2015/2/17 Tue
スマホ×アニメ×街をテーマにしたO2Oキャンペーン
Ano-Hana Smile check-in
企画概要
2014年、秩父エリアを舞台にした人気アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(通称『あの花』)の名シーンを、スマホと共に巡るO2Oキャンペーン「あの花 Smile Check-in」を実施しました。“大人の夏の思い出づくり”をコンセプトに、従来のスタンプラリーではなく、スマートフォンで各所にチェックインすることで、秩父の街の魅力をリアルな体験を通して知ってもらうというものです。『あの花』の舞台となった“聖地”を巡っていただきながら、ユーザーと西武鉄道との思い出に残る接点づくりを図りました。
クライアントの西武鉄道株式会社より中山氏をお迎えし、本企画担当者と共にインタビューを行いました。
写真中央:中山氏/西武鉄道株式会社
写真右:北本/株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 営業局
写真左:押田/株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 クリエイティブ・テクノロジー局
企画誕生の背景
中山氏:当時は、私が現部署に異動になったタイミングでした。そこでのミッションが「新しいお客様をつくる」ということ。特に沿線が抱えている秩父や川越などの観光地にお客様を誘引するということでした。前提として、西武鉄道では利用者が年々減少傾向にあったため、以前から「新しいお客様を誘引したい」というテーマを抱えていました。
特に引きのある沿線のコンテンツとして、秩父という大きな観光地に解決の糸口を探したいと思い、そこで、新しいお客様にアプローチする手段として“デジタルとの掛け合わせ”がひとつのキーワードではないかと考えていました。
また、秩父でも、訪れる観光客がオーバーフィフティー層に偏りがちで、若い方々が訪れる機会が少ないという課題がありました。
それを解決するために、若い世代に人気のあるアニメ電鉄を導入して今回の企画に繋がった、という流れです。
企画実施後の効果
中山氏:目標のひとつに、「秩父に1万5,000人を送客する」ということを掲げていました。
短期間で1万5,000人を動員するという実績は今までなかったことなのですが、結果的に2ヶ月で1万4,880人というほぼ目標通りの実績を上げられたことは、とても大きな成果だと感じます。
CA北本:そして、この企画の情報がニュースメディアやTwitterなどで自発的に拡散されたことで「西武鉄道がチャレンジングなことをやっている」ということがWeb上に伝わっていきました。オールドファッションのイメージが強かった西武鉄道に対して、新たなイメージを喚起させることができたかと感じています。あくまで目標はお客様を秩父に送客することだったので、サブ的な効果ではありますが、良きブランディングには一役買えたかと思います。
中山氏:もう1点、電鉄事業者といったインフラ産業の行うキャンペーンでは、駅や車両などの“リアルの場”に人が溜まる形が通常かと思うのですが、今回お二方にご提案いただいた「リツイートキャンペーン」という手法を用いることで、バーチャル上に人の溜まり場をつくり、そこで情報の発信・拡散が行われ、潜在的な顧客にまで情報が届きました。それによって送客に繋がったということが、とても大きな成果だったと思います。
ファンの人達が秩父の地に集えるようなリアルの溜まり場をつくり、「また秩父に来たい」と感じる思い出をつくってもらうことにも貢献できたのではと感じています。そういったリアルとWebそれぞれにエンドユーザーの溜まり場を生み出せたことも嬉しく思っています。
チャレンジしたポイント
CA北本:秩父という池袋から移動に約1時間半かかる場所へ来てもらおう、といった取り組み自体がなかなかチャレンジングだったなと思います。
通常のWebプロモーションのように、Webでクリックして登録してもらって完了、というだけではなく「リアルに人を動かす」ことをしなければならないので、そのためには何か強いフックが必要であることは最初から思案していました。
そこで実際に現地へ訪れたところ、今回ターゲットにしている若年層に対し、上手く秩父の魅力が伝わっていないことが課題だと感じました。普段から渋谷などの雑多な街にいる人にとって、秩父はとても心が安らぎリフレッシュできる場所だと思うのですが、それをそのまま若年層に伝えても恐らく伝わらないので、どのようなフックで誘致するか模索しました。
そして、秩父を舞台にしたアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』に行き着きました。当時、アニメなどの作品のモデルになった場所を訪れる「聖地巡礼」が、ひとつのトレンドとして若年層ーー特にアニメファンの中で広まっていたこともあり、これは是非活用したいと考え、“スマホで聖地巡礼”というコミュニケーションの発想が生まれました。
中山氏:実は電鉄会社としても、今回の企画は大きなチャレンジだったんです。なぜかというと、電鉄会社のメディアPRといえば、車内の中吊り広告や駅に貼るポスターなど、基本的に紙媒体を中心に行うのが旧来型でした。
ただ、新しいアプローチをするにあたっては、いわゆるオールドファッションではなく、今までにないPRを行わないと、新しいムーブメントって起こらないのでは? と常日頃から感じていました。
そういった中で、サイバーエージェントさんの今までの実績や様々な成功事例を参考にトライしていきました。ですので今回の企画では、従来と違って紙媒体は必要最小限しか刷らず、あとはデジタルを活用したアプローチを行ったという点が、電鉄会社として新しくて大きな挑戦だったと感じています。
サイバーエージェントをパートナーに選んだ理由と今後期待すること
中山氏:今回の秩父誘引というプロジェクトを検討したときに、複数社にコンペをさせていただきました。その中で、圧倒的にスピード感があり、提案の完成度が高かったのがサイバーエージェントさんでした。
IT関連の会社の方々というとサバサバしているドライなイメージを持っていたのですが、目標に対する共感の度合いや、そこから一緒に邁進していく姿勢にウェットな部分をとても感じ「この人たち根性が違うな」と思ったことを覚えています。
様々なビジネスパートナーと仕事をさせていただく上で、パートナーとマインドシェアを維持していくというのは、結構難しいことだと感じているんです。しかし、お二人は我々の目標に対し、共感して一緒に追い求めてくれていて……。お二人のような、共感できる社会の仲間という存在は、私にとってすごく財産だなと感じています。もう、ソウルメイトくらいに思っていますね。
CA北本:弊社には様々なタイプの強みを持つ社員がいます。獲得系のダイレクトレスポンスに強みをもつ社員もいれば、僕のように、ユーザーの思い出や記憶の中にブランドが刻まれるようなコミュニケーションを創りたくて広告に携わっている者もいます。なので、今回は上手く貴社の企画にはまって良かったです。
中山氏:お二人の仕事におけるきめ細やかさは、とても安心感がありました。お互いきちんと膝詰めで話したり、メールの後にお電話で補足いただけたり、副次的かもしれませんが、そういった細かなコミュニケーションも本企画を成功に導いた大きな要因のひとつだったのではないか? というのが率直な感想です。
CA押田:中山様は社内を組成していく動きが早く、こちらも「一緒になって動かさなきゃ!」というマインドにさせてくれる方でした。そして、本企画はWebだけでは完結せず、実際に現場に赴き現地の色々な状況を見た上で手を動かすことの多いプロモーションでしたので、とてもやり甲斐を感じる仕事でした。
中山氏:「あの花 Smile check-in」では、デジタルメディアと運用の部分をお手伝いいただいたのですが、本企画を機に、サイバーエージェントさんと事業のパートナーシップの入り口につけたのかなと思っています。今後も、自社として最も足りていないデジタルメディアの良きパートナーとして、より深く入り込んでいただきたいです。
サイバーエージェントさんのデジタル領域で培われてきた実績も色々お伺いしつつ、より強いパートナーシップを組めたらいいなと思っています。
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