1975年に誕生したマイメロディと、“自称ライバル”クロミ。今年2025年に大きな節目を迎える中で、周年企画「“おそろい”アニバーサリーイヤー」がスタート。サイバーエージェントと当社子会社の新たな細胞(以下:Cybor)はサンリオ社と、渋谷スクランブル交差点に面したSHIBUYA TSUTAYAでのリアルイベントを企画・開催しました。
IPがより長く愛され続けるために必要な新規ファン層の獲得に向け、IPの持つ世界観をそのまま現実空間に“顕現”させる取り組みについて、株式会社サンリオから植竹様をお招きし、サイバーエージェントより全体統括の赤羽、Cyborのクリエイティブディレクター 中橋、また協働したクリエイティブディレクターの古屋さんとともに対談を行いました。
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植竹 梨子
株式会社サンリオ
ブランド管理本部 キャラクタープロデュース部 -
赤羽 雅也
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 クリエイティブ新規事業本部
エグゼクティブアカウントプランナー -
中橋 敦
株式会社新たな細胞 | Cybor
CEO・クリエイティブディレクター -
古屋 遙
IMAGINE IF STUDIO
クリエイティブディレクター
50年愛され続けたIPのアニバーサリーイヤーに、新規ファン層獲得に向けた企画コンペを実施
植竹氏:長年にわたり愛され続けてきたIPですので、新たなファンを獲得するためには単に認知を広げるだけではなく、「“知っている”の向こう側」に辿り着かないといけないという課題感がありました。そこで、サイバーエージェントさんを含む数社にコンペを行いました。
CA赤羽:お話を聞いて、歴史あるIPの魅力を訴求するコンペの機会をいただけた時の嬉しさを思い出しました。サイバーエージェントでは、従来のダイレクトレスポンス広告のご支援はもちろんのこと、ブランドやクリエイティブ領域においても強みを持っています。私はサイバーエージェントに20年在籍しており、現在、広告事業部内に昨年新設したクリエイティブ新規事業本部にて、各企業様のブランドやIPにおけるビジネスのご支援をしています。
今回の取り組みにおいて、プロジェクト全体を統括する役割を担っています。お話を伺って、IPに対する深い理解と、幅広い打ち手の双方が必要だと考えていました。
CA中橋:私は株式会社新たな細胞(以下:Cybor)という、サイバーエージェントの子会社のクリエイティブエージェンシーでCEO兼クリエイティブディレクターを務めています。サイバーエージェントには20年弱勤めているのですが、その間、デジタルとフィジカルの融合した体験を軸に、スポーツブランド様はじめ、さまざまなブランド様と「体験」を通じてエンゲージメントを高める企画を手掛けてきました。
今回は、マイメロディとクロミの関係性を ”体験” を通じて伝えていくことが重要と捉え、そういった演出やテクノロジーにも強いクリエイティブディレクターの古屋さんにチームにジョインしてもらい企画を作り込んでいきました。
古屋:ありがとうございます。私は以前サイバーエージェントのクリエイティブ部門に在籍していたこともあり、みなさんが多様なクリエイティブ課題に対して果敢に挑戦していく過程を一緒に体験してきました。
新規ファン獲得には、IPが潜在的にもっている魅力を従来とは異なる切り口で提示することが重要です。数十年にわたって愛され続けてきたIPですから、切り口を探す難易度も高いのですが、このチームなら期待に応えられるのではと思っていました。

CA中橋:長く続くIPの場合、目新しさを重視して、らしくないことをしてしまうと、長年のファンの方が離反するリスクもあります。
まず消費者の生の声を拾うため、短期間で複数の大学生にグループインタビューをお願いして、マイメロディとクロミに今どんな印象を抱いていて、どうやったらそのイメージが変わるのかを徹底的に議論した上で、初案をご提出しました。
来場した友達2人の関係を深めるゲームセンターを、SHIBUYA TSUTAYAに誕生させるアイデアへ
植竹氏:コンペ開始当初、私はプロジェクトに参画しておらず、各社様からの提案を受け終えた後でチームに入ったんです。そして、こちらから各社様にお渡しした提案要望書(ブリーフィング)をフレッシュな目線で見返したところ、目指したいゴールが把握しづらい内容になっているな、という印象でした。
もっとゴールの核心に沿ったご提案をいただきたいと思い、「一緒に来た相手のことをもっと好きになる」というキーワードを軸に、皆様に再コンペのお願いをさせていただいたんです。

