と判断に迷うほどの高いクオリティに感心しました。

CA赤井:私はCyber AI Productionsにて、本案件のクリエイティブ制作全般を統括しています(取材当時)。今回の撮影は「極AIお台場スタジオ」設立間もない案件でした。特に力を入れたのが、撮影素材をスタジオ内で編集し、当日中に入稿・配信する「即日入稿&配信」です。

CA洞ノ上:極AIお台場スタジオでは効果予測を元に撮影ができるので、撮影時間の大幅短縮が可能となります。CMを制作するのに必要なシチュエーションを短時間で撮影できただけでも凄いことなのですが、撮影終了後すぐに編集作業を開始し、クライアントチェックも済ませた上で、その日のうちにクリエイティブを入稿し、配信を開始するという画期的なスピードで進めることができました。

CA赤井特に重要なのが、事前準備です。例えば音声の設計では、複数の要素を変えたパターンを検証し、効果予測で高スコアが出やすい要素を抽出。その結果をもとに音コンテを作成しました。背景についても膨大な数を制作した上で、シーンごとにスコアが高くなりそうな数点を極予測AIで分析し、実際に使用する背景を選定しました。
 

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​対象別の多様多量な実地検証を支える、AI活用と柔軟な広告運用方針

CA洞ノ上:極予測AIは、アドグループ(=年齢や性別などの情報を元に対象ユーザーを区分したグループ)ごとに効果を予測する仕組みです。「アドグループごとに最適なクリエイティブを制作する」という方針自体は以前からありましたが、それをより高い精度で、かつ効率的に実行するためにAIを活用しています。
最近特に実感していることは、AIによる効果予測の精度は、元になるクリエイティブの“量”に大きく左右されるという点です。

従来は、ロケ撮影やハウススタジオなど人の手による制作が中心だったため、どうしても素材の量に限界がありました。そこで、AIを活用し、より多くのシチュエーションやバリエーションを生成・追加する取り組みを進めてきました。その結果、クリエイティブの母数が大幅に増え、ターゲティングの網羅性が向上。それが効果の最大化にもつながっており、ここ2年ほどでその成果がはっきりと見えるようになってきました。

CA石井:クリエイティブの運用は、日々磨き続けている状態です。ターゲット層を広げるための新しいクリエイティブの方針を、定期的にご提案させていただいています。

作田氏:先ほども話に出た「クリエイティブの摩耗」への対応はとても重要で、新しい訴求軸や構成を継続的に考えていくことは、競合との差別化にも直結します。その点で、サイバーエージェントさんのご提案はいつも的確で、過去に成果の良かったクリエイティブをベースにしつつ、極予測AIのスコアが高い「チャレンジ枠」を加えるという形で進めていただいています。
このサイクルが現在もうまく機能しており、全体として広告成果が着実に向上していると感じています。

平松氏:クリエイティブに関してはあえて過剰な制約を設けず、効果が見込めるものであれば柔軟に試す姿勢を大切にしています。最近では、様々なシチュエーションを、LEDスタジオを使って撮影したところ、思いがけない当たりを生む広告が出るなど、嬉しい驚きがありました。
また、極予測AIのスコアを参考にクリエイティブの要素を決めることもありました。AIの助言においても適切かつ柔軟に判断することを重視しています。

CA石井:そうしたタップル様の柔軟な姿勢が、クリエイティブの質・量・スピードの三方よしを実現しているのだと思います。

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​ユーザーの声を反映した新機能をスピーディに反映し、獲得顧客を最大化

CA石井: タップル様では、独自の新機能もコンスタントに開発されていますよね。「こんな機能があったら利用者が増えるのでは」というマーケティング視点に基づいて開発されているため、その新機能を軸に多様なクリエイティブ展開ができるのは非常に好循環だと感じています。
軸となるアプリの機能の戦略はタップル様が担ってくださり、それを高品質かつ大量のクリエイティブに落とし込んで運用していく部分をサイバーエージェントで担うという、良い協力関係が築けています。

