2025/2/12 Wed

関西電力の新サービス「モアクト」のブランドの想いを体現するタグライン・ステートメント・キービジュアル・コンセプト動画などを開発

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~ワークショップ実施からディスカッションを重ね、コンセプト策定・クリエイティブ開発まで約4ヶ月間で実行、「極AIお台場スタジオ」をフル活用~

関西電力株式会社では、中長期経営計画「Kanden Transformation」のもと、1.カーボンゼロへの挑戦、2.サービスプロバイダーへの転換、3.強靭な企業体質への改革、の3つを掲げています。その内の2.サービスプロバイダーへの転換 の取り組みとして社内外で注目を集めているのが、社会貢献活動促進サービスの「モアクト」です。
「モアクト」は、地球環境や地域コミュニティなどの課題解決につながる「ソーシャルグッド」につながるミッションをクリアすることでおトクなポイントを獲得できるアプリサービスです。PoC(概念実証)のタイミングから非常に高いユーザー評価を獲得し、2024年11月にリリースを遂げました。

「モアクト」の長期的な成長と成功のためには早期から強いブランドの構築と育成が重要であるという考えのもと、ブランディングやシンプルなサービス紹介などを達成するための一連のクリエイティブ開発を行うプロジェクトを発足。ブランドタグラインやステートメント、サービスコンセプトの策定からキービジュアル・コンセプトムービーやブランドページの作成など、ブランドの基礎づくりをサイバーエージェントと共同で実施
その取り組みについて、関西電力株式会社から小山様、山口様をお迎えして、当社よりクリエイティブ全般を担当した安藤、営業担当の尾﨑とともに対談を行いました。
* モアクト公式ウェブサイト https://service.moact.jp/

小山 陽平

関西電力株式会社
モアクトサービス推進責任者

山口 敦史

関西電力株式会社
モアクトサービスマーケティング担当者

安藤 達也

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
クリエイティブディレクター

尾﨑 美桜

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
アカウントプランナー

―“社会に良いこと”を集めて広げる。「モアクト」を立ち上げた背景とは?

小山氏:関西電力では、電力供給に限らず新しいことにチャレンジする「バリュートランスフォーメーション(VX)」と呼ばれる様々なプロジェクトを推進しています。私は、その中の一つであるモアクトのサービス推進責任者をしています。
モアクトのプロジェクトは、今後のエネルギーのあり方を考えるところから始まりました。世の中がWeb3に移行していく中で、これまで中央集権的だったエネルギー業界も、自律分散の世界になっていくと予測されています。そうした中で、私たちにできることはないのか?というテーマについて、社内でも議論していました。

弊社では「ゼロカーボンビジョン2050」を掲げて、事業活動に伴うCO2排出を全体としてゼロにすることを目指しています。電源、つまり電気の供給元も全てゼロカーボンにしていこうということなのですが、ゼロカーボンの電源は、通常の電気より少し高くついてしまう傾向があります。いくら環境に良い電源を確保していても、簡単に商品価格に反映できない、という話も現場から上がっていました。

このようなこともあり、「ゼロカーボンを目指している。その大前提としては、やはり生活者一人ひとりの理解・協力が不可欠ではないか」と考えるようになりました。この課題をどう解決していくのか。そうした問いに向き合う中で、我々電力会社が中央集権的に考えるのではなく、自律分散的に、みんなで社会をより良い方向に変えていけるような活動につなげていくことが大切と感じました。ゼロカーボンにとどまらず環境にいい活動や社会にいい活動を広く促進し、それに対して一歩踏み出すことを続けることで、そうしたムーブメントになるのではないかという仮説を立てました。

世の中の社会や環境に良い活動を私たちがサポートし、ソーシャルグッドなムーブメントを促すことができたとしたら、それはすごいエネルギーになるんじゃないか。そんな考えから、少しずつモアクトが出来上がっていきました。
 
山口氏:私は2024年8月に入社してモアクトチームにジョインしたのですが、生活者にまず行動を促すという点に可能性を感じました。これまでのキャリアではマーケターとして、主に広告を通じて生活者の態度変容を促し商品を購買していただくということをずっとやってきていましたが、アプリやサービスを通じて、社会がより良い方向へと向かうよう、まず生活者に行動してもらい、態度やその後の行動を変えていく考え方のビジネスには初めて関わります。新しいコミュニケーションの可能性を感じて、とてもワクワクしています。

