NTTグループで携帯電話・スマートフォンなどのモバイル通信事業や金融決済サービス・コンテンツサービス・ライフスタイルサービスなどのスマートライフ事業を展開するNTTドコモでは、dアカウントをはじめとしたNTTドコモが有する1億を超えるデータ(※1)を活用した広告配信を実施しています。
その取り組み内容について、株式会社NTTドコモから加賀尾氏、伊藤氏、木村氏をお迎えし、当社よりアカウントプランナーの松井と夏目、データコンサルタントの山口とともに対談を行いました。
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加賀尾 淳
株式会社NTTドコモ
光ブロードバンド事業推進部 販売企画担当部長 -
伊藤 賢一
株式会社NTTドコモ
光ブロードバンド事業推進部 販売企画 チャネル支援担当主査 -
木村 廣国
株式会社NTTドコモ
光ブロードバンド事業推進部 販売企画 チャネル支援担当(取材当時) -
松井 一真
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 第一本部
シニアマネージャー -
夏目 祥希
株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部 第一本部
マネージャー -
山口 修平
株式会社サイバーエージェント データ本部
シニアコンサルタント
ー NTTドコモ様の事業とWebマーケティングの状況について教えてください
加賀尾氏:NTTドコモは大きくはコンシューマ通信事業とスマートライフ事業の2つの事業を展開しており、私はコンシューマ通信事業の中の光ブロードバンド事業推進部にて光回線事業の販売計画・実績管理、マーケティング戦略立案、代理店様やケーブル事業者様など外部ビジネスパートナー様の担当をさせていただいております。
光ブロードバンド事業推進部では主に「ドコモ光」「ahamo光」の光回線事業と、「home 5G」という無線通信ルーターを商材として取り扱っています。
現在、光回線・無線通信ルーターどちらもオンライン上での契約が可能なのですが、ドコモ光は扱っている商材の特性上、オンラインでお申し込みいただいたあとにお電話での確認やご自宅での工事が別途発生する場合があるなど、契約手続きが少し複雑になる場合もあるため、オンラインのみでの契約ではなく実際に店舗にご来店の上でご契約いただけることも多い商材です。
オンラインで完結することが難しい商材であるため、Webマーケティングを通じてオンラインと店頭であるオフラインをどう繋げていくかを課題としています。
木村氏:私は加賀尾とともに光ブロードバンド事業推進部にて光回線事業のWebマーケティングを担当しております。
サイバーエージェントさんとは約3年前のコンペを機に、広告配信をお願いしております。当時はコロナ禍であったため家で過ごす方が増え、新規の回線契約や契約内容の見直し需要が増加した時期でした。そのため、Webマーケティングについても新たな手法を取り入れたく、サイバーエージェントさんに依頼をすることとしました。
CA松井:私は2022年4月の配信開始当時から現在もアカウントプランナーとしてNTTドコモ様のご担当をしています。
NTTドコモ様にはコンペ時からGoogle広告、Yahoo!広告などの検索型広告とディスプレイ広告の配信手法を整備することや、のちにお話する「販売データ紐づけプロジェクト」をご提案していました。
具体的には、「ドコモ光」と「home 5G」においては、NTTドコモ様の広告出稿だけでなく、外部ビジネスパートナー企業様も検索型広告に出稿されていることから、広告のバッティングが発生してしまっていました。そのため、検索キーワードの調整やクエリ精査を行うことでCPAの改善を行い、配信開始から現在までで広告効果を半分以下にまで改善しています。
伊藤氏:私も加賀尾とともに光ブロードバンド事業推進部にて販売企画とプロモーション全般を担当しています。サイバーエージェントさんに広告運用を依頼してからCPAが半分以下にまで改善していることに加え、毎月継続的にCPAが改善されています。
新しい手法を取り入れて、さらに広告効果も伴っている。サイバーエージェントさんに依頼してよかったと思っています。
加賀尾氏:弊社はdアカウントに紐づく様々なデータを持っています。そのデータを活用してお客様のニーズに合わせた新しいマーケティングができればと思っており、こちらを提案してくれたのがサイバーエージェントさんですね。