CA中橋:そのキーワードを聞いて、視界がパッと明るく開けた感覚になりました。大学生へのグループインタビューでも、“2人で遊ぶことが多くある”という女子ならではの傾向があることを掴んでいたんです。
3人では2人と1人に分かれた際に気を遣うけれど、2人だと楽しく言い合いながら長く繋がりを深める関係になりやすいという声を聞いていたので、来場する2人組の友達がマイメロとクロミのような関係を結ぶ様子と重なりました。
「この概念が世界中に広まったら、行き着く先は世界平和だよね。」クリエティブチームでもそんな会話が飛び出すくらい、一気にイメージが膨らんだ瞬間でしたね。
CA赤羽:2人で一緒に遊べるゲームセンターという当社のプランは、ブリーフィングをいただいてからすぐ決まりました。今回は10〜20代の女性新規層がターゲットなので、渋谷のスクランブル交差点に面したSHIBUYA TSUTAYAなら、50周年&20周年というアニバーサリーを迎えるに相応しい場づくりができるのでは、というイメージとも重なり、一気にアイデアが加速していきました。


古屋:サンリオ様が過去に出版されている書籍やマイメロディ&クロミの周年企画として、「メロクロのことば」という展示なども拝見していて、言葉や会話をとても大切にされているIPという認識がありました。
ゲームは「遊びながら人と人の間に自然と対話がうまれる」体験フレームとして、メロクロと非常に相性が良いとチームの中でも確信がありました。友達同士でゲームをプレイするとき、互いに協力しあったり、時にはちょっかいを出し合いながら、結果いい思い出になっていく。文句を言い合いながらも互いをサポートしあう会話が生まれやすい。
その距離感や会話が、マイメロディとクロミの関係を疑似体験しているかのような雰囲気になるのでは、と考えました。
来場した2人がゲームを遊んでいる瞬間の会話を想定して、ゲーム中のマイメロディとクロミの声はすべて新しく録りおろしていただきました。そのくらい細部にこだわった企画に仕上がっています。
CA中橋:イベントの告知を見た瞬間に、直感的に体験したくなるか。体験して楽しいか。そして、体験した後に思い出として語り合えるか。この3点を、バランスをとりながら最も高い水準で実施できるよう練り込んで、再度プレゼンテーションに臨みました。
植竹氏:提案書を拝見したら、もう圧倒的にサイバーエージェントさん&Cyborさんの企画が素晴らしかったんです。ゲームセンターというコンセプトは、動的なコンテンツを、複数用意することができますよね。企業が一方的に機会提供する場ではなく、ファンの方のコミュニケーションが生まれる場所を創れる企画を提案していただいて。再コンペをお願いしてよかった…!と、心から思いました。
IPへの愛情を同じ熱量で抱き、一切の妥協なくこだわり尽くしたイベント会場制作
古屋:イベント制作の過程では、サンリオ様とサイバーエージェント、双方のデザイナーが協力して世界観を作り込んでいます。マイメロディとクロミは、複数のデザインテイストを組み合わせることで表現されているので、ゲームセンターというコンセプトの中でどうやって表現していくのか、かなり試行錯誤しました。
CA中橋:Cybor のアートディレクターが、ドット絵ひとつひとつに「罫線はアリですか」「グラデーション入れてもいいですか」など、数多くのサンプルを作りながらチームでのコンセンサスを固めていきました。サンリオ様のデザイナーさんも、すごく前向きに取り組んでいただき、ワンチームでクリエイティブを磨いていけたと思っています。

