2015/10/7 Wed

Twitter広告の活用と新たなチャレンジ(後編)

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笹本 裕 氏

Twitter Japan 株式会社 代表取締役

伊達 学

株式会社サイバーエージェント 執行役員 インターネット広告事業本部 統括

Twitter広告の活用と新たなチャレンジ~後編~

Twitter Japanより、代表取締役 笹本 裕氏をお迎えし、当社執行役員 伊達と対談を実施。Twitter広告の活用ポイントや、Twitterの日本市場における戦略を突き進める笹本氏が描く構想を、特別にお話しいただきました。
前編と後編に分けてお伝えします。

前編記事は【こちら】よりご覧ください。

グローバルと日本のユーザーの違い

CA伊達:Twitterの日本のユーザーのリテラシーが高いというのは、ちょっと意外でした。

笹本氏:そうなんですよ。僕も前職でサーチのビジネスをしていた時に、アメリカのユーザーの方がサーチのリテラシーが高いというのをすごく感じていたんですよね。でもTwitterの場合は、意外に日本人の方がいろいろなサーチの仕方をするというのがデータで見えてきているので、面白いなぁと思います。Twitter自体、もともとモバイルネイティブであり、日本はモバイルの利用環境が非常に先進的だと思うので、そういったところが影響しているんだと思います。

CA伊達:私もリアルタイムで起きていることを知りたい時に、Twitterで検索しています。

笹本氏:欧米では、どちらかというと人(プロフィール)を探すのに使われていますが、日本では、まさにそのようなリアルタイムの情報検索に活用されています。電車の遅延や災害状況など。使い方の多様性が、すごく豊かだなと感じています。おそらくTwitterにとっては、日本の利用の仕方と文化が、最も合っているのかなと思っています。
それに対して、企業が自社のブランドや製品をどのように発信してエンゲージしていくかというのは、まだまだ可能性があると思います。特に、今年は我々も動画に力を入れ始めていますが、Twitterに限らず、ソーシャルメディアはストーリーがあるから情報が拡散しますよね。動画ほど、その中にストーリー性があるコンテンツはないじゃないですか。動画の素材自体が、Twitterにとっては自然に拡散していくものなので、スターティングポイントから非常に有効だと思っています。あとは、それがどのくらいの長さのものが適当なのかとか、どんなクリエイティブが良いのかとか。そういったことが、これから検証されてくると思います。

Twitterの動画広告の活用

笹本氏:Twitterでは、「Vine」という動画のアプリをリリースしています。個人の方が1つの情報に接触する時間が、20年前は10数秒だったのが、今は8秒程度に短くなっているという調査結果を耳にしました。それだけ飽きてしまうというか、すぐに次のものに移り変わっていってしまうので、いかに短い時間でしっかり内容を出すかということが求められています。まさにTwitterの場合は、モバイルのタイムラインの中で瞬時にしっかり見て、拡散していくという特徴的な流れがあるので、まだ研究のしがいがある部分だと思います。特に2ヶ月前から始まった動画の自動再生は、CPVも非常に低く、パフォーマンスが出ています。まだ初期ではあるものの、検証してきたものがだいぶ効果として出てきたので、ここはまさにブランド広告主さんにとっては、ご活用いただける場なのではないかなと思いますね。

CA伊達:動画広告については、当社でも「ビデオアプリカード」(※3)が出てからすぐに、主にソーシャルゲームのアプリのインストールを目的に活用していました。通常のアドフォーマットと動画広告で比較をすると、クリックレートは通常のアドに比べて低いのですが、視聴後のコンバージョンは高水準です。クリエイティブにおいて強みを作り、一気に販売を拡大していきたいと思っています。

笹本氏:おそらくCPIもそうですが、LTVも長くなっていくのではないかと思います。動画とアプリインストールのプロモーションをいかに組み合わせるかというのは、これから可能性があると思いますね。

CA伊達:当社は動画広告を16年度の注力領域のひとつと位置づけ、投資を行い、ソリューションを整えていこうと思っています。Twitterは若年層のユーザーがかなりの高頻度で使っているため、テレビではリーチできない層のターゲティングを細分化して、その層に合ったクリエイティブをしっかり出していくような細かいプランニングで、広告主のニーズに応えたいと思っています。

笹本氏:まさに我々も昨年くらいから、Twitterのそういった活用をイメージしていました。やっとその時代がきはじめたのが今年なので。来年はこれを本当にスケールさせるためにも、ご一緒できるといいなと思いますね。

CA伊達:広告商品の展開や顧客理解は、グローバルに比べて日本は進んでいるのでしょうか?

笹本氏:進んでいると思います。本社から、要望が多すぎると言われるくらいです(笑)。日本は、デジタルの商品に対するリテラシーも高いですし、要望も高い。その3ヶ月、半年後くらいに、他の国でもやっぱり日本が言っていた同じ要望が上がってくる感じになっていますね。

CA伊達:そうなんですね。逆に欧米のマーケティングから学べることは、どのようなことでしょうか?

