2016/1/22 Fri

Yahoo! JAPANの思想と今後の展開(後編)

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矢吹 泰教 (やぶき やすのり) 氏

ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー ディスプレイ広告ユニット Yahoo! ディスプレイアドネットワーク サービスマネージャー

淵之上 弘 (ふちのうえ ひろし)

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 第2本部 統括

竹ノ内 亮太 (たけのうちりょうた)

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 エグゼクティブアカウントプランナー

ヤフー株式会社より、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク サービスマネージャー 矢吹氏をお迎えし、当社 インターネット広告事業本部 第2本部 統括 淵之上、エグゼクティブアカウントプランナー竹ノ内との対談を実施。
Yahoo! JAPANの開発における思想や方向性、また今後の展開について、詳しくお話を伺いました。
前編と後編に分けてお伝えします。

前編記事はこちら】よりご覧ください。

スマートフォン時代に改めて求められるクリエイティブの重要性

CA 淵之上:クリエイティブは以前から重要視されていましたが、広告主企業はじめ最近の広告業界ではさらに重要度が増してきています。なぜこういった潮流になっていると考えますか?

矢吹氏:個人的に思うのは、広告を運用する人的リソースというのは絶対的に有限である、という考え方は多分今も昔もあまり変わらないのだと思います。そのような中、PC時代からインターネット広告はデータを活用してユーザー層によって広告の出し分けができますよね。
PCの場合は、1つの画面の中にものすごい量の情報がある中に広告モジュールがあって、画面の小さいスマートフォンと比べると、特定の広告がユーザーに見られる可能性が低い。仮にユーザーが見てくれた時に興味を持ってクリックをしてもらえるように、クリエイティブももちろん大事ですが、それよりもターゲティングを絞って「どのようなユーザー層に出すか?」というところを重要視して運用されていたのではないかと思います。
ではスマートフォン時代はどうかというと、たくさんの情報を1つのページには詰め込めません。画面も小さいですし、フォントを小さくするのも限度があるので、どうしても範囲が狭く情報量が少ない。となってくると、ターゲティングを絞ることももちろん重要ですが、やはり相対的に「見た時にどう思うか」といったクリエイティブがすごく重要になってくると思います。
感覚的に言えば、スマートフォンの世界は、男女、年代くらいで分けた方がいいと思っています。PC時代のように検索履歴や行動履歴などによって細かく設定するよりは「男性でこの年代の人たちは、このクリエイティブを見るとクリックしてくれるのではないか?」といった運用の方が効果が上がりやすいのではないでしょうか。もちろんターゲティングとクリエイティブ両方大事ですが、PCと比べて両者のウエイトが変わってきているのではないか、と思いますね。

CA 淵之上:確かにPC時代との違いとして、スマートフォンでは情報伝達における視覚の役割が圧倒的に増えているというのは、肌で感じています。PC時代は広告が見られているかどうか分からなかったのが、スマートフォンになって新たにインフィード広告のようなコンテンツライクなフォーマットが出てきた時に、ユーザーはしっかりと見ている。さらにそこで反応するかしないかがはっきり分かるので、クリエイティブが重要になってきたということですよね。

矢吹氏:そう思います。基本は「今週はこういう層に広告を見せたので、来週はこの層に見てもらおう」といった運用だったのが、変わったんだなと思いますね。
クリエイティブは同じものを出しすぎると飽きるので、そこで何パターンかのクリエイティブを用意して、意図的に期間で分けて、飽きないようにユーザーを集客するという運用方法は、これまでのPC時代だとあまり成されてこなかったことですよね。

クリエイティブ領域の展開における Yahoo!JAPANの方向性

CA 竹ノ内: ディスプレイ広告の固定枠配信では、代理店側がテキストと画像を設定して、Yahoo! JAPAN側でその組み合せや構図が変えられます。そもそも、広告主がそれを許すという文化ができたというのもすごく劇的な変化だなと思っています。
また、固定枠配信が、通常の300×250のバナーに比べてCTRが高いというのが衝撃でした。それはある意味で御社がクリエイティブに介入したという1つの変化だと思います。クリエイティブ領域での展開についてのお話を伺えますか?

