2017/7/28 Fri

若年層のブランドリフト効果 170%を記録!アイマリンプロジェクトが推進する「共創型コンテンツマーケティング」とは

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福井 章浩

株式会社三洋販売
営業企画部
マーケティングコミュニケーショングループ

北本 充

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
第1本部 次世代ブランド戦略室

吉田 敦

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
ブランドクリエイティブ部門クリエイティブ局

2014年で15周年を迎えた「海物語」。次の15年後も「海物語」が今まで以上に愛されるために、次のロイヤルユーザーになりうる若年層をターゲットにマーケティングを開始。若年層ユーザーの興味関心にブランドが寄り添い、ユーザーと共にブランドを創り上げる「共創型コンテンツマーケティング」の実現に挑戦しました。若年層のブランドリフト効果170%を記録したこの取り組みについて、株式会社三洋販売より福井氏を迎え、当社担当者と共にインタビュー取材を行いました。

プロモーション導入の背景

福井氏:当社では、パチンコやパチスロなどの実機を取り扱っております。代表機種のひとつである「海物語」ブランドが1999年に生まれて2014年で15周年を迎えました。誕生以来、本当にたくさんの方に愛していただき、この長きに渡って業界シェアNo.1の大ヒット機種であり続けてきましたが、次の15年後を見据えた際に、「海物語」が今まで以上に愛されるためにはこれまでのコミュニケーションに加え、若年層よる新規顧客の獲得及びブランディングもやはり必要だと考え、このプロジェクトを発足いたしました。遊技機メーカーならではのコンテンツをベースとして、マーケティング一体の新たな展開を考えたのが始まりでしたね。

「アイマリンプロジェクト」とは

CA吉田:「アイマリンプロジェクト」は、様々なクリエイター達が海物語のメインキャラクターであるマリンちゃんの新しい可能性に挑み、新キャラクター「アイマリンちゃん」およびオリジナル楽曲、ミュージックビデオを創りあげていくプロジェクトです。完成された映像を視聴してもらうのみでなく、ユーザーにも「参加してもらえる余白」を設ける事により、クリエイターのみならずユーザーと共にアイマリンちゃんを創りあげる「共創型コンテンツマーケティング」をテーマとしています。また、「iMarine」の「アイ(i)」には、infinity, icon, internet, imagination, innovation, ideal, i(私)といったたくさんの可能性を示す意味が込められています。

プロモーション概要

第一弾

CA北本: 現在第四弾を推進中で、プロジェクトは3年目に突入しています。2015年にリリースしたアイマリンプロジェクト第一弾から認知度の非常に高いブランド資産であるキャラクター「マリンちゃん」を活かしながら、若年層から支持を集める数々のコンテンツを生み出している5名のクリエイターと共に「アイマリン」という新キャラクターを誕生させる事を推進しました。
 
福井氏:前述のとおり海物語とマリンちゃんの歴史はとても長く既存ファンも多くいるため、マリンちゃんそのものをリメイクするのではなく、あくまで既存のキャラクターと共存していける「もう一つのマリンちゃん」をクリエイターさんと一緒に作れないか?というところが起点でした。とはいえ、「マリンちゃん」の冠を背負う大きな重圧がかかるプロジェクトを共にするメンバーのオファーを誰にさせて頂くかというところも重要なポイントでした。

CA北本:結果として世界的に人気なボカロPである八王子Pさんと、当時メジャーデビュー直前であった人気歌い手鹿乃さんとの「初タッグ楽曲」という話題性をもって【Marine Dreamin’】をリリースしました。PR施策として実施した「踊ってみた動画」に火が付き、二次創作も世界中で投稿され、同時に関連ニュース記事の掲載数も300記事を突破。大きな話題を創出する事ができました。
 
福井氏:アイマリンプロジェクトに対して当初は、社内でも、注目が集まるか、KPIである再生数を突破できるかなど、懐疑的な声も多少ありましたが、業界内外から大きな反響を集め、実際創出されたコンテンツの質も非常に高かったので、気が付けば「次はどんなコンテンツなの?」といったような期待の声であったりポジティブな声が多く上がるようになりました。こうしてプロジェクト第二弾の進行も決まっていきました。

第二弾

CA北本:第二弾では第一弾でご協力いただいたクリエイター陣に加え有名ギタリスト、マーティ・フリードマンさんをスペシャルゲストに迎え入れました。第一弾ではキャラクターの「可愛さ」を強調していましたが、第二弾では「Bitter&Sweet」というコンセプトのもと可愛いだけじゃないアイマリンちゃんの魅力を模索。EDMサウンド(デジタル)とエレキギター(リアル)サウンドを融合しながら「Marine Bloomin‘」をリリースしました。
 
福井氏:いわゆるノンユーザーの方を主なターゲットとしていましたが、この頃になると、コアなパチンコファンの方や、パチンコホールの関係者の方からも応援の声や多数のお問い合わせをいただくようになりました。さらにはグッズ化やタイアップなど、パチンコ以外でも何か取り組みできないかなどの相談を頂くようになって、コンテンツとしても徐々に価値が高まってきたことを実感するようになりました。