ー 今までと違うどういった配信手法を行ったのでしょうか
CA松井:初めに「販売データ紐づけプロジェクト」を行いました。お取組みを始めた当初は、計測環境が整っておらず、広告効果を適切に運用することができておりませんでした。
光回線のご契約までのフローは、広告からオンライン上でのお申し込みをした後、お電話でのお申込み内容確認後のご契約という流れとなります。オンライン上でのお申し込みをCV地点として最大化を図る運用ではご契約につながるお客様への広告が最適に配信できないのではないかというところに着目しました。
木村氏:当時は媒体CV数のみを計測していたため、媒体間でのCV数が重複してしまい、広告投資評価が適切に行われていない状態でした。
CA山口:私はデータ本部にてNTTドコモ様のデータ運用を担当しております。加賀尾さんがおっしゃっていたとおり、ご契約手続きを進めていく際にオンライン上で完結することが難しい商材であるため、広告を経由したオンライン上でのお申し込みから最終的な工事の開通までをデータとして紐づけることで広告効果を正しく可視化することが必須と考えました。
当時の御社のフロー上、お電話でのご契約内容確認がデータとして連携されるのに2週間ほどかかること、さらにご契約内容が紐づいていないことが課題でした。広告運用では各媒体の効果を見てスピーディに運用調整することが広告効果最大化のカギとなるため、データ紐づけプロジェクトをご提案いたしました。
ご提案内容としては、Webログやdアカウントのデータ、お申込データ、Cookieデータ、流入元のパラメータやキーワード等を1つのクラウドに蓄積する仕組みを構築し、可視化するといったものでした。
木村氏:そうですね。Webでお申し込みいただいたのちにご契約に結びついていないケースが多くあり、広告の投資判断を見誤る結果になっていました。
CA山口:データ紐づけプロジェクトを行うことで、それまで確認できる最新のデータは2週間前だったところが2日前のデータを確認可能となりました。これによって、Webでのお申し込みに最適化がかかっていたのが電話でのお申込み内容確認に最適化地点を変更することができ、広告からの契約数が増加したこととデータ上の販売数との乖離を精緻化することに成功しました。
伊藤氏:事業構造上、お客様のご自宅の設備環境の確認のため、電話確認等オフラインを経由せざるを得ないことから、実際の販売数と媒体でのCV数に差が出てしまっていました。予算管理の観点においても、真に事業実績に紐づく広告に対する投資効果を見極めることができるので、より精緻な予算計画、実行管理ができるようになりました。我々の事業ならではの改善ポイントとしてご指摘やプロジェクトのご提案をいただき、改善に結びつけられたのでよかったと思っています。

ー データ活用をさらに展開してオフラインでの来店促進プロジェクトを進行
CA夏目:私はアカウントプランナーとしてNTTドコモ様の担当をしております。この販売データ紐づけプロジェクトがCPAの改善につながったことから、ドコモデータを活用した広告配信はNTTドコモ様の事業拡大にさらに貢献できると考えました。
そこで、販売データ紐づけプロジェクトのデータを分析し、オンラインでクリックをしたユーザーがオンラインで契約申し込みをしているのかオフラインで契約申し込みをしているのかを見てみたところ、実はクリックしたユーザーの半数近くがオフラインである店頭に流れていることが分かりました。
そこでdアカウントなどのドコモデータを活用し、オンラインでは店頭への来店を訴求し、オフラインで契約に繋げる施策をご提案いたしました。
加賀尾氏:もともと弊社のサービスには契約内容やプラン内容に少し複雑なところがあります。ドコモショップに来ていただければ丁寧にご説明できますし、お客様に沿った様々なご提案ができることが私どもの強みです。
一方で、いかにしてお客様にドコモショップに来ていただけるかという課題感を持っていましたので、ぜひ施策を実行したいと思い、まずはahamo光にて取り組むことにしました。
ahamo光はオンラインのみで契約を受け付けていたサービスだったのですが、店頭での契約申し込みも受け付けることとなり、来店訴求をすることでオフラインでの契約数増加を期待しました。
CA夏目:この施策では、サイバーエージェントとNTTドコモ様の合弁会社であるPrism Partner社のソリューションを活用することを提案させていただきました。