矢吹氏:1つ目は先ほど言ったとおり、特にスマートフォンではクリエイティブの重要性が大きくなってきているということです。サイズ固定はPCですが、それがゆえにクリエイティブのPDCAをとにかく高速回転させなければならないと思っています。そのため、それをより実行やすい環境を用意しようということで、枠サイズ固定あるいはレスポンシブ(※1)をご用意しました。バナーは1枚でいいけれど、訴求の表現はテキストを変えるだけで簡単に内容が変えられるので、クリエイティブのPDCAがより多く回る。そういったことが、クリエイティブが重要な世界では必要です。
あとはこれもスマートフォンでの話ですが、狭い領域で静的な、固定的な表現を行うと、やはり表現の限界が出てくることは目に見えています。そのため、ある程度メディアあるいはデバイスに合わせた表現を、より自由度を持って最適に加工して出さなければ広告の表現を最大化させられないので、それを推進していきたいです。
また、代理店の皆様は広告主企業からいただいた予算を様々なメディアに投下して、結果どうだったというPDCAを回しますが、Yahoo! JAPANくらいインベントリーのボリュームが大きいと、これだけでPDCAを回すというケースも多いと思います。とはいってもそれだけを扱っているわけではないので、クリエイティブの最適化もYahoo! JAPAN専用というよりは、様々なメディアを通して一番良いものをどんどん回していくと思います。それに対して、当社からも「実はこういうクリエイティブも、Yahoo! JAPANには合っていて良いんですよ」といった提案をしていきたいと思っています。
YDNで様々なテンプレートが出ているのは、社内でデザイナーが出したアイディアをすごく少量の配信の中で試しているからです。効果の良いものを見つけたら、事前にコミュニケーションをとった上で実装してみるといった新たなチャレンジや展開はどんどんご提供していきたいと考えています。
YDN単体でもそういったPDCAを回していますが、プレミア広告やビデオ広告でもクリエイティブ制作の支援プロダクトのようなサービスを始めています。今後ますますクリエイティブ領域が大事になってきた時に、代理店の皆様からだけでなく、当社は当社の視点で、メディア上で最適なノウハウを提供することで、各社がwin-winになれるようなクリエイティブを一緒に探していきたいと考えています。
(※1)「レスポンシブ」・・・入稿内容を都度最適化し配信するYahoo!JAPANの広告タイプ。

代理店・サイバーエージェントに期待すること

CA 淵之上:では最後に、当社に求めていることがあればお教えいただけますか?

矢吹氏:今はデバイスも環境も変化しているので、おそらくYahoo! JAPANあるいはYDN“だけ”では、色々なものを変えていけないと思います。そういった視差をもってお互い刺激し合い、情報交換をしながら良い形でご一緒していきたいです。もちろん収益も出さなければなりませんが、インターネットのビジネスをより広くしていき、市場におけるプレゼンスも一緒に高めていきたいなと思います。
また、サイバーエージェントさんはじめ代理店の皆様は広告主企業と向き合って、広告主が何を考えているかということに直に触れてお話されているので、他媒体と比較しながら、Yahoo! JAPANがどうするべきという議論をしていきたいです。市場を見渡した時に、Yahoo! JAPANの位置づけ、もしくはプロダクトに求められているものが、すごく簡単なアイディアであっても、私たちにとってはすごく有益な情報になると思います。そのアイディアがあってこそ、ものづくりに反映させた時に上手いマーケティング手法に繋がって、一緒に成長していくという良いサイクルになると考えています。
そこはやはり、サイバーエージェントさんはじめ代理店各社のみなさんとの頻繁なコミュニケーションを通して「Yahoo! JAPANのバリューは何だろう?」といった議論ができるとすごく良いのかなと思いますね。

CA 淵之上:お客様に対して世界一の効果をお返しし、そして、そのビジネスを大きくしていけるか、という思想で日々取り組んでいます。お客様の声や、こういったことを実現できたら良いのではないかといったアイディアを御社にお届けし、逆に御社からは当社への要望を色々といただきながら、お客様の満足度を上げ、一緒にマーケットを大きくしていきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いします。

矢吹氏:はい、是非よろしくお願いします。
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