―メンバーそれぞれが広げる想いを、ワークショップを通じて可視化

山口氏:モアクトのブランドコンセプトの策定には難しさを感じていました。モアクトが促す「社会的に良いこと」は抽象的で、範囲も広い。プロジェクトチームもユーザーも同じ方向を目指して歩いていける、そんな方針を作りたいということで、今回のプロジェクトに繋がっていきました。
 
小山氏:ありそうで無かったサービスなので、弊社チームメンバーだけではなかなか上手く言語化できないという悩みがありました。そこで、ブランドコミュニケーションの骨格を描く、そして最終的なアウトプットとして動画を制作するという2点を、外部に委託することにしたんです。
最初はそれぞれに専門の会社にご依頼するということも考えたのですが、私たちのサービス、作っていきたいブランドについて、共感したり、分かってくれる人たちに動画を作って欲しいという思いがあり、それらを一貫してお願いできる会社さんに依頼しようということになりました。
数社からご提案をいただいたのですが、その中で私が本質的に求めていたことに最も応えていただけたと感じたサイバーエージェントさんとご一緒させていただくことになりました。
 
山口氏:サイバーエージェントさんとは前職でも一緒に仕事をさせていただいていたこともあり、ブランド作りやアッパーファネル向けのコミュニケーションなど、上流の戦略やクリエイティブにおいても信頼をおける実績を持っていらっしゃると感じていました。
CA安藤:ありがとうございます。改めてそういう背景があったのかと知ることができて、嬉しい気持ちと、少しホッとした気持ちです。正直なところ、本案件のご提案は難易度の高いものではありました。
我々が普段プランニングをする際、世の中に出ている類似ブランドの成功事例TOP10などの分析をしたり、ユーザー分析や、過去の実績や経験則から向かうべき方向性を定めることができるのですが、Web3や社会貢献サービスということとなると、成功例と言えるリファレンスが少なかったんです。
また、2024年年内のリリースを目指しているということで、本プロジェクトのお話しいただいたのが夏の終わり頃でしたので、約4ヶ月という限られた時間でクリエイティブ制作まで実現するという難しさもありました。
 
しかし、お話しを聞いた時に感じたのが、それぞれに違いはあれど、皆さんの中には何かしら具体的なゴールイメージや世界観を持たれている、ということでした。それなら徹底的に全員と対話をしながらブランドを作ってみようと考え、そういうご提案をさせていただきました。
 
結果、そのアプローチは正解だったなと思います。9月にはワークショップを実施したのですが、想像以上に活気のあるチームで、全員がブランドの未来について熱く語る会になりました。メンバーひとりひとりが、それぞれにとても具体的な意見を持っていらっしゃったんです。やっぱりこのチームの中に答えはあったんだな、と感じました。
ただ、アイデアとしてはかなり多方面に発散していたので、さらにそこからディスカッションを重ねて、少しずつ収斂させていくことになりました。
ブランドワークショップのアジェンダ
小山氏:本当にそうですね。最初は、チームメンバーがそれぞれ意見や考えを持っていて、良くも悪くも収集がついていない状態でした。自分の子供が主語の人もいれば、母親だったり友人だったり、モアクトを使っているシーンやユーザーのイメージがバラバラだったんです。
また、モアクトはプラットフォームなので、エンドユーザーだけでなく企業側にご利用いただくものでもあります。企業にどう使ってもらうべきかについても、様々な意見がありました。
 
山口氏:私はちょうどこのディスカッションから参加したのですが、メンバーの皆さんが本当に活発に議論している姿を見て、このサービスに対する想い入れや熱量の高さに驚きました。
 
小山氏:今振り返ると、このタイミングで行動指針のステートメントができたことで、やっと地に足が着いた感覚があり、そこが出発点になったと感じます。

―全員の力を合わせて作ったタグライン「いいタネ、どんどん、根づいていく。」

CA 安藤:ブランドワークショップで伺った様々なご意見から具体的な表現のご提案を進めました。まず悩ましかったのは、社会貢献したいという道徳的な気持ちを喚起することと、ポイント・報酬が得られるという経済的な欲求と、その2つの文脈をユーザー体験としてどのように融合させられるかという点でした。
モアクトチームの皆さんからも「ただのポイ活アプリにはみられたくない」「大切なのは社会がよくなっていくということ」という想いを聞いていたので、そこにどんな楽しさを感じ、モアクトの目指す未来像に共感してもらえるような伝え方をするか。
 
