2021/2/15 Mon
アドバンスクリエイト「保険市場」アポイント取得数160%増を実現したデータドリブンなOMOマーケティングとは
鳥居 俊文 氏
株式会社アドバンスクリエイト
OMO営業本部
理事
石山 雄一 氏
株式会社アドバンスクリエイト
デジタルコミュニケーション開発部
エンジニア
國見 英世
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
第2本部 西日本1局
シニアコンサルタント
下田 満
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
第1本部 西日本2局
営業マネージャー / アカウントプランナー
アドバンスクリエイト社が提供する保険代理事業「保険市場」において、オンライン・オフラインデータの繋ぎ込みでOMOマーケティングを推進し事業成果を拡大した事例について、アドバンスクリエイト社から鳥居氏、石山氏を迎え、当社担当者の國見、下田と共にインタビュー対談を行いました。
COVID-19がゲームチェンジャーとなり、構想していたOMOマーケティングを一気に推進
ー お取り組みの実施に至った背景について
CA下田:アドバンスクリエイト様は、15年以上前からデジタルマーケティングの最前線を走られているお客様です。保険ビジネスの概念を変えるべく、これまでとは全く違った販売戦略にて、新たな保険流通市場を築き上げられております。事業は、保険代理店事業、メディア事業、再保険事業、ASP事業、BPO事業、メディアレップ事業と多岐に渡ります。
我々サイバーエージェントは、5年ほど前から、国内最大級の保険選びサイト「保険市場」を主軸とし、一緒にデジタルマーケティングを担当させて頂いております。主軸はサーチ領域で、これまで「資料請求」をKPIとして効果改善に取り組んできましたが、以前からその先のステップである保険相談の「アポイント取得」というところまでを追っていきたいというお話が上がっていました。
CA國見:どのプロモーションが保険相談のアポイントに繋がっているかを明確化できないという課題があり、それを解決するには、個別に管理している顧客管理データとマーケティングデータを結合する必要がありました。
取り組み自体の構想は、実は二年半ほど前からあったのですが、一年半ほど前に鳥居様から「今がタイミングだ」とおっしゃって頂き、社長の濱田様にご提案させて頂いたことがスタートのきっかけです。
鳥居氏:そうですね。この数年で情報入手ツールやお客様の保険の契約形態が多様化してきていて、これまでのように「資料請求」という単一のゴールだけでは効果が推し量れなくなっていると感じていました。
そんな中、昨年起こったCOVID-19が、これまで以上に保険の需要を高めました。我々としてもこうした保険の需要の高まりに対して、単なる「資料請求」ではなく「保険相談」に重み付けするべきだと考えたのです。
COVID-19は同時に、世の中の「オンライン化」を当たり前にし、保険相談の形態も「オンライン」が一般的になりつつありましたし、これが後押しとなり、ストレートに「保険相談」をKPIとした広告運用を行うべく、この取り組みを一気に推進したのです。
CA下田:あとCOVID-19によるオンライン化の加速は、このプロジェクトを進めるにあたっても大きなメリットになりましたよね。
CA國見:そうですね。今回関係者がかなり多いプロジェクトだったのですが、オンラインミーティングが一般化したことで気軽に集まりやすくなり、チーム内でしっかり意思疎通をとって、目指したいゴールに向けて常に共通認識を持ちながら進めることができました。
顧客データとマーケティングデータを結合。保険相談の「アポイント取得」をKPIに広告配信を最適化し、同コストでCV160%増を実現
ー 今回、具体的にはどのようなお取り組みを実現されたのでしょうか?