平松氏:たとえば、学生同士のマッチングニーズに応えるために開発した「タップルStudent」では、学生証を認証したユーザー同士に限って、相手の大学名が表示される仕組みを導入しました。また、シングルマザー・ファザーの方からの「子どもがいることを事前に伝えた上でマッチングしたい」という声を受け、プロフィールの一番上にタグとして表示する機能も追加しています。

私たちとしては、ユーザーの皆様にとって有益な機能を開発しているという実感がある分、少しでも速く広告に反映したい気持ちが強いんです。サイバーエージェントの皆さん、そしてAIの力を借りて早期にその魅力を伝えていただけるのは、とてもありがたいですね。

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CA洞ノ上:確かな訴求軸があると、クリエイティブがとても設計しやすくなります。いつ、誰に、どのようにしてアピールしていくかを考え抜くことで、効果も上がりやくなっていると感じています。

​膨大な数のクリエイティブ入稿を支える、CR制作チームとの連携

CA赤井:私がクリエイティブチームとの連携で特に意識しているのは、「いかに迅速かつ多様なバリエーションを生み出せるか」という点です。「バリエーションが必要です」と言われてから動き始めるのでは遅いため、即座に対応できる体制を日頃から整えておくことが重要だと考えています。
その鍵になるのが、生成AIの活用です。常に最新の生成AI技術やナレッジをキャッチアップし、一歩先んじて理解しておくよう努めています。そして、提案を行うことで、生成ツールを用いた表現の幅を広げていく。そうしたサイクルを回すことで、結果的にクリエイティブの多様性やスピード感を高めることができていると感じています。

CA洞ノ上「短い納期でこのクオリティのクリエイティブを大量に作りたい」など、日々無茶なことをお願いしていることは自覚しています。同じグループで本当に良かった(笑)。通常なら外部の制作会社には断られそうな内容でも、グループ内で制作できるからこそ「どうすれば可能か」と前向きに議論できるのは非常に心強いです。
これは、ネット広告におけるPDCAの考え方や、「このタイミングまでにこの成果が必要」という理想像を事前に共有できているからだと思います。だからこそ、「なぜこの要望が急に発生するのか」といった背景もスムーズに理解してもらえ、施策に柔軟に落とし込めています。

究極の状態としては、毎日新しいクリエイティブを入稿したいと考えています。毎週のお打ち合わせで、その時々の時流を我々人間がしっかりキャッチして、それをAIの力を活用しながらものすごいスピードでクリエイティブに落とし込んでいくという流れを、試行錯誤しながら繰り返しています。

作田氏:例えば、Xではトレンドになってバズりやすい内容がものすごい速さで移り変わります。通常なら制作に数日を要するところを、サイバーエージェントさんには即日で対応いただいており、そのスピード感はそのまま効果に直結していると感じます。
また、TikTokの縦型広告はYouTubeと違ってユーザーが能動的にスキップできるため、最後まで動画を見てもらうための工夫や演出が必要になります。そうしたアテンションの引き方にも、トレンドに即した対応をしていただける点がとてもありがたいです。

CA石井:とは言え最終的には、クオリティを落とさずにどれだけスピードを早められるかが価値だと考えているので、日々クライアント様との連携を強め、社内でも同じ目線を保てるように、営業・クリエイティブ・撮影担当という棲み分けをせずに、チーム全体で会話の機会を持つことを意識しています。

CA赤井:クリエイティブの質を保ちながら量を担保する、という文脈で我々が行なっていることは、「極AIお台場スタジオ」で使える技術を事前に磨き込んでおくということです。将来的に求められそうな技術や表現を予測し、あらかじめ準備しておくことで、クリエイティブのバリエーションを広げられるよう努めています。さらに、それらの技術をチーム全体で共有し、誰でも対応できる体制を整えることで、スピード感のある制作体制を実現しています。

CA洞ノ上:本案件がうまくいっている背景を考えると、タップル様と構築させていただいた関係性によるところも大きいと感じています。単にコミュニケーション量が多いというだけでなく、代理店とクライアントの関係を超えた「効果を出すためのパートナー」になれたのではないかなと。