第三弾

福井氏:第一弾、第二弾と大きな反響を頂くことができましたが、継続するにあたり「次は何がくるんだろう?」という楽しみを応援してくださる皆さんに提供し続けることを大切にしてきたプロジェクトなので、第三弾では、これまでの「デジタルアイドル」や「MMD(MikuMikuDance)」という3Dキャラクターの世界観からもう一歩チャレンジをしようということで、あえてレッドオーシャンなアニメの世界観を取り入れることにしました。
 
CA北本:第三弾のテーマは「ストーリー性を付加する事による世界観の拡張」に設定。楽曲制作に玉屋2060%さん、歌唱・CV(CharacterVoice)に人気声優の内田彩さんを迎え「アニメーションミュージックビデオ」を制作しました。
 
福井氏:内田彩さんに賛同していただき、歌っていただけたことで、ただのアニメソングじゃない、ただのキャラクターソングでもない、非常にオリジナリティのあるものが制作できましたよね。正直言うと、第一弾、第二弾のクオリティも非常に高く、反響もとても大きかったので、こうして新たな形で第三弾を世に出すことは正直怖さもあったのですが、内田彩さんをはじめ、映像制作の監督であるkubotabeeさんや楽曲を制作頂いた玉屋2060%さん、そしてその道をリードする優秀なスタッフの皆さんが、それぞれの想いを乗せてプロジェクトに力を尽くしてくださったので、非常にクオリティの高いMVが生まれたのだと思います。
 
CA北本:ミュージックビデオの再生数の伸長に加え、Twitter上では第三弾のアニメーションミュージックビデオを高く評価いただくツイートも多数発生しておりました。その中には「アニメ化」を待ち望むユーザーからのツイートも多数あり、感激したことを覚えています。

第四弾

福井氏:第四弾はそうしたボイスを参考に、アニメーションという切り口でさらに新しいアプローチに広げてみようとプロジェクトチーム内でも相当議論を繰り返し、第三弾よりもさらにアニメを日常的に楽しんでいるユーザーに楽しんでいただける方向性に決定しました。第四弾のテーマは、「アニメーション&ミュージックプロジェクト」。本作「DEEP BLUE SONG」は、ショートアニメーションとミュージックビデオを組み合わせ、2本の映像作品を通して1つの物語を描く映像作品を制作し、2017年7月17日(海の日)に前編「DEEP BLUE TOWNへおいでよ」をリリースしたばかりです。メインキャラクターのCVには内田彩さん、佐倉綾音さん、内田真礼さんの3名に参加していただき、アニメーション制作は新進気鋭のアニメ制作会社のREVOLOOTさん、楽曲制作はアニメやアイドルにも楽曲を提供されている利根川貴之さんが担当しています。8月には後編をリリース予定です。ファンの皆さんには是非期待して待っていて頂きたいです。

プロジェクトの裏話・・・

CA北本:正直なところ、第一弾をスタートした時点では、継続していくことが前提にありましたが、こうして第四弾をリリースできるなんて具体的には想像できませんでしたね。

福井氏:プロジェクトに関わる皆が同じ考えだったと思うのですが、「1回だけ」では意味がないと思っていました。アニメなどサブカルを絡めた広告キャンペーンは様々な企業さんが取り組まれてきましたが、一時的に熱量も上がって注目を浴びても、すぐに忘れ去られてしまう。我々もメーカーなので、ある種のコンテンツプロバイダーという側面を持っていますし、こうしたプロジェクトに取り組むからには、長く親しんでもらえるような展開をと当初から思っていました。実際続けられるかどうか第一弾次第だったので不安はありましたが…結果として第三弾では、第一弾や第二弾とは異なるアプローチであるにもかかわらず、第一弾や第二弾から応援してくれている方も強力に応援していただいて。継続は力だな…と本当に思いました。

こだわったポイント

CA吉田:こういったプロモーションをする際に、クリエイティブディレクションとしてガチガチに管理してしまうことがよくあるのですが、アイマリンプロジェクトでは、クリエイターさんやアニメーターさんに、どちらかというと一任してきた部分があります。守りたいコンセプトや「こういうことをやりたい」という根本的なテーマをお伝えし、今流行るもの、今可愛いって言われるもの、今おしゃれに聞こえるものってどんなものですか?という問いを投げかけて、先端で活躍するクリエイターさんたちからの返しをもらう、という手法で進めました。「一緒にこのプロジェクトを盛り上げていきましょう」というカタチで依頼をしているので、自由にやらせていただいている部分と、心地よい決まりの部分があるという、ちょうどいいポジショニングにはなっているのかなと思います。まさに、クリエイターさんの力をみんなでうまく理解しながら付き合っていけていると思っています。
 
