2015/10/19 Mon

「つくる」 から 「伸ばす」 へ。改善型コンテンツマーケティングのススメ

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岡村 圭太朗

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 クリエイティブソリューション局 チーフWEBプロデューサー

1982年NY生まれ 2006年、株式会社サイバーエージェントに入社し、クリエイティブ局のデザイナー としてWEB広告・キャンペーンサイトの制作を経験した後、2008年ごろからプロデューサーとして企業のオウンドメディアを中心とした戦略立案・制作・改善・運用のプロデュースを担当。 企業のコーポレート・EC・スペシャルサイトやアプリに加えて、EFOサービスの ” スマートUPフォーム ” や、ネイティブアドのソリューションパッケージCALOTの開発プロデュースにも関わる。

“つくる” から “伸ばす” へ 改善型コンテンツマーケティングのススメ

クリエイティブソリューション局でWEBプロデューサーを担当している岡村と申します。2008年頃から、企業のオウンドメディア領域を中心に、数々のサ イトやアプリの立ち上げ、改善・運用を手がけてきました。現在は、コンテンツマーケティング系のプロジェクトに多く関わっています。

日本 でも急速にコンテンツマーケティングに注目が集まり、最近では多くの企業が実際にコンテンツマーケティングを目的としたオウンドメディアを立ち上げている ケースが増えてきました。そんな中、オウンドメディアの成果をどのようにして高めるべきなのか、と悩んでいる企業も多いのではないでしょうか?
本コラムでは数回に分けて、オウンドメディアの効果改善についての考え方を紹介していきます。

そのコンテンツ、改善チャンスを逃してるかも?

当社では、企業のオウンドメディアの立ち上げだけでは無く、立ち上がった後の改善段階からお手伝いするケースが多くあります。

施策をスタートして間もない場合ですと、コンテンツ量が少なかったり設定した制作本数のノルマの影響などで、どうしてもコンテンツを作ること自体に意識もリソースも偏ってしまいがちです。
しかしながら現場の実状をみていると、初歩的な改善施策ができていないことがとても多く、モッタイナイ状況に陥っているケースが多いように思います。

コンテンツマーケティングにおいて、ターゲットの設定やコンテンツで扱うテーマの決定が重要なのは言うまでもありませんが、ひとつひとつのコンテンツの制作には時間と手間がかかるため、コンテンツ自体を全面的に見直すことは大きな負担になります。

一方で、コンテンツの記事自体には手を加え無くても成果を改善する方法も存在します。
こういった手法は、既に公開しているコンテンツをゼロから作り直さなくても有効なため、既に多くのコンテンツを保有している場合にもおすすめです。
また、手間の大きさと改善インパクトは必ずしも比例するわけではないので、賢い改善を行い成果アップを実現していきましょう。
今回は入門編として、改善施策の実行前やコンテンツの立ち上げ前に確認しておきたい事項を中心に紹介していきます。

施策を行なう前に確認しておきたい3つのポイント

ここからは、改善施策の実行前に確認しておきたいポイントを3つに分け、紹介していきます。

1.ビジネス上の役割をはっきりさせる
オウンドメディアの評価をする際に、PV数に評価が偏ってしまったり過度な期待によって、本来オウンドメディアの外で改善をすべき事項が混在して扱われてしまう事があります。
企業内で担当が分かれている場合などは、各々のミッションとビジネス全体の施策がどのように連動するのかを見失いがちなので要注意です。

このような状況を避けるためにも、オウンドメディアを含めた施策の全体像とビジネス上の役割について、関係者間で認識を合わせる必要があります。
以下は一例ですが、各施策の役割と関係性を整理したスキーム図を用意すると、施策同士がどのように連携するのか、ということを把握しやすくなりますので、施策間の連携に悩んだ際には作成することをお勧めします。

顕在レベルの浅い層に対するアプローチとしてオウンドメディアを位置づけることも多いため、最終購買やロイヤル化をメインで担う施策との関係性やどのように繋げていくのか、ということを確認しておくと良いでしょう。
2.コンテンツタイプに応じた適正評価を行なう
オウンドメディアのコンテンツと一言で言っても内容は様々です。最終的にビジネスに貢献させる事を念頭に置くと「流入」「ファン化」「ニーズ喚起」の大きく3つのタイプに分類する事ができます。
このようにそれぞれの役割に応じてコンテンツの企画〜評価を行なう事によって、コンテンツタイプに応じた成果貢献度を適切に評価する事ができます。

3.実際に改善が実行される環境をつくる
オウンドメディアの運用現場で一番多いのが、担当者が多数の業務に追われて改善まで手が回らないケースです。
さらに、改善が実行できない原因として多いのが、改善施策案自体の検討のために社内の承認フローが煩雑で、案が可決されるまでの道のりが長くなってしまうことなどが挙げられます。

前者のように担当者の業務負荷が原因となり改善が実行されない事への対応策としては専任のグロースハッカー(改善をメインのミッションとする担当)を設置する事も1つの解決策となります。
また、後者のように改善施策案自体の承認までの負荷が多いケースに対しては、軽微な改善に関しては承認プロセスを割愛し、ABテストによって採用施策を決定するなどの解決方法も考えられます。

コンテンツの改善を考える

ここまで、施策の実行前に確認しておきたいことを中心に紹介してきましたが、実際の施策を考える際には、次のように3つのレイヤー(層)に分類して課題抽出を行う事をおすすめします。
当社では、コンテンツマーケティングの改善に焦点を当てたコンサルティングパッケージ「LAYER」にて上述の3つのレイヤーに加えて全5つのレイヤーに沿った企業のオウンドメディアの診断から改善サポートをおこなっております。

一般的な課題抽出では、ネタ(記事自体)に視点が偏りがちですが、このようにデザイン・UIやインフラの3層に整理することによって、課題の抽出漏れが防ぎやすくなります。
また、整理することで冒頭で触れたように負荷が少なく改善インパクトが高い施策の発見にもつながります。

まとめ

①ビジネス視点で俯瞰した上でコンテンツの役割を決める。

② 目的別にコンテンツの評価を行なう。

③ 改善が実行できる状況をつくる。

④コンテンツの記事だけでは無く、インフラやUIなども含めて改善対象と見なす。



次回は、コンテンツの3つのレイヤーをさらに深掘りしつつ事例を交えながら負荷の少ない改善施策についても紹介をしていきます。
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