サービスコンセプトとしてご提案したのは、「トクつむ。トクする。」という言葉です。「良いこと=徳のあることしたら、ちゃんと得する。そんな社会になれば、世の中どんどん良くなっていくよね?」という考え方を、新しい概念としてシンプルに世の中に提示する。アプリの体験そのものが自然とより良い社会へとつながっていくと感じられるような、それでいて小難しくない、多くの人に使ってもらえるアプリになってほしいという想いを込めました。
 
また、ブランドステートメントについては、ワークショップで出てきた皆さんの想いやイメージを5つの条文としてまとめました。
そこまでは比較的スムーズだったのですが、最後のタグラインは本当に難しかった。 複数のアイデアを提示させていただきながらも、みんなで一緒に作っていった、という感覚があります。
山口氏:私どもの中で最初にビビッときたのは、「いいタネ、ゾクゾク」というタグラインでした。それ以前から「タネ(種)」という言葉が、未来の色々な可能性を内包しているこのブランドを表すいいキーワードですねと話していたこともあり、モチーフとして良いなと。そしてそのタネがどうなっていくのかを考えたときに「ゾクゾク」という言葉が、可能性が広がっていく様子を上手く表していると感じました。
 
その後、このプロジェクトで目指す方向性をより的確に表すために、動詞の部分をより明確にした方が良いのではないかという議論を重ね、今の「いいタネ、どんどん、根づいてく。」に落ち着きました。
10案から最初に選ばれたタグライン(左)が、推敲を重ねて最終案(右)に

 
完成したタグライン
小山氏:そうですね。決めるのはとても難しかったです。正直、ご依頼させていただく前は、選択を丸投げしてしまっても大丈夫なのだと思っていました。つまり、複数案出していただいた上で「◯◯の理由からA案が良いと思います」と回答する、そんな提案を期待していたのです。
 
でも実際に提案をいただくと、メンバーの議論が「AもBもCも良いな…!」という状態で…。どの言葉を選ぶべきか、家に帰ってからも宿題のように考え続けていました。
今振り返れば、あのときチームに判断を委ねていただいたことが「みんなで決めたタグラインを守っていこう」という意識を醸成したと感じています。
 
CA安藤:最初の10案から1案に絞るのは比較的すんなりいったものの、そこからの推敲は本当に総力戦でしたね。「根づく」というキーワードも、「ゾクゾク」ではなく「どんどん」という言い方がいいのではないかというアイデアも、小山さんから出していただいたものでしたよね。本当に合作だったなと思います。
 

―クライアントと代理店、相互の深い理解がスムーズな映像制作に繋がった

CA安藤:映像制作についても方向性は1回で決定したので、スピード感をもって進めることができました。
 
小山氏:コンセプトやタグラインと並行して、複数案の絵コンテを出していただけたので、とても助かりました。議論しているコンセプトが社会にどう伝わるのか、イメージが分かりやすかったので、サクサク進んで行った感じでしたね。
実際に使われた絵コンテの一部
山口氏:動画制作で唯一苦労したのは、細かいシーン選びのところですね。元々ミニチュアでつくる予定だったので、8シーンほどご提案いただいた中から4つ選ばなければいけなくて。どれも良いシーンだったので、難しいなと思っていたんです。でも、結局全CG撮影にすることで、全8シーンをスケジュール内に撮影できるようになったんですよね。
 
CA安藤:そうです。弊社の「極AIお台場スタジオ」にて、今までにない規模のフルCG/LED撮影を行わせていただきました。
通常の映像制作ではグリーンバック撮影を行った後でミニチュア背景と合成するため時間がかかるのですが、弊社スタジオではLEDにミニチュアを写して人物撮影と合成を同時にできるので、大幅に時間を短縮することができました。撮影手法としても新しいものでしたので、アプリ自体の先進性とも相性が良かったのではないかと思います。

考えてみれば、この撮影手法もカーボンニュートラルに寄与していたように思います。ミニチュアを作成すれば、最終的にはそれを破棄することになり、無駄なゴミが出てしまう。でも、フルCGならそれが起こらない。せっかくだから「ゼロカーボン撮影を目指そうよ」とスタッフと盛り上がっていましたね。
 