CA北本:プロジェクトでは一貫して、アイマリンちゃん自体は変幻自在である設定にしています。「金髪」、「赤リボン」という記号は共通にし、様々なクリエイターのインスピレーションを活かしやすく、ユーザーの反応を見ながらクリエイティブを毎回運用できるところにポイントを置いています。先ほど吉田からもありましたが、クリエイターのインスピレーションをフルに発揮してもらい、様々な化学反応が起こりやすい制作環境をつくることで、唯一無二でクオリティの高い映像・楽曲が生まれたんだと思います。そして、完成された映像を視聴してもらうのみでなくユーザーにも「参加してもらえる余白」を設ける事により、ユーザーと共にブランドを創り上げる「共創型コンテンツマーケティング」のカタチを狙っています。その結果、関連動画の爆発的な増加とPRの自走を実現することができました。

プロモーションの効果

CA北本:ブランドリフト効果は、170%を記録しています。ミュージックビデオに触れたユーザーと、そうでないユーザーを比較すると前者においては、「SANYO」、「海物語」に対して圧倒的にポジティブなイメージの構築に成功しました。また、アイマリンプロジェクト関連動画の総再生数は約3,000万再生を突破しています。公式関連動画の再生数は約1,000万のため三分の二はユーザーが投稿してくれたり、シェアしてくれて生まれた二次創作動画ということになります。
今回のプロジェクトで、コンテンツが良くベストなきっかけをターゲットに与えてあげれば、コンテンツ自体が自走して流行ることを体感しているので、「どこを押し上げれば自走していくか」というところを見極めて、きっかけになりそうな部分で広告を使ってあげるというバランスがいいのかなと思っています。

福井氏:広告の投下量に関しては、KPIを策定しつつ既定の予算の範囲内でサイバーエージェントさんにコントロールしていただきました。効果的にこのコンテンツを愛してくれそうな人に広告を出すことは、一日の長があると信じていたので。吉田さんも北本さんご自身もサブカルコンテンツを愛しているいわばターゲットなんですよね(笑)運用型の広告の投下に関しても、サイバーエージェントさんの運用コンサル担当の方にお任せするのではなく、プロジェクト側でも逐一ターゲット目線でウォッチしてアジャストして下さいました。それも反響や二次創作動画を加速したんじゃないかなと。すぐれたコンテンツを創っても誰かに見てもらえなければ意味のない世界で、これは非常に大切なことだと思っています。一方、プロジェクトチームとしては、数字を大事にしながらも、コンテンツを扱うプロジェクトだということで、数字に頼りきったプランニングはしていません。弾ごとに態度変容の調査を行っているのですが、あくまでそこは参考値として見ています。社内へのフィードバックでも、非常にいい調査結果ではあったのですが、大仰にプレゼンするというような事もしていません。たとえば「実機の試遊意向が●●%だったから実際にパチンコを打ってくれるユーザーが●●%増える」という簡単な話では商材的にないので慎重に見ています。しかし、弾を重ねるごとに反応率が良くなっているという事実は確認できました。今後もいろいろな声が聞こえてくると思うので、楽しみなところではあります。そこも真摯に受け止めながら今後のプロジェクトにフィードバックしていけたらいいなと考えています。

本来、パチンコメーカーのプロモーションの目的というのは、「広告に触れたターゲットが、当該機種を遊技しにホールさんに行ってもらう」ということが主だと思うのですが、アイマリンプロジェクトはそこまで奢ってはなくて、プロジェクトに触れた方たちが、「機会があれば打ってもいいかな」と思えるくらいにコンテンツを好きになってくれるところがゴールだと考えています。コンテンツを楽しんでくれる方が増えて、これからも継続的に話題性を産み出せていれば、既存のパチンコユーザーさんもそういう盛り上りをどこかで見てくれて、いつものホールに行ったときに「アイマリンちゃんってそういえばネットで盛り上がってるな」と、数ある機種の中から海物語を打つきっかけになってくれたら、すごくうれしいことですよね。

今後の展望

CA北本:2017年以降もトレンドや好まれるコンテンツは急速に変動していく事が予想されるため、そのトレンドをとらえたアイマリンちゃんのプロデュース及びテクノロジーを有効活用しながら、弊社としても最も効果的なコンテンツ接触機会の創出を目指したいと思っています。

CA吉田:変幻自在だからこそ得られるファンの皆さんへの楽しみ方をもっと考えていきたいですね。元はプロモーション起点ですが、押し付けがましくやるというよりは、ファンの方も共に楽しんでいただく、クリエイターさんとファンの皆さんが一緒に作っていくような仕掛けをテクノロジーを駆使して、創れたらなと思います。
 
福井氏:アイマリンプロジェクトをスタートしてから2年たちましたが、所謂サブカルチャー領域のトレンドは日に日に変化していることを肌で感じています。その中で、アイマリンでしか表現できないこと、アイマリンならではの楽しみとは何かということを追求し、新たに触れてくれた方はもちろん、これまで応援して下さった方にもっともっと楽しんでもらえるようなコンテンツを産み出すことが、このプロジェクトにおける大きなミッションだと考えています。プロジェクトチームでは今後の展開を日々練り上げていますので、これからもぜひ応援していただけたら嬉しいです。
■アイマリンプロジェクト公式サイト
http://imarine-project.jp/
■アイマリンプロジェクト公式Twitter
https://twitter.com/imarine_project
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