タップル様がAIに関する理解度が非常に高く、更にネット広告におけるAIの活用をマーケティング戦略の一環として捉えていらっしゃる。だからこそ、サイバーエージェントからの新しいご提案に対しても、即座にご理解いただき、スピード感を持って施策を進めていくことができるんです。
例えば、「バリエーションを広げることで効果が出る」という提案の際には、大きく振り切ってチャレンジしていただけたり、「今がアクセルを踏むべきタイミングです」というご提案に対しても、即座に判断・対応していただけるという点は、まさに成功要因のひとつだと思います。

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​更なる事業成長を支えるために、より高速で即時的な制作運用体制を

CA洞ノ上:正直、このプロジェクトには、まだまだ伸び代があると感じています。昨今のGoogleやMetaなどの媒体側が提供するAIツールの進化は著しく、ここ数年で効果的な広告運用を自動で行えるようになってきました。その流れの中で、私たち代理店の価値が改めて問われているとも感じています。

私は、AIには代替できない人間ならではの「戦略的視点」や「企画の精度」こそが、これからの代理店の価値になると考えています。たとえば、配信頻度の調整、切り口の選定、出稿タイミングなど、細やかな調整は人間の視点だからこそ可能です。そうした中で、タップル様との本プロジェクトでは、スピード感のあるフィードバックのやりとりができていることもあり、こちらも常に緊張感を持って取り組めています。更なる高みを目指して挑戦を続けていきたいです。

作田氏生成AIに関しては、現時点でも非常に高いレベルで要望に応えていただいており、その対応力にはとても信頼を置いています。今後、現在のようにアドグループ単位での最適化だけでなく、キャンペーン単位での最適化や、更には構造がブラックボックス化された運用に移行していく未来も十分に想定されます。そうなった時に、どのクリエイティブチームと組むかを考える際には、「成果実績」と「考え方の一致」が重要な要素になると考えています。AIをコントロールする立場にいるからこそ、両者に価値観や考え方のズレがあると、最終的なアウトプットに大きな差が出てしまうからです。
そうした中でも、サイバーエージェントさんとは認識をすり合わせることができており、効果への信頼感もあるので、今後AIがどれだけ進化しても、この関係性に大きな信頼を寄せています。

CA石井:今後、AIの進化に伴い、現状の正解が突然通用しなくなる可能性も十分にあります。だからこそ、これまで積み上げてきたものは大切にしつつも、それだけに固執せず、「その時々の正解」を正しく見極めながら、常に変化に柔軟に対応できる姿勢を大事にしていきたいです。今後もその姿勢を、チーム全体の連携の中で大事にしていければと思います。

CA赤井:初めてLEDでの撮影を実施した当時は、まだ人力での生成が中心で、大量の広告の中からベストなものを選定するために、予測モデルを活用していました。しかし今後、さらに多様なバリエーションが求められる中で、手作業の限界を感じています。
そのため、現在はプロダクション側で制作効率を上げるための独自ツールの開発にも取り組んでいます。たとえば、自動的に背景を生成するシステムや、その背景に合わせてLED照明の設定が自動で変わる仕組みなどはすでに活用されており、今後もテクノロジーと制作の融合を目指して新たな開発を進めていきたいと考えています。

CA洞ノ上現在チャレンジしているのは、「毎日クリエイティブを提出する」という、時流をとらえた即時性重視のPDCAです。まだ検証途中ではありますが、とにかく良い効果を創出したくて、毎日のようにやりとりをしながら、熱量を注いでやっています。
この2年間を振り返ると、私たちはまさに「大量に回すこと」を前提としたチーム体制を築き、成果に直結するアウトプットを生み出し続けていると実感しています。

平松氏常に当たるクリエイティブが生まれ続けている、という現状に満足しています。特に、新機能に関してはお客様が喜んでくださることを目指して作っているので、それをクリエイティブに落とし込んだ時に成果が出ると、嬉しいですね。
今後も、両社の連携を深め続け、量と質どちらの面でもクオリティの高い広告クリエイティブを生み出し続けられることを期待しています。
 

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記事制作:   加藤貴子( 株式会社サイバーエージェント  インターネット広告事業本部   広報 )
撮影  :  溝口晶保    〃
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