CA國見:これまでは、どのプロモーションが保険相談のアポイントに繋がっているかを一元管理する事が出来ていなかったので、まずは「保険市場」の顧客管理システムが持っているデータと、デジタル広告の行動データを紐付けるような開発を行っていただきました。
石山氏:開発に関しては、僕とパートナーの「e-Agency」さんと進めました。
顧客管理システムでは、資料請求をしたユーザーがその後どういうステータスにいるのか、例えば「アポイント取得」や「ご成約」といった細かいステータス情報を保有しています。その情報とデジタル広告の行動データを紐付けて、広告管理画面上で可視化できるようにしました。
CA國見:各所とのご調整など大変だったかと思いますが、石山さんにリーダーシップを取っていただいたおかげで開発が実現し、例えば「“学資保険”というカテゴリで資料請求がされて、実際にアポイントまで繋がったユーザーがどれくらいいるのか」ということが見れるようになりました。
石山氏:プロジェクトに関わる人数も多く、社内でも別チームが管理しているシステムの仕様を把握しながら進めていかねばならず大変な部分はありましたが、実現できてよかったです。
技術面でいうと、今回はGoogle社のGoogle Cloud Platformを活用していて、デジタル広告の「資料請求」とオフラインの「アポイント取得」というCVデータをクラウド上で結合させることで、デジタル広告のKPIとして「アポイント取得」を設定する事が可能になりました。
初めての取り組みだったので、知らない技術に関してはGoogle公式のリファレンスを参照したりしながら、手探りで作業を進めていましたね。
CA國見:本当にありがとうございました。
可視化が出来るようになってから、一部のカテゴリの広告配信においてKPIを「資料請求(=リードを集める)」からより事業成果に近い「アポイント取得(=営業を行う)」に切り替えて自動最適化をかけて配信したところ、「アポイント取得」数がこれまでと同じ広告コストで160%まで増加するという成果が上がりました。
CA下田:「資料請求」よりも「アポイント取得」の単価が下回った日もありましたね。この結果を踏まえて、現在は対象カテゴリを拡大させて実施しているところです。
鳥居氏:こういう取り組みって、構想だけであれば多くの企業がしていると思いますが、実現してるところはまだ少ないんですよね。前例がない中で、こうやって手探り状態ながらチームで実現できたということは、非常に大きな成果だと思います。
広告効果だけではなく、事業成果に結びつく新たな施策を探求し続ける
ー 今後さらに構想されている取り組みや展望はありますか?
CA國見:実は昨日も一昨日も、鳥居様と「未来を見据えて、何をすべきか」ということについて議論させて頂いていました。
今はどちらかというとダイレクト領域に特化していて、逆三角形のファネルがあったとしたら下の部分にあたる、CVに近いユーザーをより効率的に取っていこう。という部分に特化しているフェーズです。直近も、石山様と一緒にお申込みフォームの大きな改善などを実施していて、まさに効果が上がっているところです。
ですが、そこから更にお客様のビジネスを拡大していくためには、ファネルのもっと上の層にいるユーザーをどうやってCVまで持っていくのか?というところを検討していかねばならないフェーズだと考えています。
鳥居氏:そうですね。例えば「電話相談は必要ない」というお客様の中でも、本当は保険に入りたいというニーズをお持ちの方はいらっしゃって、当社サイトには度々訪問して下さったりするんです。
だから今後はそういう方達に向けて、“待つだけではなく、予想して先回りする”ような施策を、データ・ドリブンなマーケティングをすることによって実現できるんじゃないかと考えていて、様々な施策を試してみたいと思っています。
CA國見:僕たちの仕事は、ただ広告からユーザーを獲得するというところだけではなくて、獲得した後にどう引き上げていくかという解決策も提供できるようにならないといけないと思っています。なので、常に自分の力の入れどころをどこにすべきかと考えながら、新たなチャレンジをしていきたいと思っています。
鳥居氏:サイバーエージェントさんをパートナーとして長年指名させて頂いている理由として、一つは組織力なんですよね。
特に今の広告の世界が、専門的かつ網羅的で複雑化している中で、どこをお願いしても平均以上に応えられるところはそう無いんです。さらに「AI Lab」(※)のような様々な研究機関を持っていたり、新しいプロダクトをどんどん開発されている。
広告一本槍ではなく、そういった幅広いリソースを総合的に活用して、より一層踏み込んだマーケティングの企画を立案して、一緒に事業を最大化していって欲しいと思っています。
CA下田:ありがとうございます。これからもご期待を超える成果でお返しできるよう、サイバーエージェントALLで、最速で最適なご提案をしていきたいと思っています。
※「AI Lab」は、デジタルマーケティング全般に関わる、幅広いAI技術の研究開発を目的に設立した組織です。機械学習、計量経済学、コンピュータビジョン、自然言語処理、HCIなどを専門とする研究者が所属しています。 また、高度なAI研究技術を持ち、実用化に積極的な大学・学術機関との産学連携を強化し、ビジネス課題の解決だけでなく学術的貢献を目指し研究開発に取り組んでいます。
https://www.cyberagent.co.jp/techinfo/labo/ai/
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