山口氏:そういった意味でブランドの方針と合致した撮影手法を選べましたよね。実際の撮影の様子はとても新鮮でした。CGの背景を見ながら「もう少しこっちに(CGの)小道具を動かしてください」などの指示を出すと、その場でエンジニアさんが背景の美術をCG上で動かして調整し、撮影するという、とても未来的でプロフェッショナルな現場でしたね。
 
小山氏:振り返ってみると、ブランド作りから動画の制作まで一貫して世界観を共有してきていたので、動画制作に入った時にコミュニケーション上の難しさをあまり感じなかったんですよね。コンセプトを分かっていただいているので、私たちがいちいち口を挟まなくても大丈夫という安心感がありました。
 
山口氏:わざわざ動画用にオリエンする必要がなく、動画制作まで直通でしたね。とてもスピーディーに進みました。
 
CA尾崎:私はその撮影のタイミングあたりから参加したのですが、1日でものすごい量を撮影させていただいたことがとても印象深くて。
 
CA安藤:撮影現場はグルーヴ感がありましたね。スタッフもみんな楽しくやっていましたし、役者さんも、ナレーションの方の声もすごくはまった感覚がありました。選曲も良かったですよね。これは、モアクトのプロジェクトチームの皆さんの雰囲気、「みんなでより良い方向を目指そうぜ!」という空気感みたいなものがかなり影響したのかなと感じていました。

山口氏:そうですよね。撮影スタジオってピリっとした雰囲気になることもありますが、それが一切なかったですね。
 
CA安藤:そうなんですよね。最初にお会いしたときのプロジェクトチームの活気、世の中にまだないものを作ろうというみなさんのチャレンジ精神、どんどんいいモノ、いい社会をつくろうぜ!という気持ちが、チームのムードを作り上げてくださったんだと思います。
 
山口氏:まさに「どんどん、根づいてく」ですね(笑) 新しい撮影手法を用いた撮影だったので、なんだかみんなで実験的に参加しているような感覚でした。
 
CA安藤:こうした新しい手法に挑戦した撮影現場は、どこかで予期せぬハードルが生まれて、なにかしら妥協を余儀なくさせられることもありますが、今回は、その難局をなんとか乗り越えようとする意欲がスタッフ全員にあった気がして。僕らもそれを信じて見守るというか、みんなでなんとかしていきましょうというスタンスで進み続けることができました。
 
山口氏:確かに妥協はなかったですね。例えば、1日目の3Dのシーン撮影立ち会いの時も、元々1時間ぐらいで終わる予定が3時間くらいかかりましたよね。本当に微調整を重ねていただいて。そのこだわりがとても嬉しかったですね。
実際に完成したコンセプトムービー

―スタートラインをきった「モアクト」の今後

小山氏:モアクトは、2024年11月22日にスタートを切ったところです。長かったけどようやくスタートラインには立ったなという気持ちです。この立ち上げた時の気持ちを大事にして、これからも粘り強く泥臭くやっていきたいです。
 
山口氏:今のモアクトは参加いただけるユーザー数を限定していますが、今後フルオープンになった後は自然とユーザーが集まってくる状態をしっかりつくっていきたいです。また、単純に面白く楽しいサービスとして終わるのではなく、本当に目に見えて世の中が良くなるという実感を提供できるサービスにしていきたいです。
 
小山氏: 2025年度末に会員登録数5万人ぐらいを目指していきたいと思っています。

CA尾崎:サイバーエージェントとしては、自社サービスも豊富ですし、立ち上げ段階からのマーケティング支援の事例も増えてきているので、その情報をフルにかき集めてチームに貢献していきたいです。
広告配信フェーズに入ればたくさんの実績とメソッドがあるので、それを関西電力さま向けにカスタマイズして、しっかりとご提案していきたいと思います。
CA安藤: ブランドは「作って終わり」ということがないですので、しっかりと社内外に浸透させながら、より強固な、愛され続けるブランドに成長させていきたいですね。

小山氏:ここからは、0から1じゃなくて、1から10ですもんね。引き続きお互いに刺激をし合いながら、より良いものを作っていきたいので、ご支援宜しくお願いします。
 
山口氏:もしも私どもが変な方向に行こうとした時には、「おいおい」と言いながら方向修正をしていただける。そんな率直なコミュニケーションができる関係性を保っていきたいなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
CA安藤:同じように我々にもご指摘くださいね。(一同笑)

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記事制作・撮影:   株式会社サイバーエージェント  インターネット広告事業本部   広報 
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