Prism Partner社ではNTTドコモ様が保有するdアカウントをはじめとした会員基盤データ・オフライン・オンラインデータを活用した広告配信を行うことができます。
そして、ahamo光の検討可能性ユーザーだけでなく、潜在層である機種変更検討ユーザーに対しても広告を配信し、LPへ遷移させ、さらに来店予約ページへ遷移したのちに来店予約・契約まで至ったユーザーのデータ分析を行い広告配信につなげるという座組を行いました。
木村氏:この施策では私どもがユーザーを特定し広告配信できることが強みだと思っています。ターゲットユーザーに配信をして、何件契約につながったのかも重要ですが、ご成約に至らずにどの地点で離脱してしまうのか、分析・対策ができるという点も、とても良い取り組みだと思っています。
効果分析のPDCAをここまでやりきれるスキームは社内でも整っておらず、他社様と比較してもかなり新しい取り組みではないかなと思っています。
CA夏目:ありがとうございます。実際にahamo光ではPrism Partner社の配信手法を活用し、配信ターゲットを特定して配信をしています。
配信開始約2か月で、LP経由での来店からご契約の日平均販売数が12倍、ご契約のCPAは約半分まで改善することができています。
CA松井:また、離脱対策として、クリエイティブを来店促進する内容に変更いたしました。もともと、NTTドコモ様のクリエイティブはdポイントプレゼント訴求やキャラクターであるポインコやヒカリダケを使用したクリエイティブが多かったのですが、ユーザーを分析したところドコモショップの「安心感」が伝わるクリエイティブのほうがお客様には関心を持っていただき、来店からのご契約に繋がると想定し、ショップスタッフの方が寄り添って対応している写真に変更したところ、クリック率が1.5倍、CPAも約半分まで改善しました。
伊藤氏:この施策によるご契約数はさらに伸長できると思っており、実績向上に向けた改善の取り組みも引き続き伴走いただきたいと思っています。
私どもの強みとして、全国に約2000店舗のドコモショップ(※2)を持っています。このリアルチャネルの強みとPrism Partner社のデータを活用したオンラインからの誘導を掛け合わせてハイブリッドで進め、お客様との接点を増やしていけると良いと思っています。
加賀尾氏:汎用性がある取り組みであるため、社内の他事業にも展開していきたいと考えています。
CA夏目:ありがとうございます。ぜひ、進めていきたいです。

ー 今後の展望を教えてください
加賀尾氏:現在、スマートフォンは私どもの生活に不可欠になっており、1人1台スマートフォンの所有にプラスしてタブレット端末をお持ちの方もいらっしゃいます。光回線も含めてNTTドコモを選んでいただき、長きにわたりご利用いただきたいと思っています。
具体的にはドコモ経済圏をもっと大きくしていきたく思っています。例えばお客様がNTTドコモでスマートフォンを購入し、ご利用いただく。ご利用料金に伴ってdポイントが付与されます。そのdポイントは料金の支払いや街で何かを購入するときにご利用いただけます。さらに、ドコモ光・ahamo光とスマートフォンをセットでご利用いただくと通信料金の割引が適用され、dカードでお支払いいただくとさらにdポイントが貯まり、お客様が「おトク」を実感できます。
この一連のサイクルをご利用いただくと、知らず知らずのうちにお客様の生活に弊社のサービスが入り込んでいくことができると考えています。安心してご利用いただいているうちに気づいたらNTTドコモの経済圏を利用していた。そういった世界を作っていきたいです。
その世界を作っていくために、サイバーエージェントさんにはオンラインとオフラインを繋げていただくところをご支援いただきたいです。オンラインを活用したオフライン来店施策はまさにそうですね。
私どもの持っているdアカウントのデータを活用し、お客様との繋がりをもっと増やしていければと思っています。
AI活用や新しいデータ活用手法であったり、私どもには持ちえない新しい技術やスキル・ノウハウをお持ちなので、こうしたもの積極的にを活用させていただき、共に新たな取り組みに注力していきたいと考えています。
伊藤氏:私どもの部署ではブロードバンド事業を主に行っているのですが、会社としては電気事業も展開していますし、今後はガス事業にも一部参入していく予定です。ブロードバンド業、電気業、ガス業等の各インフラ事業は、今後、事業の垣根を越えた企業間競争のステージに突入していくと思っています。