植竹氏:とくに、マイメロディには50年の歴史があるので、そのラインを守るべきか、企画ごとに変えるべきかというテーマは、サンリオの中でも白熱しやすい議論です。しかし今回の最終的なゴールは新規ファン層の獲得でしたので、この企画用にキャラクター自体も描き下ろしてもらいました。ネオンの光を目に入れていたり、頭身もいつもより少し小さくしたりして、今回のアートの中に入れたときに最高に可愛くなるよう、妥協なく取り組んでもらったんです。
CA中橋:妥協するという選択肢は私たちのチームにも当然なかったです。大人数の制作チームになりましたが、チームパフォーマンスはずっと高い状態で走り切れたと思います。会場の中も外も、企画の世界観が十二分に伝わるように、細部まで貪欲にこだわり抜きました。
ゲームを映すモニターも、夢空間での体験を損なわないように、モニターフレームが見えないよう埋め込まれています。僕が何も言わなくても、ゲーム機の横に置く荷物カゴまでマイメロディ&クロミらしい色のものが揃えられていたことにはビックリしました。(笑)
植竹氏:私も先日会場を訪れて、提案書に記載されていた会場イメージ図がそのまま再現されていることに驚きました。提案段階のイメージ図はよく見えるよう脚色して描かれるのが一般的で、現実空間では外光の影響などで思い通りにはいきません。その既成概念を見事に崩されて、「ここまで出来るものなんだ…!」と、サンリオチーム全員で盛り上がっていました。
CA赤羽:長年愛されるIPでは、クライアント企業とパートナーのIPへのこだわりを揃えることが最も重要です。妥協なき愛情で満たされた、素晴らしい空間が出来上がったと自負しています。

アメリカ・アジアでのグローバル展開へ!更なる挑戦が始まる
CA赤羽:今回の渋谷のイベントについては、サンリオ様からも大きなご期待をいただいて、次はもう今秋にアメリカ・ニューヨークと、さらにはアジア圏でも展開予定で、こちらも準備中です。渋谷にご来場いただいたみなさまの声も真摯に受け止めながら、今回の国内とは違ったグローバルなターゲット層を獲得するべく、また全力で取り組んでいきます。
CA中橋:本プロジェクトで一番嬉しいことは、「一緒に来た相手のことをもっと好きになる」ということを、世の中に広めるお手伝いが出来ることだと思っています。その意味で、今回の企画を国内だけでなく、海外でもご一緒できるというのはめちゃくちゃ光栄です。
外資系クライアントとの仕事で、日本にローカライズする企画を多く手掛けてきましたが、日本から世界に向けて仕掛けていく仕事にワクワクしています。

古屋:日本のIPって本当にすごいですよね。ただ、日本で成功したパッケージをニューヨークにそのまま会場を移設して「どうぞ見てください」と実施した場合、成功するかは別問題です。
イベントって生ものなので、来場されるお客様と、そのリアクションで空間自体がどんどん変わっていく。マイメロディとクロミがより愛されていくために、持てる力を振り絞りたいと思っています。
植竹氏:仰るとおりで、見た目は同じでも内実に “愛” がない状態でつくると、消費者の方に必ずバレるんですよね。IPや企画に愛をもって向き合い、キャラクターの良さを引き出せるかどうか。
その意味で、サイバーエージェント、Cybor のみなさんとのチームは、妥協なき愛を共有できるパートナーだと実感しています。アメリカもアジア圏もターゲットインサイトは全然違いますが、ぜひ一緒に素晴らしい世界を実現していくことができればと思っています。
会場の様子
■MELOKURO CATCHER(メロクロキャッチャー)






■MELOKURO SNAP(メロクロスナップ)






■スタッフクレジット
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企画制作:サイバーエージェント・新たな細胞 Cybor
全体責任:赤羽 雅也 (サイバーエージェント)
CD :中橋 敦 (新たな細胞 Cybor)
CD :古屋 遙
AD :佐野 隆一 (新たな細胞 Cybor)
PL :村上 文隆 (新たな細胞 Cybor)
Pr :吉松 俊英 (PARTY / 新たな細胞 Cybor)
開発 :株式会社stu
空間施工 :株式会社博展
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記事制作: 加藤貴子( 株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 広報 )
撮影 : 溝口晶保 〃
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