笹本氏:欧米は、デジタルだけではなく、総合的なマーケティングプランの中でのデジタルの位置付けがしっかり確立ができています。日本の場合はどうしても、テレビを中心としたマス広告のプランニングから入って、一旦切り離してそこからデジタルといった流れになる場合が多いと思います。一気通貫したソリューションが提供できているのが欧米だと思うので、そこは学ぶところがありますね。
(※3)ビデオアプリカード・・・アプリインストールなどを目的とした、ビデオフォーマットのTwitterの広告商品。

TwitterのAds APIの活用

笹本氏:もう既に使っていただいていますが、Ads APIの活用はものすごく効率的で、スケールさせられるものだと思っています。我々もAPIをどんどん許可していきたいと考えています。APIの活用には、デジタル領域の技術のノウハウが求められてきますので、我々にとってはそれがサイバーエージェントさんとのパイプラインとして重要な機能なのかなと思いますね。
アメリカのソーシャルメディアにおいては、APIの活用がすごく多様化しています。日本でも、我々がそこをしっかりと充実させるサポートをしていくことで、よりAPIの活用を多様化できると思います。それによって、もっと多くの広告主に対して、我々の商品をご活用いただきたいですね。

CA伊達:APIはそれに加えて、代理店ならではの独自性を出せる切り口ですよね。

笹本氏:まさにそうですね。日本におけるTwitterのAPIの利用頻度は、世界的にも高いんですよね。私たちも、頼るのは代理店さんになります。グローバルは10人いたら10人に提供するといったジェネラルなものを作っていきますが、日本の案件は自分の戦略に合ったものを徹底的に作るので、その分使い始めると、どんどん深くなっていきます。そのため、今はTwitterのグローバルのAPI利用の中で、日本のポジションがどんどん上がっています。
それだけニーズもあると思いますし、まさに、サイバーエージェントさんのテクノロジーに対する知見が高いということもあるでしょうし。
ちょうど本社の経営者と一緒にTwitterにおけるこれからの日本の戦略について話をしたのですが、日本に対する期待がものすごく高くて。それは世界的にも、日本のユーザーの利用状況が最も良いと言えるくらい成長しているからなんです。さらに、広告商品の利用も特にこの2年くらいで急成長してきています。そういったことから、Twitterのすべてにおいて、日本を一つのロールモデルにしながら更に進化させていきたいというくらいに、本社の経営者も期待しています。

機能とクリエイティブを組み合わせた活用法

CA伊達:グローバルの代理店で、Twitterと上手くパートナーシップを組めている例があれば是非教えて下さい。

笹本氏:おそらく、2つ軸があるかなと思っています。1つは機能的な軸で、もう1つはクリエイティブの軸です。我々もこれまでTwitterの機能として、例えば「Flock to Unlock(※4)」のような機能のご案内を積極的には行ってきませんでした。しかし、そういったTwitterの拡散性をさらに加速させるような機能をクリエイティブと組み合わせて、上手く活用しているケースは多いですね。
クリエイティブに関しては、Twitterのリアルタイム性にいかに適したものを出せるかということが重要です。キャンペーンをマネージしていく際にリアルタイム性にあったクリエイティブを予め用意しておいて、その瞬間をとらえたクリエイティブを出すと、全く用意していない時と比べて当然、拡散する力が違う。そういうクリエイティブへの対応の仕方と、我々の機能を組み合わせるというのが、成功しているケースとしては多いですね。
あとは最近で言うと、Twitter以外にも「Vine」や「Periscope(ペリスコープ)」のようなサービスが出てきているので、これらとTwitterを組み合わせた事例はこれからさらに進化していくと思います。
例えば、「Periscope」を使って新商品の記者発表を生放送して、その感想をツイート上でも拡散しつつ集めるというような組み合わせは、事例として出てきています。「Vine」と「Periscope」も、日本のユーザーはアクティブに使っています。海外の広告業界関係者と「Vine」の話をした時に、「これ、パラパラ漫画だよね」と言われて。「日本の文化にまた合っているから伸びるね」ということを言っていただきました。
(※4)「Flock to Unlock」・・・限定コンテンツを公開するために、ツイートをリツイートする (共有する) ことによってフォロワーにメッセージを広めてもらう、Twitterの広告商品。
CA伊達:日本人が好きなパターンですよね。

笹本氏:そうですね。こういった日本の文化と我々が出すサービスが、すごく上手く合っているので、サイバーエージェントさんにも是非組み合わせていただいて、広告主の案件にお使いいただくと良いのかなとは思います。

CA伊達:当社の動画チームのクリエイターも、「Vine」のクリエイティブは「ぜひ携わってみたい」「いち早くやってみたい」と、皆口を揃えて言っています。そして、新しい技術に関してはどれくらいの工数で、どれくらいのバリエーションが作れるかというのを、どこよりも知っているクリエイターチームになりたいという想いがあります。日本で最も早く、面白いキャンペーンや取り組みを立ち上げてみたいと思っています。

笹本氏:まさに、「Vine」のクリエイティブをサポートするような投資を、日本でもしていきたいですね。我々としては、そういったところからさらに、クリエイティブの部分でもご一緒できるんじゃないかなと思います。サイバーエージェントさんには是非様々なチャレンジをしていただいて、それを今度はグローバルに発信していくところまで、ぜひ一緒にやっていきたいです。

笹本 裕 氏

Twitter Japan 株式会社 代表取締役

タイのバンコクに生まれ、1988年にリクルートに入社。その後、株式会社クリエイティブ・リンク取締役COOに就任し、「レストランガイド」を立ち上げる。2000年からはMTVジャパン株式会社取締役COOに就任し。2007年からはマイクロソフトでオンラインサービスやアジア太平洋地域の統括を担当後、2014年にTwitter Japan代表取締役に就任。

伊達 学

株式会社サイバーエージェント 執行役員 インターネット広告事業本部 統括

2002年 株式会社サイバーエージェントに入社。入社以降インターネット広告事業に従事し、現在は統括を務める。2014年 執行役員に就任。

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