お客様にご愛顧いただくためには、各事業ごとで取り組んでいくのではなく、事業間連携を強化していくことが必要となっていきます。
広告も個別事業で強化するだけでなく、NTTドコモ全体としてどう戦略的に展開していくのか。広告やプロモーションの枠を超えて戦略レイヤーでしっかり戦っていきたく、その部分もご支援いただければと思っています。
木村氏:サイバーエージェントさんとは、我々のデジタルマーケティング改革パートナーとして、タッグを組んで進行できたと思っています。
伊藤氏:企業目線で一方的な広告を配信するのではなく、必要なお客様に必要なメッセージを届けていくことが重要と考えています。クリエイティブや媒体の選定・ターゲティングも進化が求められる中で、AIや機械学習を活用した顧客起点での広告をいかに実装していくかサイバーエージェントさんの持つ知見から切り口を引き続きご提案いただければと思います。
CA松井:ありがとうございます。今後もドコモ光・home 5Gの獲得最大化はもちろん、ドコモ経済圏活性化に向けて、NTTドコモ様の様々なサービスを世の中に知ってもらい使っていただくためのご支援をしていきたいと考えております。
ユーザー目線に立っても、様々な企業が様々な光回線やWi-Fiルーターサービス、ポイント発行やキャッシュレス決済サービスなどを展開しており、どれが自分にとってふさわしいのか、迷われて混乱している方も多いのではないかと思います。
今回のドコモ光での配信手法をNTTドコモ様の他事業部内で横展開することで他サービスの認知の最大化が可能となり、結果的にドコモ経済圏活性化に繋がると思っています。
伊藤さんがおっしゃっていただいたように、戦略レイヤーから常にNTTドコモ様にベストな事業投資を考え、ご支援していきたいです。
CA山口:NTTドコモ様は日本の通信業界を牽引する存在として、国内で最も豊富かつ多様なデータを保有している企業の一つです。移動通信サービスを通じて蓄積された膨大な顧客データ、利用パターン、位置情報などその情報資産は他に類を見ないスケールと価値を持っています。
このような貴重なデータアセットの中から、御社のビジネス成長に真に貢献するデータを見極め、それらを効果的に活用する戦略が重要となります。そのため、御社の持つ独自のデータ資産と事業基盤を最大限に活かし、新たな収益源の創出や顧客体験の向上につながる具体的な施策を今後もご提案させていただきます。弊社のデータ本部が持つデータ分析の専門知識を活かしながら、NTTドコモ様と二人三脚で検討を進め、データ駆動型の意思決定プロセスを確立することで、事業のさらなる拡大・発展をサポートできれば幸いです。
今後も継続的にドコモさまの事業成長を支援し、データの持つ可能性を最大限に引き出すパートナーとして、末永くお付き合いいただければと願っております。
CA夏目:私はNTTドコモ様を担当していることもあり、携帯のキャリアはahamo、クレジットカードはdカードを利用しており様々なドコモサービスを愛用しております。そのおかげで、日々快適に生活でき、ドコモ経済圏で「おトク」を感じることができています。NTTドコモ様が目指す世界は私のようなユーザーが増えていくことだと思いますので、その世界を目指すことを自分ごととして捉え、今後もご支援ができればと思っております。
また、具体的なご支援については、現在、ご紹介した販売データ紐づけプロジェクトやオフラインでの来店促進オンオフ統合プロジェクトなど徐々にデジタルプロモーションに留まらない領域に支援の幅を拡大できている自負があります。そのため、今後も引き続きプロモーション領域に留まらず、NTTドコモ様の事業課題にアプローチできるようなご支援を検討し、ご提案をし進めていければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
※1、2 NTTドコモ 採用ページ 数字で知るドコモより
https://information.nttdocomo-fresh.jp/docomo/data/
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記事制作・撮影: 株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 広報
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